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子連れの海外移住:子どもの国籍・出生届・就学と日本の手続き(2026年)

最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)

海外で子どもが生まれると、日本の出生届は3か月以内に出す必要があり、外国籍も同時に取得した子は、この届出と一緒に国籍留保をしないと日本国籍を失います。子どもの教育や児童手当の扱いも、日本に住所があるかどうかで大きく変わります。このガイドでは、子どもの国籍・出生届・パスポート・就学・帰国時の手続きを、法務省・外務省・文部科学省・こども家庭庁の案内に沿って順に確認します。

海外で子どもが生まれたら:出生届は3か月以内

戸籍法では、出生の届出は14日以内にするものとされていますが、国外で生まれた場合は3か月以内です。外務省は、生まれた日を含めて3か月以内に届け出るよう案内しています。届出をするのは原則として父または母です。

外国にいる日本人は、その国にある日本の大使館・総領事館(在外公館)に届け出ることができます。外務省によると、在外公館の窓口に直接出すほか、在外公館や日本の本籍地の市区町村役場に郵送することもできます。添付書類は、現地の役所が発行した出生登録証明書または医師などが作成した出生証明書と、その和訳です。出生届(国籍留保の届出を含む)には、戸籍謄本は不要です。具体的な書式や部数は在外公館ごとに案内があるので、出産前に確認しておくと安心です。

期間を過ぎた出生届も市区町村は受理しなければならないと定められていますが、正当な理由なく期間内に届け出なかった人は5万円以下の過料の対象になります。さらに、次に説明する国籍留保が必要な子の場合は、期限を過ぎると日本国籍そのものを失うため、3か月の期限は必ず守ってください。

日本の出生届とは別に、出生した国の法律に基づく出生登録も必要です。現地の出生証明書が日本の出生届の添付書類になるため、現地の手続きを早めに進めておくと3か月の期限に間に合わせやすくなります。

国籍留保の届出:外国籍も取得した子は出生届と一緒に

国籍法では、出生の時に父または母が日本国民であれば、子は日本国籍を取得します。一方で、国外で生まれ、出生によって外国の国籍も取得した子は、日本国籍を留保する意思を表示しなければ、出生の時にさかのぼって日本国籍を失います(国籍法12条)。出生地で生まれた子に国籍を与える国(生地主義の国)で生まれた場合や、父母の一方が外国籍で子がその国籍も取得する場合などが該当します。

国籍留保の届出は、出生届をすることができる父母などが、出生の日から3か月以内に、出生届とともにしなければなりません(戸籍法104条)。外務省は、出生届の「日本国籍を留保する」欄に署名することで届け出ると案内しています。天災など届出人の責任ではない事情で期限内に届け出られなかったときに限り、届出ができるようになった時から14日以内とされています。

国籍留保をしなかったために日本国籍を失った子でも、18歳未満で日本に住所があれば、法務大臣に届け出ることで日本国籍を再び取得できます(国籍法17条1項)。法務省は、ここでいう日本に住所があることを、届出の時に生活の本拠が日本にあることと説明しており、観光や親族訪問などの一時的な滞在では認められません。海外に住み続ける家族はこの方法を使いにくいため、出生後3か月以内の届出が最も確実です。

父母がともに日本国籍で、生まれた国の国籍を取得しない場合は、国籍留保の届出は必要ありません。ただし、その場合も3か月以内の出生届は必要です。

重国籍の子の国籍選択と、外国籍取得による国籍喪失

国籍留保をした子は、日本と外国の国籍をもつ重国籍者になります。国籍法14条により、重国籍者は、重国籍となった時が18歳に達する以前であれば20歳に達するまでに、18歳に達した後であればその時から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければなりません。出生時から重国籍の子は、20歳になるまでが期限です。

