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海外で家族が亡くなったら:死亡届の3か月、遺体・遺骨の日本への搬送と火葬許可、年金・パスポートの手続(2026年)

最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)

日本人が海外で亡くなったときは、死亡の事実を知った日から3か月以内に、在外公館か日本の市区町村へ死亡届を出します。日本で火葬する予定なら、日本の市区町村に直接届け出ないと火葬許可証が出ない点に注意が必要です。年金の届出、パスポートの返納、海外に住む家族が日本で亡くなった親族の手続をする場合の要点も、法令と公的機関の案内に沿って整理します。

まず全体像と期限を押さえる

海外で日本人が亡くなったときの手続は、大きく分けて「戸籍への死亡の届出」「遺体を現地で火葬・埋葬するか日本へ運ぶかの判断と、それに伴う許可」「年金・健康保険・パスポートなど日本側の後始末」「相続や税金」の4つです。現地の役所での死亡登録や、遺体の搬出に必要な手続は死亡した国の法令で決まるため国ごとに異なり、日本の法令で決まるのは、日本の戸籍・火葬・年金などの手続です。

期限のある主な手続は次のとおりです。いずれも「死亡の事実」や「相続の開始」を知った日から数えるため、海外で遠く離れた家族が後から知った場合も、その日から計算します。

海外で亡くなったときの死亡届:届出人・届出先・必要書類と訳文

死亡届は、届出義務者が死亡の事実を知った日から3か月以内(国外で死亡したとき)に出します(戸籍法第86条第1項)。届出義務者は同居の親族、その他の同居者、家主・地主などの順ですが、同居していない親族や後見人・任意後見人なども届け出ることができます(同法第87条)。海外で一緒に暮らしていた配偶者や子が届出人になるのが一般的です。期間は死亡の日ではなく死亡の事実を知った日から数え、港区は知った日も1日目に算入すると案内しています。

届出先は二通りあります。外国にいる日本人は、その国に駐在する日本の大使・公使・領事(在外公館)に届け出ることができます(同法第40条)。また、日本の市区町村にも、死亡者の本籍地か届出人の所在地で届け出られます(同法第25条)。東京都港区は、国外で家族が亡くなったときは本籍地に郵送で届け出るか、亡くなった国の大使館・領事館に届け出ることができると案内しています。

届書には死亡の年月日時分・場所などを書き、診断書または検案書を添付します。海外では現地の医師や当局が発行した死亡証明書がこれに当たり、外国語の書類には翻訳者を明らかにした訳文を付けなければなりません(戸籍法施行規則第63条)。やむを得ない事由で診断書等が得られないときは、死亡の事実を証する書面で代えることができ、その事由を届書に書きます(戸籍法第86条第3項)。

在外公館に出すか、日本の市区町村に出すか:日本で火葬するかで決まる

在外公館が受理した届書は、外務大臣を経由して本人の本籍地の市町村長に送付されます(戸籍法第42条)。戸籍に死亡が記載されるのは本籍地に届書が届いてからなので、在外公館に出すと戸籍への反映までに一定の時間がかかります。現地で火葬・埋葬を済ませ、急ぐ手続がない場合は、在外公館に届け出る方法で問題ありません。ただし、戸籍に死亡が記載されるまでは、死亡の記載のある戸籍証明書を相続や年金の手続に使えないため、日本側の手続を急ぐ事情があるときは、その点も考えて届出先を選んでください。

一方、遺体を日本に運んで火葬する場合は注意が必要です。日本で火葬するには市町村長の許可が必要で、その許可は「死亡の届出を受理した市町村長」が行います(墓地、埋葬等に関する法律第5条)。在外公館は日本の火葬許可証を出さないため、日本で火葬する予定なら、現地の死亡証明書の原本と訳文を持ち帰り、日本の市区町村に死亡届を出して、同時に火葬許可を受けるのが基本です。

