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海外移住と住民税:1月1日ルール・出国年の住民税・納税管理人・退職時の一括徴収・ふるさと納税(2026年)

最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)

個人住民税は、その年の1月1日に住所がある市区町村が、前年1年間の所得に対して課税する「1年遅れ」の税です。そのため、年の途中で海外へ転出しても、その年度の住民税は出国後に納める必要があり、出国前に納税管理人の申告や一括納付の準備をしておくことが欠かせません。一方、翌年1月1日に国内に住所がなければ翌年度の住民税はかからず、ふるさと納税の住民税控除も受けられなくなります。

住民税の基本:1月1日ルールと「1年遅れ」の課税

個人住民税(道府県民税・市町村民税。東京23区では都民税・特別区民税)は、前年の所得に応じてかかる「所得割」と、定額の「均等割」からなります。所得割の標準税率は10%(道府県民税4%、市町村民税6%。政令指定都市は2%と8%)で、前年1月1日から12月31日までの所得で計算されます。均等割の標準税額は4,000円(道府県民税1,000円、市町村民税3,000円)です。

個人住民税の賦課期日は、その年度の初日が属する年の1月1日です(地方税法第318条)。地方税法第294条第2項により、「市町村内に住所を有する個人」とは、住民基本台帳法の適用を受ける人については、その市町村の住民基本台帳に記録されている人をいいます。つまり、原則として1月1日に住民票がある市区町村が、その年度(6月から翌年5月)の住民税を課税します。

海外移住で押さえておきたいポイントは次のとおりです。

出国する年と翌年の住民税:具体例で確認

中央区の案内では、例えば令和8年(2026年)3月に国外転出する場合、令和8年1月1日に住民票があるため、令和8年度の住民税(令和7年分の所得に対する住民税)の課税対象になると説明されています。出国時に全額を納付していても、出国日によっては翌年度の住民税が課税されることがあるとも注意しています。

出国のタイミングごとの整理は次のとおりです(いずれも所得や扶養の状況により非課税となる場合を除きます)。

納税管理人の申告:市区町村への届出が必要

地方税法第300条により、住民税の納税義務者が、その市区町村内に住所・居所・事務所などを持たなくなる場合は、納税に関する一切の事項を処理させるため、納税管理人を定めて市区町村長に申告(または承認の申請)をしなければなりません。徴収の確保に支障がないとして市区町村長の認定を受けた場合は、納税管理人を定める必要はありません。

納税管理人は、本人に代わって納税通知書を受け取り、納付や還付金の受領などを行う人です。税務署に届け出る所得税の納税管理人とは別の手続なので、住民税については1月1日時点の住所地の市区町村に申告します。

会社員の退職・出国:特別徴収から一括徴収・普通徴収へ

住民税の納め方には、会社が給与から天引きして納める「特別徴収」と、本人が納税通知書で納める「普通徴収」があります。給与所得者の特別徴収では、市区町村が5月31日までに会社へ税額を通知し、6月から翌年5月までの12回に分けて給与から差し引かれます。普通徴収は原則として年4回に分けて納めます。

退職して会社から給与を受けなくなると、残りの税額(未徴収税額)は「一括徴収」(最後の給与や退職金からまとめて差し引く)か「普通徴収」に切り替わります。会社は、異動があった月の翌月10日までに「給与所得者異動届出書」を市区町村に提出します。退職の時期による違いは、地方税法第321条の5第2項に定められています。

森林環境税と均等割、日本に家を残す場合

森林環境税は、国内に住所のある個人に課税される国税で、2024年度(令和6年度)から、市区町村が個人住民税の均等割と併せて1人年額1,000円を徴収しています。税収の全額は、森林環境譲与税として都道府県・市町村に譲与されます。

住民税と一緒に課税・徴収されるため、1月1日に国内に住所がある年度は、出国後であっても住民税とともに納めることになります。大田区などでは、納税管理人の申告書の様式名にも森林環境税が含まれています。

