ふるさと納税の控除は、寄附をした年の所得税と、翌年度の個人住民税から受ける仕組みで、控除額の大部分は住民税側にあります。そのため、寄附をした翌年の1月1日に日本に住所がない人は住民税からの控除を受けられず、所得税の寄附金控除しか残らないため、実質負担が2,000円を大きく超えることがあります。出国・海外在住・帰国のそれぞれの年に、どの控除がどの手続で使えるのかを、総務省と国税庁の資料に沿って整理します。
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海外移住・出国する年のふるさと納税はどうなる?住民税控除・寄附金控除・ワンストップ特例・返礼品の注意点(2026年)
最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)
ふるさと納税の控除の仕組みと「1月1日」の関係
ふるさと納税は、都道府県・市区町村への寄附のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで所得税と個人住民税から控除を受けられる仕組みです。総務省の説明では、控除は次の3つから成り、所得税分はその年の所得税から控除(還付)され、住民税分は翌年度の住民税から控除(減額)されます。
個人住民税は、その年の1月1日時点で市区町村に住所がある人に課税されます。地方税法第314条の7では、寄附金税額控除は「所得割の納税義務者」が前年中に支出した寄附金について、その所得割の額から控除するものとされています。つまり、寄附をした翌年の1月1日に国内に住所がなく、翌年度の住民税(所得割)がかからない人は、住民税からの控除(基本分・特例分)を受ける余地がありません。
- 所得税からの控除:(寄附額-2,000円)×所得税の税率。所得控除(寄附金控除)として扱われ、対象となる寄附額は総所得金額等の40%が上限です。令和19年中の寄附までは、税率に復興特別所得税を加えた率で計算します
- 住民税からの控除(基本分):(寄附額-2,000円)×10%。対象となる寄附額は総所得金額等の30%が上限です
- 住民税からの控除(特例分):(寄附額-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)。住民税所得割額の2割が上限です
- 自己負担の2,000円は寄附1回ごとではなく、1年間(1月から12月)の寄附総額に対してかかります(総務省よくある質問)
- 令和8年度の地方税法改正により、特例分の上限が「所得割額の2割」と「定額(道府県民税分77万2千円、市町村民税分115万8千円。合計193万円)」のいずれか低い額になります。令和10年度分以後の住民税、つまり2027年中の寄附から適用されます(指定都市に住む人は道府県民税分38万6千円、市町村民税分154万4千円)
出国する年のふるさと納税:住民税の控除は受けられない
年の途中で海外に転出し、翌年1月1日を海外で迎える場合、その年に行ったふるさと納税は、翌年度の住民税がかからないため住民税からの控除がありません。所得税の寄附金控除だけが残りますが、所得税の控除額は(寄附額-2,000円)×所得税の税率にとどまるため、実質負担は2,000円を大きく超えます。
総務省の控除イメージ(年収750万円の給与所得者、夫婦子なし、所得税の限界税率20%の場合)では、30,000円の寄附に対して、所得税5,600円、住民税(基本分)2,800円、住民税(特例分)19,600円の合計28,000円が控除されます。このうち住民税分の22,400円が受けられなければ、控除は所得税の5,600円だけとなり、実質負担は24,400円になる計算です。
なお、出国する年の前年に行ったふるさと納税は、出国する年の1月1日に住所がある市区町村の、その年度の住民税から控除されます。前年分の寄附の控除は出国によって失われません。
- 出国が決まっている年は、ふるさと納税の時期と金額を見直すのが基本です。返礼品目当てで例年どおり寄附すると、住民税分の控除がない分だけ負担が増えます
- 住民票を残したまま出国した場合や、出国が単なる旅行と判断される場合は、1月1日に住所があるものとして住民税が課税されます。住民税の1月1日ルールの詳細は、住民税のガイドを参照してください
- 寄附金控除は寄附をした本人の名義である必要があり、所得税や住民税を納めている本人が寄附しなければ控除を受けられません(総務省よくある質問)。日本に残る配偶者など、翌年1月1日も国内に住所がある家族が自分の名義と自分の上限の範囲で寄附する方法は、制度上可能です
出国年の手続:確定申告・準確定申告とワンストップ特例
出国する年の寄附について所得税の寄附金控除を受けるには、確定申告で申告します。国税庁によると、年の中途で海外に転出する人の申告方法は、出国の時までに納税管理人を届け出たかどうかで変わります。