この期限は成年年齢の引下げに合わせて2022年4月1日から改められたもので、それ以前は20歳未満で重国籍となった場合は22歳まで、20歳以上で重国籍となった場合は2年以内でした。改正法の附則により、2022年4月1日の時点で20歳以上だった重国籍者には改正前のルールが適用されます。自分や家族の期限がわからない場合は、法務局または在外公館に確認してください。

日本国籍を選ぶ方法は、外国の国籍を離脱する方法と、日本の国籍を選択し外国の国籍を放棄する旨を宣言する「選択の宣言」の2つです。外国籍の離脱による場合は、離脱を証明する書類を添えて外国国籍喪失届を、選択の宣言による場合は国籍選択届を、市区町村役場または在外公館に提出します。選択の宣言をしても外国の法律上その国籍を失わない場合は、外国籍の離脱に努めなければならないとされています(国籍法16条1項)。外国籍を選ぶ場合は、法務局または在外公館に国籍離脱届を出します。本人が15歳未満のときは、法定代理人が代わって手続きをします。

期限までに選択をしなかった人に対し、法務大臣は書面で国籍の選択を催告することができ、催告を受けた日から1か月以内に日本の国籍を選択しなければ、原則としてその期間が過ぎた時に日本国籍を失います。法務省は、期限を過ぎた場合でも国籍の選択をする必要があると案内しています。

これとは別に、日本国民が自分の意思で外国の国籍を取得したとき(外国への帰化など)は、自動的に日本国籍を失います(国籍法11条1項)。外国の国籍をもつ日本国民が、その国の法令に従ってその国の国籍を選択したときも同様です(同条2項)。出生によって外国籍を取得した場合は自分の意思による取得ではないため11条ではなく前述の国籍留保の問題になりますが、移住後に親や子が現地の国籍を申請して取得する場合は11条の対象になります。この場合、国籍喪失届を、事実を知った日から1か月以内(国外にいるときは3か月以内)に出す必要があります(戸籍法103条)。現地での国籍取得を考えるときは、事前に在外公館や法務局で日本国籍への影響を確認してください。

子どものパスポートと在留届

18歳未満の子のパスポートを申請するときは、申請書裏面の「法定代理人署名」欄に親権者が署名します。外務省は、通常は親権者である両親のいずれか一方の署名で手続きをしていると説明しています。ただし、もう一方の親権者から申請に同意しない旨の意思表示が事前に旅券窓口や在外公館に出されている場合は、両親の合意が確認されてから発給する運用です。国によっては一方の親による子の連れ出しが刑罰の対象となることもあるため、在外公館では不同意の届出がなくても両親権者の同意を口頭で確認することがあります。

申請書は親権者が代わりに提出できますが、パスポートを受け取るときは本人確認のため、乳幼児であっても子ども本人が窓口に行く必要があります。外務省によると、パスポートの新規申請には子の名前が記載された戸籍謄本が必要なため、通常は出生届が受理されて戸籍に記載された後に申請します。具体的な手順は在外公館の案内を確認してください。2026年7月1日以降、18歳未満の人が申請できるのは有効期間5年のパスポートのみです。

外務省は、一方の親が他方の親の同意を得ずに国境を越えて子を日本または海外に連れて行った場合、ハーグ条約に基づいて子が元の居住国に返還される可能性があると注意を呼びかけています。両親の国籍や居住国が異なる家族は、渡航や移住の前に親同士で合意を確認しておくことが大切です。

外国に住所または居所を定めて3か月以上滞在する日本人には、旅券法16条により在留届の提出が義務付けられています。在留届は世帯ごとに出すことができ、子どもが生まれたときは親の在留届に同居家族として追加します。オンライン在留届(ORRネット)で提出した人はログインして同居家族欄に登録し、書面で提出した人は出生届を出す際に変更届を出します。パスポートを取得したら番号も登録してください。日本国籍でない家族も同居家族として登録できます(筆頭者にはなれません)。

