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海外移住と暗号資産(仮想通貨)の税金:出国前に売るべき?非居住者の課税・CARF・分離課税化(2026年)

最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)

日本の居住者が暗号資産(仮想通貨)で得た利益は原則として雑所得となり、給与などと合算して最高55%(所得税45%・住民税10%)で課税されます。一方、国税庁のFAQでは、非居住者が日本の暗号資産交換業者に保有する暗号資産を売却しても日本での申告は不要とされており、居住者でなくなる前と後のどちらで売るかで日本の課税が大きく変わります。2026年1月からは取引所への居住地国の届出(CARF)が始まり、20%の分離課税化も法律上決まりましたが、適用開始日はまだ確定していません。

日本居住者の暗号資産の課税:雑所得・総合課税で最高55%

国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月最終改訂)では、暗号資産取引で生じた利益は所得税の課税対象となり、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されるとしています。雑所得は給与所得などと合算する総合課税で、所得税の税率は5%から45%の7段階です(課税される所得金額が4,000万円以上の部分が45%)。これに住民税の所得割10%(道府県民税4%・市町村民税6%)が加わるため、合計で最高55%になります。このほか、所得税額の2.1%の復興特別所得税がかかります(2027年分以後は防衛特別所得税の創設と復興特別所得税の税率引下げが行われますが、合計の税率は変わらないとされています)。

日本円に換金したときだけでなく、次のような場合も課税の対象になります。

非居住者になった後の扱い:国内源泉所得に当たるか

所得税法では、国内に住所があるか、現在まで引き続いて1年以上居所がある個人が居住者で、それ以外が非居住者です。住所は「生活の本拠」をいい、客観的な事実によって判定されます。居住者(非永住者以外)は国内外すべての所得に課税され、非居住者は日本で生じた所得(国内源泉所得)だけが課税対象です。どちらに当たるかの詳しい判定は、居住者・非居住者の判定(183日ルール)に関するガイドをご覧ください。

国税庁の暗号資産FAQ(1-8)は、アメリカに住む人が保有する暗号資産を日本の暗号資産交換業者に売却した例について、「日本での申告の必要はありません」と回答しています。資産の譲渡による国内源泉所得は限定されており、非居住者が日本の暗号資産交換業者に保有する暗号資産を譲渡して生じる所得は所得税の課税対象とされていない、という説明です。源泉徴収の対象にもなりません。

FAQで国内源泉所得として挙げられている資産の譲渡所得は次のとおりです(恒久的施設に帰属する所得を除く)。

出国の年の申告と、売却・出国のタイミング

出国した年は、1月1日から出国の日までの「居住者期間」の所得は国内外を問わずすべて課税され、出国の翌日以後の「非居住者期間」は国内源泉所得だけが課税されます。暗号資産の売却益の収入計上時期は、原則として売却した暗号資産の引渡しがあった日で、選択により契約をした日とすることもできます。居住者期間中に売却・交換・決済に使った分は、出国前でも出国後でも日本で申告が必要です。

申告の方法は、出国の時までに納税管理人を届け出るかどうかで変わります(詳細は海外からの確定申告に関するガイドを参照)。

暗号資産は国外転出時課税(出国税)の対象外

国外転出時課税は、1億円以上の対象資産を持つ一定の居住者が国外転出をするときに、対象資産を譲渡したものとみなして含み益に所得税を課す制度です(制度の詳細は国外転出時課税(出国税)のガイドを参照)。国税庁タックスアンサーNo.1478で対象資産とされているのは、有価証券(株式や投資信託など)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引、未決済のデリバティブ取引で、暗号資産は挙げられていません。

日本の暗号資産交換業者の口座:移住前に確認すること

日本の暗号資産交換業者の多くは、日本に住む人の利用を前提にしています。非居住者の口座の扱いは業者ごとに異なり、規約上、口座の解約や取引制限の対象になることがあります。例えば、ビットトレード株式会社が公表している「口座開設対応方針」では、税務上の居住地国が「日本のみ」ではない顧客は原則として口座開設を断り、口座開設後に税務上の居住地国が変わって「日本のみ」でなくなった顧客は原則として口座を解約してもらうとし、解約手続が完了するまで取引を制限する場合があるとしています。