- 出国の時までに納税管理人を届け出た場合:その年1月1日から出国日までの所得(居住者期間)と、出国日の翌日から12月31日までに生じた国内源泉所得の合計について、翌年2月16日から3月15日までに納税管理人を通じて確定申告・納税をします
- 納税管理人を届け出ずに出国する場合:居住者期間の所得について、出国の時までに確定申告(準確定申告)をします。出国後に総合課税の対象となる国内源泉所得がある場合は、翌年の確定申告も必要です
- 国税庁No.1926では、上記のどちらの場合も(年を通じて海外に住む場合も含め)、寄附金控除は雑損控除・基礎控除とともに適用できるとされています。医療費控除や社会保険料控除などが居住者期間に支払った額で計算されるのとは扱いが異なります
- 申告には、寄附先の自治体が発行する受領書(寄附の証明書)が必要です。ふるさと納税では、令和3年分の確定申告から、国税庁長官が指定した特定事業者が発行する年間寄附金額が記載された「寄附金控除に関する証明書」を、受領書の代わりに添付することもできます
- ワンストップ特例は、確定申告の不要な給与所得者等で、寄附先が5団体以内の場合に限り使える仕組みです。適用されると所得税からの控除は行われず、控除額の全額が翌年度の住民税から差し引かれます。翌年度の住民税がかからない人には効果がありません
- 確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。出国年に確定申告や準確定申告をする人は、ワンストップ特例を申請した分も含めて、その年のふるさと納税をすべて申告書に記載してください。ワンストップ特例の申請をした人が誤って寄附金控除を適用せずに確定申告をした場合は、更正の請求で控除を受けられます。ただし最終的な所得税等の額が変わらない場合は更正の請求ができないため、住所地の市区町村に相談します(国税庁No.1155)
- ワンストップ特例の申請後に転居などで住所が変わった場合は、寄附をした翌年の1月10日までに寄附先の自治体へ変更届出書を出す必要があります
非居住者になった後の寄附:所得税の寄附金控除が意味を持つ人
国税庁によると、日本国内に住所などがない非居住者が適用できる所得控除は、雑損控除、寄附金控除、基礎控除の3種類です。海外移住後にふるさと納税などの特定寄附金を支出した場合も、所得税の寄附金控除の対象にはなり得ます。
ただし、非居住者が日本で課税されるのは国内源泉所得だけで、所得控除を差し引けるのは総合課税(申告分離課税を含む)で確定申告をする所得がある場合です。国内の不動産の貸付けによる所得(不動産所得)や、国内にある不動産などの譲渡による所得は、総合課税で確定申告が必要な国内源泉所得の例として挙げられています。源泉分離課税で源泉徴収だけで課税が完結する所得しかない人は、寄附金控除を使う場面がありません。
- 日本で確定申告をする国内源泉所得がない人:ふるさと納税をしても所得税の控除は生じず、翌年1月1日に国内に住所がなければ住民税の控除もないため、寄附額のほぼ全額が自己負担になります
- 国内に貸している不動産などがあり確定申告をする人:所得税の寄附金控除((寄附額-2,000円)を所得から控除。総所得金額等の40%が上限)を計算に含められます。ただし住民税の控除は受けられないため、軽減額は所得税の税率分に限られます
- 非居住者が確定申告をする場合は、納税管理人を定めて「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります
- 寄附の申込方法や受領書が届く時期は自治体ごとに異なります(総務省よくある質問)。海外の住所からの申込みや、受領書・返礼品の送付先として海外住所を受け付けるかどうかも、寄附先の自治体やポータルサイトで事前に確認してください
返礼品の課税と、2025年10月からのポイント付与禁止など最近の制度改正
総務省のよくある質問では、自治体が寄附者へのお礼として送る特産品(返礼品)は一時所得に該当するとしています。寄附は返礼品を得るための支出として扱われず寄附金控除の対象とされているためで、一時所得は年間50万円を超える場合に、その超えた額が課税対象となります。国税庁によると、一時所得の特別控除額は最高50万円で、特別控除後の金額の2分の1が他の所得と合算されます。懸賞の賞金や生命保険の一時金、損害保険の満期返戻金なども一時所得に当たるため、出国年や帰国年にこうした収入が重なる人は合計額に注意してください。
返礼品やふるさと納税の募集方法には、総務大臣の指定制度によるルールがあります。主な内容と最近の改正は次のとおりです。
- 2019年6月1日以後の寄附から指定制度が始まり、総務大臣の指定を受けた自治体への寄附だけが住民税の特例控除の対象です。返礼品を送る自治体は、返礼割合を3割以下とし、返礼品を地場産品とする必要があります
