海外に住んだまま日本の不動産を買う、売る、相続するときは、日本に住んでいたときと同じ書類がそろいません。印鑑証明書や住民票の代わりに在外公館の証明を使い、登記には「国内における連絡先」を記載し、外為法の報告が必要になる場面もあります。さらに2024年4月1日から相続登記が、2026年4月1日から住所変更登記が義務になり、海外在住者ほど見落としやすい期限が増えました。このガイドでは、税金の計算(別ガイド)を除いた手続き面を、法務省・法務局・国税庁・財務省・日本銀行・国土交通省の案内に沿って整理します。
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海外から日本の不動産を買う・売る手続き:本人確認・登記書類・相続登記と住所変更登記の義務化・外為法の報告(2026年)
最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)
海外からの売買で変わる3つのこと:本人確認・登記書類・届出
海外在住者(所得税法上の非居住者、外為法上の非居住者)が日本の不動産を売買する場合、取引の流れ自体は国内と同じで、宅建業者(不動産会社)を通じて契約し、決済と同時に司法書士が所有権移転登記を申請するのが一般的です。違いが出るのは、本人確認に使う書類、登記に添付する書類、そして売買の前後に必要な届出の3点です。
関連する制度は2024年から2026年にかけて相次いで変わっています。主な日付は次のとおりです。
- 2024年4月1日:相続登記の申請義務化(3年以内、10万円以下の過料)、海外在住の所有者の「国内における連絡先となる者」の登記、外国に住所を有する外国人・法人の住所証明情報の取扱いの明確化
- 2026年4月1日:住所・氏名の変更登記の申請義務化(2年以内、5万円以下の過料)。海外在住者は「スマート変更登記」の対象外で、自分で変更登記を申請する必要があります
- 2026年4月1日:外為法の報告省令改正。非居住者が日本の不動産を取得したときの報告(取得後20日以内)は、居住用の取得も対象になりました
- 2026年10月5日:所有権の登記名義人になる人は、登記申請の際に「国籍等」を検索用情報として申し出ることになりました(海外に住所がある人も対象)
- 2023年12月13日:改正空家法の施行。市区町村の勧告を受けた「管理不全空家」の敷地は、固定資産税の住宅用地特例から外れます
売買契約の本人確認:宅建業者の取引時確認と非居住者の書類
宅建業者は、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)の「特定事業者」です。国土交通省の資料(令和8年4月版)によると、宅地・建物の売買契約の締結や、その代理・媒介が「特定取引」にあたり、契約の際に顧客の本人特定事項(氏名・住居・生年月日)、取引の目的、職業を確認する「取引時確認」を行い、確認記録を7年間保存する義務があります。代理人を立てる場合は、代理人の本人特定事項も確認されます。
対面での確認では、運転免許証、マイナンバーカード、旅券などの顔写真付き本人確認書類の原本を提示するのが基本です。ただし、本人確認書類に現在の住居の記載がない場合や、記載された住居と現在の住居が違う場合は、現在の住居が書かれた別の本人確認書類か「補完書類」を提示(または写しを送付)して、現住居を確認する必要があります(犯収法施行規則第6条第2項)。海外在住者が旅券で本人確認を受ける場合は、この補完書類で海外の現住所を示すことになります。
補完書類として施行規則に挙げられているのは、国税・地方税の領収証書や納税証明書、社会保険料の領収証書、日本国内で供給される電気・ガス・水道などの公共料金の領収証書、氏名と住居の記載がある官公庁発行の書類、そして日本政府が承認した外国政府や権限ある国際機関が発行した氏名・住居の記載がある書類です。領収日付や発行年月日が提示日前6か月以内のもの(有効期限のあるものは提示日に有効なもの)に限られます。海外の滞在許可証や現地の公的書類で住所を示す場合は、事前に不動産会社へ何が使えるか確認しておくと手戻りがありません。
遠隔地からの取引を助ける制度も整っています。国土交通省は、売買取引のテレビ会議等による重要事項説明(IT重説)を2021年3月30日から本格運用し、対面による説明と同様に扱うとしています。2022年5月18日からは、重要事項説明書や契約書面を相手方の承諾を得て電磁的方法で提供できるようになりました。帰国せずに契約を進めたい場合は、不動産会社にIT重説と電子書面の対応可否を確認しましょう。