日本での届出先は本籍地か届出人の所在地です(戸籍法第25条)。届出人の所在地について、秋田県北秋田市は「住所地または一時滞在地」と案内しており、住民票のない海外在住者が一時帰国中の滞在先で届け出られる場合があります。どこで受け付けてもらえるか、火葬場の予約とあわせて、届出予定の市区町村と葬儀社に事前に確認してください。なお、死亡地での届出(同法第88条)は死亡地の市区町村で届け出る仕組みなので、外国で亡くなった場合には使えません。

遺体・遺骨を日本に運ぶとき:火葬許可と、海外で火葬した遺骨の納骨

遺体を日本へ運ぶ場合は、現地での搬出の許可や防腐処理(エンバーミング)、航空貨物としての手配などが必要になるのが一般的です。具体的な書類は亡くなった国の法令と航空会社の条件で決まり、国によって異なるため、在外公館に連絡し、現地の葬儀社を通じて必要書類を確認するのが確実です。

日本に着いた後は、死亡届を受理した市区町村から火葬許可証の交付を受け、火葬場に提出します。火葬場の管理者は火葬許可証または改葬許可証を受け取った後でなければ火葬できず、墓地の管理者も許可証を受け取らなければ焼骨を埋蔵させられません(墓地、埋葬等に関する法律第14条)。また、火葬は原則として死亡後24時間を経過した後でなければ行えません(同法第3条)。

現地で火葬して遺骨を持ち帰り、日本の墓や納骨堂に納める場合は、日本の火葬許可証がありません。厚生労働省の通知(令和2年11月6日 薬生衛発1105第1号)では、海外で火葬した焼骨の埋蔵・収蔵は「改葬」とみなし、焼骨が現にある地の市町村長、または死亡届を受理した市町村長が特例として改葬許可を行うこととされています。以前は焼骨のある地の市町村長だけが特例の改葬許可を行う扱いで、別の市町村への申請や問合せが生じていたため、申請者の利便性の向上と市町村の事務負担の軽減を目的に、この取扱いが示されました。

年金:死亡の届出と未支給年金(海外在住の受給者も届出が必要)

日本の年金を受けていた人が亡くなったときは、年金の支払を止める手続が必要です。日本年金機構は、マイナンバーが収録されている人は「年金受給権者死亡届(報告書)」を原則として省略できるとしていますが、海外にお住まいの受給者向けの案内では、受給者が亡くなった場合は日本年金機構への届出が必要としています。届出が遅れて亡くなった後の分まで年金を受け取ると、後で返還を求められます。

亡くなった月分までの年金でまだ受け取っていないものは、亡くなった当時に生計を同じくしていた遺族が未支給年金として請求できます。順位は配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の3親等内の親族の順で、先順位者がいれば後順位者は受け取れません。請求には「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を使い、未支給年金がない場合は死亡届だけを出します。

健康保険・住民票・マイナンバーカード・パスポート・在留届

国民健康保険の被保険者は日本国内に住所がある人なので(国民健康保険法第5条)、住民票を抜いて海外に住んでいた人は国保の対象外で、葬祭費も出ません。住民票を残して国保に加入していた人が亡くなった場合は、葬祭を行った人に市区町村の条例で葬祭費が支給されます(同法第58条。港区は7万円で、外国語の死亡証明書には日本語訳が必要と案内)。会社の健康保険に加入したまま海外赴任していた人が亡くなった場合は、協会けんぽなら生計を維持されていた人に埋葬料5万円が支給されます。

住民票が残っていた人については、死亡届が受理されるとその通知が住所地の市区町村に送られ、住民票が消除されます(住民基本台帳法第9条第2項、同法施行令第8条・第12条)。世田谷区は家族による特別な手続は不要としつつ、世帯主が亡くなった場合は世帯変更届が必要になる場合があると案内しています。印鑑登録証(カード)は返納が必要とされているので、住民票を残していた人が印鑑登録をしていた場合は、住所地の市区町村の窓口で手続をしてください。