海外での学校選び:日本人学校・補習授業校・現地校

文部科学省によると、日本の義務教育を定める憲法26条は国内に限って働く規定で、海外に住む日本人の子どもに直接は適用されません。海外にいる間は、日本の義務教育の制度の外で学校を選ぶことになります。そのうえで政府は、国内の教育に近い教育を受けられるよう、在外教育施設への教員派遣や教科書の無償給与などの支援を行っています。

在外教育施設には、日本人学校、補習授業校、私立在外教育施設の3種類があります。日本人学校は国内の小・中学校(一部は高等学校)と同等の教育を行う全日制の施設で、文部科学大臣の認定を受けており、中学部を卒業すると国内の高等学校の入学資格が得られます。原則として国内の学習指導要領と教科書に沿って授業が行われます。私立在外教育施設は、国内の学校法人などが海外に設置した全日制の施設です。

補習授業校は、現地の学校やインターナショナルスクールに通う日本人の子どもに、土曜日や放課後などを使って、国語を中心に国内の小・中学校の一部の教科を日本語で教える施設です。日本人学校・補習授業校はいずれも、多くが現地の日本人会などによって設置・運営されています。住む予定の都市にどの施設があるかは、外務省の「海外教育」のページや在外公館で確認できます。

現地校やインターナショナルスクールを選ぶ場合は、その国の制度に従って入学手続きを進めます。外務省は国・地域別に現地の学校制度の情報を公開しています。近くに日本人学校も補習授業校もない場合について、文部科学省は、義務教育段階の教科書の無償給与と、海外子女教育振興財団による通信教育を案内しています。新たに出国する子ども向けの教科書は、出国前に同財団を通じて受け取れます。なお、文部科学省の支援は小学部・中学部が中心で、幼稚園段階や高等学校段階への支援は現状では難しいとされています。

帰国するとき:就学義務と編入学

保護者が子どもを小・中学校に就学させる義務(学校教育法17条)は、国内に住む日本国民に課されているもので、外国に住む日本国民には適用されません。文部科学省は、日本国籍をもつ学齢の子どもが帰国した場合、その時点から保護者に就学義務がかかると説明しています。重国籍の子どもも、日本国籍がある以上は同じ扱いです。

帰国して市区町村に転入の手続きをすると、教育委員会が住民基本台帳をもとに学齢簿を作り、就学すべき学校と編入学の期日を保護者に通知します。編入するのは原則として年齢に応じた学年です。日本語の力などの事情ですぐに相当学年で学ぶことが適切でない場合は、学校生活に慣れるまで一時的に下の学年に編入する措置もとれます。日本語の能力が著しく不足している場合には、日本語教育を受けるなどの措置を条件に就学義務を猶予する扱いもあります。

住民票がない場合でも、実際にその市区町村に住んでいれば、教育委員会に入学を希望して許可を受けることで公立の小・中学校に入学できるとされています。高等学校については、文部科学省が帰国子女の入学・編入学の機会を広げるよう通知を出しており、都道府県教育委員会や学校によっては、入試での特別枠の設定や受入れへの配慮が行われています。志望する地域や学校の募集要項を早めに確認してください。

児童手当と子どもの医療保険

児童手当は、0歳から18歳に達した日以後の最初の3月31日までの子どもを養育している人に支給されます。こども家庭庁は、原則として児童が日本国内に住んでいる場合に支給するとしており、児童手当法でも受給者となる父母は日本国内に住所があることが要件です。家族そろって海外に転出する場合は支給の対象外になるため、海外への転出を含めて住所が変わるときは、住んでいる市区町村に届け出ます。

子どもが留学のために一人で海外に住む場合は例外があり、日本国内に住所を有しなくなる前日まで継続して3年を超えて国内に住所があったこと、教育を受ける目的で海外に住み父母と同居していないこと、国内に住所を有しなくなった日から3年以内であることの全てを満たせば、その子の分の手当を受け取れます。反対に、両親が仕事で海外に住み、子どもを日本の祖父母などに預ける場合は、両親が国内で子どもと同居している人を「父母指定者」として指定すれば、指定された人に手当が支給されます。