登記に必要な書類と申請方法:署名証明・在留証明・国内連絡先・国籍等の申出・司法書士への委任
不動産登記では、登記申請が本人の意思によることを確認するため、売主などに印鑑証明書の添付が求められます。法務省は、本人が外国に居住していて印鑑証明書を取得できない場合には、代わりに日本の領事が作成した署名証明を添付することを認めています。居住地が在外公館から遠いなど領事の署名証明を取ることが難しいときは、外国の公証人が作成した署名証明で申請することもできます。署名は日本語でもローマ字でも、両方を併記したものでもよいとされています。
住所を証する情報(買主や相続人が新たに名義人になるときに必要)については、海外に住む日本人は住民票の写しを取れないため、在外公館が発行する在留証明を使うのが一般的です。署名証明・在留証明の取り方、形式1と形式2の違い、手数料は「海外からの各種証明書の取り方」ガイドで詳しく説明しています。
外国に住所を有する外国人や法人が名義人になる場合の住所証明情報は、令和5年12月15日付け法務省通達(民二第1596号)で明確化され、2024年4月1日以後の申請から、本国または居住国の政府が作成した住所証明書面か、公証人が作成した住所証明書面と旅券の写しのいずれかを添付することになりました。外国語の書面には訳文が必要です。日本国籍の配偶者と外国籍の配偶者で共有名義にする場合などは、それぞれ必要書類が異なる点に注意してください。
登記の申請方法は、法務局の窓口や郵送による書面申請のほか、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」によるオンライン申請があります。申請用総合ソフトを使えば同システムで扱うすべての手続を申請でき、利用時間は平日8時30分から23時まで、休日は8時30分から18時まで(12月29日から1月3日を除く)です。ただし法務局は、オンライン申請の添付情報は原則として作成者の電子署名が付いた電子文書でなければならず、戸籍全部事項証明書などは電子署名付きで発行されていないため相続登記をオンラインで完結することはできないと説明しています。この場合は、書面の添付書類を後日法務局に郵送または持参する方式で進めます。署名証明や在留証明も紙の原本を送ることになります。
実務上は、海外在住者が自分で申請するより、日本の司法書士に委任状(領事の面前で署名し署名証明を付けたもの)を送って代理申請してもらうのが一般的です。署名証明は領事の面前で署名する必要があり代理申請ができないため、在外公館の予約状況も含めて、決済日から逆算した書類の準備スケジュールを司法書士と相談してください。売買の決済日に売主・買主の双方が海外にいる場合は、決済当日の本人確認や代金受領の方法も不動産会社と事前に詰めておきましょう。
2024年4月1日以降の所有権の登記では、海外在住者に固有の記載事項が増えました。
- 国内における連絡先となる者(不動産登記法第73条の2第1項第2号):所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、国内の連絡先となる者の氏名・住所等が登記事項になります。法務省は、連絡先として不動産関連業者や司法書士などの法人・個人を想定しています
- 添付書類:連絡先事項を証する情報、連絡先となる者の承諾情報、その人の印鑑証明書(実印を押した承諾書)。連絡先となる者がいない場合は、その旨を申請情報とし、登記名義人となる者が署名または記名押印した上申書を添付します
- 国籍等の申出(2026年10月5日施行):所有権の登記名義人になる自然人は、検索用情報として国籍等を申し出て、本籍地の記載がある住民票の写しや戸籍の附票の写し、旅券の写しなど国籍を証する情報を提供します。法務省通達は、国外に住所を有する人も対象と明記しています。国籍等は登記所の内部情報で、公開の対象ではありません
- 外国籍の名義人は、氏名のローマ字表記(ローマ字氏名)とそれを証する旅券の写し等も必要です
- 登録免許税の目安(国税庁タックスアンサーNo.7191、令和8年4月1日現在):土地の売買による所有権移転は本則2%、2029年(令和11年)3月31日までは1.5%。建物の売買は2%で、個人が自己の居住用に取得する住宅用家屋は2027年(令和9年)3月31日まで0.3%。相続による移転は0.4%。住所・氏名の変更登記は不動産1個につき1,000円です
相続登記の義務化(2024年4月1日)と住所変更登記の義務化(2026年4月1日)