マイナンバーカード(国外転出者向けカードを含む)は、持ち主が死亡したときに効力を失います(番号法施行令第14条第11号)。死亡を理由とする返納義務は定められておらず、大田区・世田谷区も返納の義務はない(希望すれば窓口で返納できる)と案内しています。パスポートは名義人の死亡で失効し(旅券法第18条)、失効した旅券は遅滞なく返納することとされています(同法第19条第5項)。

海外に住む家族が、日本で亡くなった親族の手続をするとき

日本国内で亡くなった場合の死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内です。同居していない親族も届出人になれるので(戸籍法第87条第2項)、海外に住む子も届出人になれます。東京都中央区は、届出人欄に届出人が署名すれば、提出は代理人でも可能と案内しています。届出先は死亡地・本籍地・届出人の所在地のいずれかで、届出をすると火葬許可証が交付されます(新宿区)。実際には、日本にいる親族や葬儀社が窓口に提出することが多くなります。

外国にいる日本人は在外公館に届け出ることもできますが(同法第40条)、日本での火葬には市区町村が死亡届を受理していることが必要なので、葬儀を進めるには日本国内で届け出る方法が現実的です。年金の未支給年金は生計を同じくしていた遺族が請求するもので、海外に住んでいた子が請求する場合は、住所が別でも生計を同じくしていたことを申立書などで示す必要があります。

よくある質問

Q. 海外で家族が亡くなりました。死亡届はいつまでに、どこに出せばよいですか?

A. 死亡の事実を知った日から3か月以内に、その国にある日本の大使館・総領事館か、日本の市区町村(死亡者の本籍地または届出人の所在地)に出します(戸籍法第86条・第40条・第25条)。現地の死亡証明書を添付し、外国語の書類には翻訳者を明らかにした訳文を付けます(戸籍法施行規則第63条)。

Q. 在外公館に死亡届を出せば、遺体を日本に運んで火葬できますか?

A. 日本での火葬には市町村長の許可が必要で、その許可は死亡届を受理した市町村長が出します(墓地、埋葬等に関する法律第5条)。在外公館に出した届書は外務省を経由して本籍地に送られるため、日本で火葬する予定なら、死亡証明書の原本と訳文を持ち帰り、日本の市区町村に死亡届を出して火葬許可を受けるのが基本です。

Q. 現地で火葬した遺骨を日本のお墓に納めるには、どんな手続が必要ですか?

A. 厚生労働省の通知(令和2年11月6日)により、海外で火葬した焼骨の埋蔵・収蔵は改葬とみなされ、遺骨が現にある地の市町村長か、死亡届を受理した市町村長が改葬許可を行います。その市町村長が海外で火葬した事実を証する書面を発行します。現地の火葬証明書と死亡証明書を訳文付きで用意し、申請先の市区町村に必要書類を確認してください。

Q. 海外に住んで日本の年金を受けていた親が亡くなりました。何をすればよいですか?

A. 日本年金機構に死亡の届出をします。まだ受け取っていない亡くなった月分までの年金があれば、生計を同じくしていた遺族が「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」で請求できます。海外在住者の届出先は日本での最終住所地を管轄する年金事務所か日本年金機構本部で、日本語以外の書類にはできる限り日本語訳を付けます。

Q. 亡くなった人のパスポートとマイナンバーカードは返さなければなりませんか?

A. パスポートは名義人の死亡で失効し、旅券法上は返納することとされています。日本ではパスポートセンター、海外では大使館・総領事館に、死亡の事実が分かる書類とともに届け出ます。マイナンバーカードも死亡で失効しますが、返納の義務はなく、手続で使うことがあるため、しばらく保管するよう案内している区もあります。

Q. 日本で親が亡くなりました。海外に住む子が死亡届の届出人になれますか?

A. なれます。同居していない親族も死亡届を出すことができます(戸籍法第87条第2項)。届出期間は死亡の事実を知った日から7日以内です。届出人の署名があれば提出は代理人でもできると案内している自治体もあり、日本にいる親族や葬儀社が窓口に提出する方法が一般的です。

出典

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。

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