出国してから口座が使えなくなると、売却や出金の手続が難しくなるおそれがあります。出国前に、次の点を利用中の業者の規約やヘルプで確認しておきましょう。

CARF(暗号資産等報告枠組み):2026年1月から届出、2027年から情報交換

CARF(Crypto-Asset Reporting Framework)は、OECDが策定した、非居住者の暗号資産等取引情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準です。日本では令和6年度税制改正で実特法が改正され、2026年1月1日から施行されています。国税庁によると、日本を含む60を超える国・地域が2027年または2028年までに情報交換を開始することを表明しており、日本は2027年から情報交換を開始します。

20%分離課税への見直し:法律は成立、適用開始日は未確定

令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日閣議決定)では、金融商品取引法等の改正を前提に、居住者等が暗号資産取引業を行う者に対して「特定暗号資産」(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等)を譲渡等した場合の所得を、他の所得と分離して20%(所得税15%・個人住民税5%)で課税することが盛り込まれました。財務省の「令和8年度税制改正の解説」によると、この申告分離課税は租税特別措置法第38条の2として創設され、対象は居住者と恒久的施設を有する非居住者です。

前提となる「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」は2026年4月10日に国会に提出され、7月15日に成立しました。暗号資産取引の規制を資金決済法から金融商品取引法に移す内容で、暗号資産関係の規定は公布の日から1年を超えない範囲内で政令で定める日に施行されます。分離課税は、この改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後に行う特定暗号資産の譲渡から適用されます。

よくある質問

Q. 海外に移住した後、日本の取引所で暗号資産を売却したら日本で確定申告が必要ですか?

A. 国税庁の暗号資産FAQ(1-8)では、外国に住む非居住者が日本の暗号資産交換業者に保有する暗号資産を売却した場合、日本での申告は不要とされています。非居住者の譲渡所得で国内源泉所得になるのは国内の不動産や一定の株式等の譲渡などに限られ、暗号資産の売却益は所得税の課税対象とされていないためです。ただし、移住先の国では課税されることがあります。また、日本に生活の本拠が残っていて居住者と判断される場合は、この扱いになりません。

Q. 暗号資産を持ったまま出国すると、出国税(国外転出時課税)がかかりますか?

A. かかりません。国外転出時課税の対象資産は、有価証券、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・デリバティブ取引で、暗号資産は含まれていません。1億円の判定にも暗号資産は含めません。ただし、株式などの有価証券を1億円以上持っている場合は、別途対象になり得ます。

Q. 出国した年に売却した利益はどうなりますか?

A. 1月1日から出国の日までの居住者期間に売却・交換した分は、日本で課税されます。出国の時までに納税管理人を届け出た場合は翌年2月16日から3月15日までに確定申告し、届け出ずに出国する場合は出国の時までに準確定申告をします。

Q. 日本の取引所の口座は、移住後もそのまま使えますか?

A. 業者によって異なります。例えばビットトレードは、税務上の居住地国が「日本のみ」でなくなった顧客には原則として口座の解約を求めるとしています。また、CARFにより、居住地国が変わった場合は3か月以内に異動届出書を業者に提出する必要があります。出国前に、利用中の業者の規約やヘルプで、継続利用の可否と出金方法を確認してください。

Q. 暗号資産の税率が20%になるのはいつからですか?

A. 20%(所得税15%・住民税5%)の申告分離課税は令和8年度税制改正で法律上定められましたが、適用は、暗号資産を金融商品取引法の対象にする改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後の譲渡からです。改正法は2026年7月に成立し、公布から1年以内に施行されますが、2026年10月時点で施行日は確認できていません。2026年分の利益は従来どおり総合課税です。

Q. 暗号資産で買い物をしたり、別の暗号資産に交換したりしただけでも課税されますか?

A. はい。国税庁のFAQでは、暗号資産で商品を購入した場合や暗号資産同士を交換した場合も、保有する暗号資産を譲渡したものとして、譲渡価額と譲渡原価の差額を所得として計算するとしています。居住者のうちに行えば、日本円に換金していなくても日本で課税されます。

出典

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。

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