相続で日本の不動産を取得した人は、自分のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません(不動産登記法第76条の2)。相続人への遺贈も同じです。遺産分割がまとまった場合は、分割の日から3年以内にその内容に基づく登記が必要です。正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料の対象になります(同法第164条第1項)。
2024年4月1日より前に発生した相続で登記していない不動産も対象で、法務省は2027年(令和9年)3月31日までに登記するよう案内しています。遺産分割協議がまとまらないなど期限内に登記できないときは、登記官に自分が相続人である旨を申し出る「相続人申告登記」をすれば、期限内の申出に限り義務を履行したものとみなされます。ただし相続人申告登記は権利関係を公示するものではなく、売却や抵当権設定をするには改めて相続登記が必要です。
住所・氏名の変更登記は、2026年4月1日から、変更があった日から2年以内の申請が義務になりました(不動産登記法第76条の5)。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です(同法第164条第2項)。施行日より前に住所が変わっていた人も対象で、2028年(令和10年)3月31日までに登記する必要があります。海外移住で住民票を抜いた人は、登記簿上の住所が日本の旧住所のままになっていることが多く、まさにこの義務の対象です。
法務省は、過料は把握後すぐに科されるのではなく、登記官が相当の期間を定めて催告し、それでも正当な理由なく申請がない場合に裁判所へ通知する運用だと説明しています。正当な理由の例として、相続人が極めて多数で戸籍収集に時間がかかる場合、遺言の有効性や遺産の範囲が争われている場合、重病、DV被害による避難、経済的困窮などが挙げられています。海外在住であること自体は例示されていません。
海外在住者が特に注意したいポイントは次のとおりです。
- 「スマート変更登記」は使えません:法務局が住民基本台帳ネットワークで住所変更を確認して職権で登記する仕組みのため、法務省は外国に住所を有する人は対象外で、変更があれば自分で変更登記の申請が必要だと明記しています
- 海外への転居も「住所の変更」です:日本の住所から海外の住所へ変更する登記を申請します。住所を証する書面は在留証明などを使い、登録免許税は不動産1個につき1,000円です
- 変更登記と同時に国内連絡先を登記できます:海外在住者が名義人として登記する際は国内における連絡先となる者の記載が求められるため、住所変更登記の際に日本の親族や司法書士を連絡先として登記しておくと、法務局や自治体からの連絡が届きやすくなります
- 相続登記の期限は「知った日」から起算します:海外にいて相続の発生を知るのが遅れた場合でも、知った日から3年です。申告期限ではなく登記の期限であることに注意してください
- 海外在住の相続人がいる遺産分割協議書には、その相続人の印鑑証明書の代わりに署名証明を付けます。相続人全員が海外にいる場合も、司法書士への委任で登記申請できます
買う側の手続:非居住者が日本の不動産を取得するときの外為法の報告と源泉徴収
外為法上の非居住者(日本国内に住所または居所を有しない個人など)が日本にある不動産や、賃借権・借地権などの不動産に関する権利を取得したときは、取得後20日以内に「本邦にある不動産又はこれに関する権利の取得に関する報告書」(報告省令別紙様式第22)を日本銀行を経由して財務大臣に提出する必要があります。財務省は、金額や面積の大小にかかわらず、相続・遺贈による取得も含めて報告が必要で、0円の取得でも対象になると説明しています。
2026年2月20日公布、同年4月1日施行の報告省令改正で、この報告の範囲が広がりました。2026年3月31日以前の取得では、本人や親族の居住用、非営利業務用、事務所用、他の非居住者からの取得は報告不要でしたが、2026年4月1日以降の取得については、不動産そのものの取得は目的を問わず報告が必要です。報告が不要なのは、居住用・非営利業務用・事務所用に取得した「不動産に関する権利」(借地権など)だけになりました。財務省のFAQは、別荘やセカンドハウスは居住用目的に当たらないとしています。