- 2025年(令和7年)10月1日以降、寄附に伴って寄附者に金銭その他の経済的利益(ポイントなど)を提供する事業者を通じた募集は禁止されています。総務省は、経済的利益はポータルサイト運営事業者が付与するポイントに限られないとしています(令和8年9月25日付け総務省通知)
- 令和8年度の改正で、寄附金から募集費用を差し引いた「寄附金活用可能額」を寄附額の一定割合以上とする基準が設けられました。最終的な水準は60%で、2026年10月1日から2027年9月30日までの指定対象期間は52.5%、その後55%、57.5%と段階的に引き上げられます。ポータルサイトの手数料などを見直す自治体があるため、掲載される返礼品や寄附先の選択肢が変わる可能性があります
- 2026年10月1日から2027年9月30日までの指定対象期間について、総務省は2026年9月25日に大臣指定を通知しています
- 総務省は、寄附金の詐取を目的とする偽サイトへの注意を呼びかけています。海外から申し込む場合も、寄附先の自治体の公式サイトや信頼できるポータルサイトかどうかを確認してください
帰国した年のふるさと納税
海外から帰国して日本に住所を戻し、翌年1月1日を国内で迎える場合は、帰国した年の寄附について翌年度の住民税から控除を受けられます。地方税法第314条の7は「前年中に支出した寄附金」を対象としているため、条文上は帰国前に支出した分も含めてその年の寄附が対象になります。
ただし、控除の上限は帰国した年の所得をもとに計算されます。国税庁によると、帰国した年分の所得税は、帰国前の国内源泉所得(総合課税の対象となるものに限ります)と帰国後のすべての所得を合計して計算し、非居住者期間中の海外勤務の給与は原則として日本では課税されません。住民税の所得割もこの年の所得をもとにかかるため、年の後半に帰国した人は所得割が小さく、特例分の上限(所得割額の2割)も低くなりがちです。例年と同じ金額で寄附すると、上限を超えて自己負担が増えることがあります。
- 帰国後の給与の収入金額が2,000万円を超える人や、帰国前の国内源泉所得と、年末調整の対象とされた給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人などは、帰国した年分の確定申告が必要です(国税庁No.1935)。確定申告をする場合は、ふるさと納税も申告書に記載します
- 帰国後の給与が年末調整され確定申告が不要で、寄附先が5団体以内であれば、ワンストップ特例の対象となる「確定申告の不要な給与所得者等」に当てはまり得ます。申請後に住所が変わった場合の変更届出書は、寄附をした翌年の1月10日までに提出します
- 控除額の具体的な上限は、住所地の市区町村の住民税担当部署で確認できます(自治体によっては答えられない場合もあります)
認定NPO法人・公益法人への寄附と、海外の慈善団体への寄附
ふるさと納税以外の寄附にも、所得税の寄附金控除や税額控除があります。国税庁の「特定寄附金」には、国や地方公共団体への寄附、財務大臣が指定した寄附金、公益社団法人・公益財団法人などの特定公益増進法人への寄附、認定NPO法人等への寄附などが含まれます。寄附金控除の額は、特定寄附金の合計額(総所得金額等の40%が上限)から2,000円を差し引いた額です。
- 認定NPO法人等への寄附:寄附金控除(所得控除)と、(寄附額-2,000円)×40%を所得税額から差し引く税額控除のどちらか有利な方を選べます。税額控除は所得税額の25%が上限です。認定NPO法人等の一覧は内閣府NPOホームページで確認できます
- 公益社団法人・公益財団法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人など一定の要件を満たす法人への寄附も、同じく(寄附額-2,000円)×40%の税額控除を選択できます(所得税額の25%が上限)
- 税額控除を受けるには、確定申告書に計算明細書と、寄附者の住所・氏名が記載された受領証明書などを添付します
- 住民税:都道府県や市区町村が条例で指定した認定NPO法人等への寄附は、(寄附額-2,000円)×10%(都道府県指定は4%、市区町村指定は6%)が住民税から控除されます。対象となる寄附額は総所得金額の30%が上限です。これも翌年度の住民税から控除されるため、翌年1月1日に国内に住所がない人は受けられません
- 海外の団体への寄附:国税庁の事務運営指針では、寄附金控除の対象となる「国又は地方公共団体」から外国の政府・地方公共団体を除いています。また、海外の災害の被災者救援のための義援金は原則として一般の寄附金で寄附金控除の対象とならず、特定公益増進法人以外の団体が集めて外国の政府などに直接送金するものは、国等や特定公益増進法人への寄附金に当たらないとしています
- 海外の被災者支援で寄附金控除を受けたい場合、国税庁は、日本赤十字社など海外の被災者救援を行う特定公益増進法人に寄附する必要があるとしています。募金団体が全額を日本赤十字社などの特定公益増進法人に寄附することが募金趣意書などで明らかな場合も同様に扱われます