帰国して国内に住所を移したときは、改めて市区町村に認定請求(申請)をします。手当は原則として申請した月の翌月分から支給され、申請が遅れるとその月の分は受け取れなくなるため、転入届と同じ時期に済ませるのが確実です。

子どもの医療保険も、日本の公的医療保険が国内の住所を前提としている点は大人と同じで、国民健康保険の資格喪失や現地の医療保険の選び方は、当サイトのガイド「海外移住と健康保険:国保の資格喪失・海外療養費・現地の医療保険」で詳しく解説しています。

子連れ移住・海外出産のチェックリスト

出国前から帰国後までに確認しておきたい項目を、時系列でまとめます。

このガイドは2026年10月時点の公的機関の案内をもとにした一般的な情報です。国籍や戸籍の扱いは家族の国籍や出生地、現地の法律によって異なり、制度が改正されることもあります。実際の手続きの前に、出生届や国籍に関することは在外公館または法務局に、就学や児童手当に関することは住所地(帰国後の住所地)の市区町村・教育委員会に確認してください。

よくある質問

Q. 両親とも日本人です。海外で生まれた子どもにも国籍留保の届出は必要ですか。

A. 国籍留保が必要なのは、国外で生まれ、出生によって外国の国籍も取得した子です。生まれた国が出生地で国籍を与える国でなく、子どもが外国籍を取得しない場合は不要です。ただし、出生届そのものは国外で生まれた場合も3か月以内に出す必要があります。子どもが外国籍を取得するかどうかは現地の法律によるため、迷ったら在外公館に確認してください。

Q. 国籍留保の届出が3か月の期限に間に合いませんでした。どうなりますか。

A. 国籍留保が必要な子は、天災など届出人の責任ではない事情で届け出られなかった場合を除き、出生の時にさかのぼって日本国籍を失います。その後、18歳未満のうちに日本に住所(生活の本拠)を移せば、法務大臣への届出で日本国籍を再取得できます。この場合、日本国籍を取得するのは届出の時です。海外に住んだままでは再取得の届出ができないため、詳しくは法務局や在外公館に相談してください。

Q. 重国籍の子どもが日本国籍を選ぶと、外国籍は自動的になくなりますか。

A. 国籍選択届で選択の宣言をしても、外国籍を失うかどうかはその国の法律によって決まります。外国籍を失わない場合、国籍法は外国籍の離脱に努めるよう定めています。選択の期限は、出生時から重国籍の子なら20歳になるまでで、届出は市区町村役場か在外公館で行います。

Q. 海外に住んでいる間も、日本の小学校・中学校に通わせる義務はありますか。

A. 学校教育法の就学義務は国内に住む日本国民に課されるもので、外国に住む間は適用されません。帰国した時点から就学義務が生じ、転入手続きの後に教育委員会から就学すべき学校と編入学の期日が通知されます。原則として年齢に応じた学年に編入します。

Q. 片方の親の同意がなくても子どものパスポートは作れますか。

A. 通常は、親権者である両親のどちらか一方が申請書の法定代理人署名欄に署名すれば申請できます。ただし、もう一方の親権者が事前に旅券窓口や在外公館に不同意の意思表示をしている場合は、両親の合意が確認されるまで発給されません。また、外務省は、一方の親が他方の同意なく子を国外に連れ出すと、ハーグ条約に基づき子が元の居住国に返還される可能性があると注意しています。

Q. 子どもが海外の高校に留学しても児童手当は受け取れますか。

A. 原則として、子どもが海外に住んでいる間は支給されませんが、留学の場合は例外があります。留学前に継続して3年を超えて国内に住所があったこと、教育を受ける目的で海外に住み父母と同居していないこと、国内に住所がなくなってから3年以内であることの全てを満たせば、その子の分を受け取れます。手続きは受給者が住む市区町村で行います。

出典

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。

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