報告書は日本語で作成し、非居住者本人のほか、居住者である代理人(不動産仲介業者など)が提出でき、オンライン提出も可能です。2026年4月1日以降の取得分からは、取引の相手方(居住者・非居住者の別)、取得の目的、不動産番号が報告事項に加わりました。20日目が日本銀行の営業日でない場合は翌営業日まで、郵送は期限必着です。期限を過ぎても報告は必要で、欄外に遅れた理由を付記して提出します。報告をしなかったり虚偽の報告をしたりすると、外為法第71条第1項第3号により6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。
売主が非居住者の場合は、買主側に源泉徴収義務が生じることがあります。国税庁タックスアンサーNo.2879によると、非居住者や外国法人から日本国内の土地等(土地、土地の上に存する権利、建物とその附属設備・構築物)を購入して対価を国内で支払う人は、法人・個人、事業者かどうかを問わず、支払額の10.21%の所得税等を源泉徴収し、原則として支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。ただし、個人が自己または親族の居住の用に供するために購入し、譲渡対価が1億円以下の場合は源泉徴収は不要です。海外在住の日本人同士で売買する場合や、投資用物件を買う場合は、買主が源泉徴収義務者になり得る点に注意してください。
買った後は、固定資産税・都市計画税の納税通知書を受け取る納税管理人の申告(後述)と、住所が海外のままであることを前提にした国内連絡先の登記を忘れないようにしましょう。日本の金融機関で住宅ローンを組めるかどうか、既存のローンがある自宅を離れるときの扱いは「海外移住と住宅ローン」ガイドで説明しています。
売る側の手続:源泉徴収の確認、売却代金の海外送金と3,000万円超の支払報告
非居住者が日本の不動産を売る場合、買主が法人か、個人でも投資用か、譲渡対価が1億円を超えるかのいずれかに当たれば、買主は代金の10.21%を源泉徴収して税務署に納付し、売主には残りの89.79%が支払われます。源泉徴収された税額は翌年の確定申告で精算されます。買主が自分や親族の住まいとして買う個人で、譲渡対価が1億円以下なら源泉徴収はありません。売買契約の段階で、買主の属性と決済方法(源泉徴収分を差し引いた金額の振込先)を不動産会社と確認しておきましょう。
売却代金を日本の銀行口座で受け取り、海外の口座へ送金する場合、外為法第55条の「支払又は支払の受領に関する報告書」は、1回あたり3,000万円相当額を超える支払・受領について、支払等をした居住者(銀行経由の場合はその銀行の顧客)が提出する制度です。日本銀行のFAQは、非居住者は報告義務が免除されており、非居住者が日本の銀行を通じて送金や送金の受領をする場合も報告は不要だと明記しています。一方、非居住者である売主に3,000万円相当額を超える代金を支払った居住者の買主には支払等報告書の提出義務があり、銀行経由の場合はオンラインなら取引実行日から20日以内、書面なら10日以内に提出します。3,000万円ちょうどは報告不要です。
自分が外為法上の居住者か非居住者かは、所得税法上の判定とは別に行います。財務省は、居住者は日本国内に住所または居所を有する個人、非居住者はそれ以外の個人とし、迷う場合は居住者である代理人に相談するか財務省に照会するよう案内しています。売買契約書や決済明細は、送金時や翌年の確定申告で必要になるので手元に保管しておきましょう。
譲渡所得の計算、申告分離課税、居住用財産の3,000万円特別控除(住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件)、納税管理人を通じた確定申告については、「海外移住後の日本の不動産:賃貸収入・売却にかかる税金と源泉徴収」ガイドをご覧ください。国税の納税管理人は「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を納税地の所轄税務署長に提出して定めます。
持ち続ける場合:空き家の管理義務と固定資産税の納税管理人
すぐに売らずに実家などを空き家のまま海外から持ち続ける場合、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)の規制を受けます。2023年12月13日施行の改正法(令和5年法律第50号)で、市区町村長は、放置すれば「特定空家等」(倒壊のおそれ、衛生上有害、著しく景観を損なうなどの状態)になるおそれのある空き家を「管理不全空家等」として、所有者に指導し、改善されなければ修繕や立木の伐採などの具体的な措置を勧告できるようになりました(空家法第13条)。