- 居住国での寄附の税務上の扱いは、その国の税制によります。日本の寄附金控除とは別の制度なので、現地の税務当局や専門家に確認してください
よくある質問
Q. 8月に海外へ移住します。今年ふるさと納税をしても控除は受けられますか?
A. 翌年1月1日に日本に住所がなければ翌年度の住民税がかからないため、住民税からの控除(基本分・特例分)は受けられません。所得税の寄附金控除は確定申告(納税管理人を通じた翌年2月16日から3月15日までの申告、または出国時の準確定申告)で受けられますが、控除額は(寄附額-2,000円)×所得税の税率にとどまるため、実質負担は2,000円を大きく超えます。
Q. 出国する年にワンストップ特例を申請していました。どうなりますか?
A. ワンストップ特例は、所得税からの控除を行わず控除額の全額を翌年度の住民税から差し引く仕組みです。翌年度の住民税がかからない場合は効果がありません。また、確定申告や準確定申告をするとワンストップ特例の申請は無効になるため、所得税の寄附金控除を受けるには、その年のふるさと納税をすべて申告書に記載してください。
Q. 海外に住んでいる非居住者がふるさと納税をする意味はありますか?
A. 寄附金控除は非居住者も使える所得控除の一つですが、効果があるのは、国内の不動産所得など総合課税で日本の確定申告をする国内源泉所得がある人に限られます。そうした所得がなく、翌年1月1日に国内に住所もない人は、所得税・住民税のどちらの控除も生じないため、寄附額のほぼ全額が自己負担になります。
Q. ふるさと納税の返礼品に税金はかかりますか?
A. 総務省によると、返礼品は一時所得に該当します。一時所得は特別控除額が最高50万円で、年間50万円を超える場合に超えた額が課税対象となり、その2分の1が他の所得と合算されます。懸賞の賞金や生命保険の一時金なども一時所得に含まれるため、合計額で判断します。
Q. ポータルサイトのポイントはもうもらえないのですか?
A. 2025年10月1日以降、寄附に伴ってポイントなどの経済的利益を提供する事業者を通じて自治体が寄附を募集することは禁止されています。総務省は、経済的利益はポータルサイトが付与するポイントに限られないとして、自治体に募集事務の委託先を定期的に確認するよう求めています。
Q. 海外の慈善団体に寄附した場合、日本の寄附金控除は受けられますか?
A. 国税庁の事務運営指針では、寄附金控除の対象となる「国又は地方公共団体」に外国の政府・地方公共団体は含まれず、海外の災害の義援金も原則として寄附金控除の対象にならないとされています。控除を受けるには、日本赤十字社など特定公益増進法人に寄附する必要があります。居住国での控除の可否は、その国の税制で確認してください。
出典
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「税金の控除について」
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「よくある質問」
- 総務省 ふるさと納税ワンストップ特例制度(制度改正について)
- 総務省 ふるさと納税に係る指定制度について
- 総務省 ふるさと納税制度の概要(資料)
- 総務省 「ふるさと納税制度の適正な運用について」(令和8年4月1日付け総税市第34号)
- 総務省 「ふるさと納税制度の適正な運用について」(令和8年9月25日総税市第108号)
- 総務省 ふるさと納税の偽サイトにご注意ください
- 総務省 やさしい地方税「個人住民税」
- 国税庁 タックスアンサー No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)
- 国税庁 タックスアンサー No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)
- 国税庁 タックスアンサー No.1100 所得控除のあらまし
- 国税庁 タックスアンサー No.1926 海外勤務中に不動産所得などがある場合
- 国税庁 タックスアンサー No.1935 海外勤務者が帰国したときの確定申告
- 国税庁 タックスアンサー No.1490 一時所得
- 国税庁 タックスアンサー No.1263 認定NPO法人に寄附をしたとき
- 国税庁 タックスアンサー No.1266 公益社団法人等に寄附をしたとき
- 国税庁 国等に対する寄附金又は災害義援金等に関する確認事務について(事務運営指針)
- 内閣府NPOホームページ 個人が認定・特例認定NPO法人に寄附した場合
- e-Gov法令検索 地方税法(第314条の7)
本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。
- 2027年1月中 日本、ふるさと納税の住民税特例分に定額の上限
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