日本の住居を手放さずに出国する場合は、均等割にも注意してください。東京都主税局によると、1月1日現在その区市町村内に住所がなくても、事務所や家屋敷を持っている人(借りている場合を含み、人に貸している場合を除く)には均等割だけが課税されます(地方税法第294条第1項第2号)。自宅を空き家のまま残す場合などが該当し得るため、詳しくは所在地の市区町村に確認してください。

一時帰国中・住民票を残したままの場合の扱い

住民税の課税は1月1日時点の住所で判定されます。赤穂市の案内では、1月1日現在、海外に居住している人(国内に住民登録がない人)は個人住民税が課税されないとしたうえで、出国の期間・目的・出国中の居住の状況などから単に旅行にすぎないと認められる場合は、出国中であっても出国前の市区町村に住所があるものとして課税されると説明しています。

海外在住者のふるさと納税:住民税の控除は受けられない

ふるさと納税は、自治体への寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税と個人住民税から控除を受けられる仕組みです。住民税の控除は、ふるさと納税をした年の翌年度の住民税から差し引かれます。地方税法第314条の7では、寄附金税額控除は「所得割の納税義務者」が前年中に支出した寄附金について、その所得割の額から控除するものとされています。

そのため、寄附をした年の翌年1月1日に国内に住所がなく翌年度の住民税(所得割)がかからない人は、住民税からの控除を受けられません。所得税の寄附金控除については、国税庁によると非居住者も適用できる所得控除(雑損控除・寄附金控除・基礎控除の3種類)に含まれています。

よくある質問

Q. 3月に海外へ移住します。今年の住民税はかかりますか?

A. かかります。住民税は1月1日に住民票がある市区町村が前年の所得に対して課税するため、1月2日以降に出国しても、その年度の住民税は全額課税されます。納税通知書は例年6月ごろに送られるので、出国前に市区町村へ納税管理人を申告するなどの準備が必要です。

Q. 12月に出国すれば、翌年の住民税はかからないのですか?

A. 住民票の国外転出を済ませ、異動日(出国日)が1月1日以前であれば、翌年度の住民税は課税されません。ただし、転出届を出さずに住民票を残したままにしている場合や、出国が単なる旅行と判断される場合は課税されます。出国した年度の住民税(前年分の所得に対するもの)は別に納める必要があります。

Q. 会社を3月に退職してから出国します。住民税はどうなりますか?

A. 1月1日から4月30日までの退職では、本人の申出がなくても、残りの住民税(5月分まで)を最後の給与や退職金から一括徴収するのが原則です(地方税法第321条の5第2項)。給与等が残りの税額に足りない場合などは普通徴収に切り替わります。また、その年の1月1日に住所があるため、その年度(6月から翌年5月分)の住民税も課税されます。納税管理人の申告が必要か、住所地の市区町村に確認してください。

Q. 住民税の納税管理人は税務署に出す届出と同じですか?

A. 別の手続です。所得税の納税管理人は税務署に「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を提出しますが、住民税の納税管理人は1月1日時点の住所地の市区町村に申告します。提出期限や添付書類は自治体ごとに異なり、例えば横浜市は出国の10日前までの提出を求めています。

Q. 海外に住んでいてもふるさと納税はできますか?控除は受けられますか?

A. 寄附そのものはできますが、寄附をした年の翌年1月1日に国内に住所がなければ翌年度の住民税がかからないため、住民税からの控除は受けられません。所得税の寄附金控除は非居住者も対象ですが、日本で確定申告をする国内源泉所得がない場合は控除の効果がありません。ワンストップ特例は控除の全額を住民税から差し引く仕組みのため、住民税がかからない人には効果がありません。

Q. 森林環境税も出国後に払う必要がありますか?

A. 森林環境税は、国内に住所のある個人に課税される国税で、2024年度から個人住民税の均等割と併せて1人年額1,000円が徴収されています。1月1日に国内に住所がある年度は、住民税と一緒に課税されるため、出国後でも納める必要があります。

出典

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。

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