勧告を受けると税金面の不利益があります。地方税法第349条の3の2は、住宅用地の固定資産税の課税標準を価格の3分の1(200平方メートル以下の小規模住宅用地は6分の1)とする特例の対象から、空家法第13条第2項の勧告を受けた管理不全空家等と、第22条第2項の勧告を受けた特定空家等の敷地を除外しています。国土交通省の資料も、勧告を受けた管理不全空家は住宅用地特例(1/6等に減額)を解除すると説明しています。改正法では、所有者に国や自治体の施策に協力する努力義務が加わり、所有者が不明・不在の空き家について市区町村長が裁判所に財産管理人の選任を請求できる仕組みや、緊急時の代執行制度も設けられました。
海外からの管理は、定期的な換気・通水・庭木の手入れを親族や管理会社に依頼し、自治体から郵便が届く国内の連絡先を確保することが基本です。国内連絡先の登記(前述)をしておくと、所有者の所在を確認したい自治体からの連絡が届きやすくなります。
固定資産税・都市計画税の納税通知書を海外で確実に受け取るのは難しいため、納税管理人の申告が重要です。地方税法第355条は、固定資産税の納税義務者が納税義務を負う市町村内に住所・居所・事務所・事業所を有しない場合、納税に関する一切の事項を処理させるため納税管理人を定めて市町村長に申告(条例で定める地域外の人を選ぶときは申請して承認)しなければならないと定めています。東京都主税局も、日本国外に住む人には日本国内に住む人を納税管理人として定めるよう求めており、納税管理人を定めると納税通知書は納税管理人に送付されます。23区内の資産は資産が所在する区の都税事務所、それ以外は市町村に申告します。海外からの納付は、クレジットカード納付やインターネットバンキングによるPay-easy納付が使える自治体があります。
本ページは手続きの一般的な説明で、個別の法律・税務アドバイスではありません。実際の登記申請は不動産所在地を管轄する法務局または司法書士に、外為法の報告は日本銀行・財務省に、税務は税理士または所轄の税務署にご相談ください。
よくある質問
Q. 海外在住で印鑑証明書が取れません。日本の不動産を売る登記はできますか?
A. できます。法務省は、本人が外国に居住していて印鑑証明書を取得できない場合、日本の領事が作成した署名証明を代わりに添付することを認めています。在外公館が遠いなど領事の署名証明を取るのが難しいときは、外国の公証人が作成した署名証明でも申請できます。登記の委任状や遺産分割協議書に領事の面前で署名し、署名証明を綴り合わせる形式が一般的です。
Q. 海外に引っ越しましたが、日本の自宅の登記簿の住所は旧住所のままです。何かする必要がありますか?
A. 2026年4月1日から、所有権の登記名義人は住所や氏名の変更日から2年以内に変更登記を申請する義務があり、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です。2026年4月1日より前に住所が変わっていた場合は2028年3月31日までに登記します。法務局が住基ネットで変更を確認して職権で登記する「スマート変更登記」は、外国に住所を有する人は対象外なので、自分で(または司法書士に委任して)海外の住所への変更登記を申請してください。あわせて国内における連絡先となる者を登記できます。
Q. 2026年4月以降、海外在住のまま日本に自分が住むためのマンションを買いました。外為法の報告は必要ですか?
A. 必要です。2026年4月1日以降に非居住者が日本の不動産を取得した場合は、居住用かどうかを問わず、取得後20日以内に「本邦にある不動産又はこれに関する権利の取得に関する報告書」を日本銀行経由で財務大臣に提出します。2026年3月31日以前は居住用の取得は報告不要でしたが、改正で対象になりました。報告不要のままなのは、居住用などの目的で取得した借地権などの「不動産に関する権利」だけです。不動産仲介業者など居住者の代理人による提出やオンライン提出もできます。
Q. 海外在住の親から相続した日本の実家を、海外に住む私が売りたいです。先に何が必要ですか?
A. まず相続登記です。相続で取得したことを知った日から3年以内の相続登記が義務で、相続登記をしないと売買による所有権移転登記はできません。相続人申告登記は義務を履行したことにはなりますが、権利関係を公示しないため売却には使えません。海外在住の相続人は、遺産分割協議書に署名証明を付け、住所証明として在留証明などを用意し、名義人になる際は国内における連絡先となる者と国籍等を申し出ます。売却時には買主の源泉徴収(10.21%)の要否と、翌年の譲渡所得の確定申告も確認してください。
Q. 日本の不動産を売った代金5,000万円を海外の自分の口座に送金します。外為法の報告は誰がしますか?
A. 日本銀行のFAQによると、支払又は支払の受領に関する報告書の提出義務があるのは支払等をした居住者で、非居住者は報告義務が免除されています。非居住者が日本の銀行を通じて自分の海外口座へ送金する場合も報告は不要です。一方、あなた(非居住者)に3,000万円相当額を超える代金を支払った居住者の買主には報告義務があり、銀行経由ならオンラインで取引実行日から20日以内(書面は10日以内)に提出します。
Q. 海外にいる間、実家を空き家のままにしています。固定資産税で不利になることはありますか?
A. あります。2023年12月13日施行の改正空家法で、市区町村長は放置すれば特定空家になるおそれのある空き家を「管理不全空家等」として指導・勧告できるようになり、勧告を受けた管理不全空家等の敷地は、固定資産税の住宅用地特例(課税標準を3分の1、200平方メートル以下の部分は6分の1にする特例)の対象から外れます。また、市町村内に住所等がない所有者は地方税法第355条により固定資産税の納税管理人を定めて申告する必要があるので、国内の親族などを納税管理人にして納税通知書を受け取れるようにしておきましょう。
出典
- 法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A(令和6年4月1日施行)
- 法務省 住所等変更登記の義務化(令和8年4月1日施行)
- 法務省 スマート変更登記について(外国に住所を有する者は対象外)
- 法務省 令和6年4月1日以降の所有権の登記の申請情報・添付情報(国内における連絡先となる者、ローマ字氏名)
- 法務省 外国に住所を有する外国人・法人が所有権の登記名義人となる場合の住所証明情報(令和5年12月15日付け民二第1596号通達)
- 法務省 不動産登記規則の一部を改正する省令の施行に伴う取扱い(国籍等の申出、令和8年10月5日施行、民二第872号通達)
- 法務省 外国に居住しているため印鑑証明書を取得することができない場合の取扱い(署名証明)
- 法務局 不動産登記の申請書様式について(書面申請・オンライン申請、国籍等の申出)
- 法務局 相続登記をオンラインで申請する場合の注意点
- 法務省 登記・供託オンライン申請システム
- e-Gov法令検索 不動産登記法(第73条の2、第76条の2、第76条の3、第76条の5、第76条の6、第164条)
- 国税庁 タックスアンサー No.2879 非居住者等から土地等を購入したときの源泉徴収
- 国税庁 タックスアンサー No.3302 マイホームを売ったときの特例
- 国税庁 タックスアンサー No.1923 海外転勤と納税管理人の指定
- 国税庁 タックスアンサー No.7191 登録免許税の税額表
- 国土交通省 不動産業課 犯罪収益移転防止法の概要について(令和8年4月)
- e-Gov法令検索 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(第6条、第7条)
- 国土交通省 不動産の売買取引に係るIT重説の本格運用について(令和3年3月30日)
- 国土交通省 重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル(令和4年4月)
- 財務省 外為法に基づく「本邦にある不動産又はこれに関する権利の取得に関する報告書」の提出(制度概要)
- 財務省 同報告書の提出 よくあるご質問(FAQ)(2026年6月)
- 財務省 外国為替の取引等の報告に関する省令の一部改正(令和8年2月20日公布・4月1日施行)
- 日本銀行 本邦にある不動産又はこれに関する権利の取得に関する報告書 記入の手引
- 日本銀行 支払又は支払の受領に関する報告書
- 日本銀行 支払又は支払の受領に関する報告書関係 FAQ(令和8年4月現在)
- 国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報(令和5年12月13日施行)
- e-Gov法令検索 空家等対策の推進に関する特別措置法(第2条、第13条、第22条)
- e-Gov法令検索 地方税法(第349条の3の2、第355条)
- 東京都主税局 海外在住の方の固定資産税・都市計画税(納税管理人)
本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。
- 2027年3月31日 日本、相続登記の義務化(施行前の相続分の期限)
- 2028年3月31日 日本、住所変更登記の義務化(施行前の変更分の期限)
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