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海外移住とiDeCo・企業型DC:任意加入で継続、運用指図者、自動移換、脱退一時金、受取時の税金(2026年)

最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)

iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入資格は国民年金の被保険者区分と結びついているため、海外に転出すると何もしなければ掛金を出せなくなります。日本国籍の人は国民年金に任意加入すれば海外からでも掛金を出し続けられ、任意加入しない場合は運用だけを続ける「運用指図者」になります。退職して海外へ移る人は、企業型DCの資産を資格喪失から6か月以内に移さないと自動移換になる点、日本国籍の海外居住者は原則として脱退一時金を受け取れない点に注意してください。

海外からiDeCoの掛金を出し続ける条件:国民年金に任意加入して第4号加入者に

iDeCoに加入して掛金を出せるのは、国民年金の第1号被保険者(第1号加入者)、第2号被保険者(第2号加入者)、第3号被保険者(第3号加入者)、任意加入被保険者(第4号加入者)です。海外に住所を移すと国民年金の第1号・第3号被保険者ではなくなるため、そのままではiDeCoの加入者の資格を失います。

2022年5月1日の改正で、国民年金に任意加入している海外居住者もiDeCoに加入できるようになりました。iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)によると、第4号加入者となるのは「60歳以上65歳未満の方、または、20歳以上65歳未満の海外居住者の方で、国民年金の保険料の納付済期間が480月に達していない方」です。日本年金機構は、海外に居住することになった人は国民年金の強制加入被保険者ではなくなるものの、日本国籍であれば任意加入できると案内しています。

iDeCoに加入中の人が海外転出により国民年金の任意加入被保険者になった場合、iDeCo公式サイトでは「加入者被保険者種別変更届(任意加入被保険者用)(K-010D)」を運営管理機関に提出するよう案内しています。また、海外居住により国民年金の資格を喪失する人が任意加入被保険者となり、iDeCoの資格を喪失せずに引き続き掛金を出す場合は「継続加入の申出」が必要とされ、具体的な方法は運営管理機関に確認するよう求められています。厚生労働省の確定拠出年金Q&Aでも、海外在住になった第1号被保険者は、任意加入被保険者になれば加入者として掛金を出し続けられ、任意加入しなければ運用指図者になると整理されています。

第4号加入者の掛金の上限は、2026年10月現在、月額68,000円です(国民年金基金の掛金や国民年金の付加保険料を納めている場合は、その額を差し引いた額)。掛金は月5,000円以上1,000円単位で設定し、額の変更は12月分から翌年11月分までの1年に1回です。2026年12月1日からは、第1号・第4号加入者のiDeCoと国民年金基金の共通の拠出限度額が月額75,000円に引き上げられる予定です。

iDeCo公式サイトのよくある質問では、任意加入被保険者の掛金の納付方法は「個人払込(本人名義の預金口座)」とされています。海外から掛金を出し続けるには、引落しに使う日本の本人名義の預金口座を維持しておく必要があります。

任意加入しない場合:「運用指図者」に切り替えて60歳まで運用を続ける

iDeCo公式サイトの各種変更届の案内では、加入者が「日本国内の住所を有しなくなったとき」は「加入者資格喪失届(K-015)」を運営管理機関に提出するとされています。資格を喪失すると、掛金を出さずに積み立てた資産の運用指図だけを行う運用指図者になります。資格喪失の理由と日付を明らかにする書類の添付が必要です。

運用指図者になっても資産を引き出せるわけではなく、原則として60歳まで(通算加入者等期間によってはそれ以降まで)受け取れません。運用指図者の期間は、受給開始年齢の判定に使う通算加入者等期間(加入者または運用指図者であった期間)に含まれます。手数料のうち国民年金基金連合会の分は、新規加入や資産の移換の際に2,829円(初回のみ)、加入者は掛金を納めるたびに105円です。運営管理機関と事務委託先金融機関の手数料は機関ごとに異なるため、運用指図者になった後にかかる額も運営管理機関に確認してください。

海外の住所への郵送物の送付や、海外からの手続き(オンライン手続き、郵送)にどこまで対応しているかは、公式サイトに一律の定めが示されておらず、運営管理機関によって異なります。出国前に、海外住所の登録の可否、ログインに使う日本の携帯電話番号の要否などを確認しておくと安心です。

退職して海外へ:企業型DCは6か月以内に移換しないと自動移換に

会社を辞めて海外に移る人は、勤務先の企業型確定拠出年金(企業型DC)の資産の行き先を決める必要があります。iDeCo公式サイトによると、企業型DCの加入者の資格を喪失してから6か月以内に、資産をiDeCoや他の企業型DCなどに移換するか、脱退一時金を請求する手続き(要件を満たす人に限る)をしなかった場合、資産は現金化されて国民年金基金連合会(特定運営管理機関)に自動的に移換されます。

企業型DCの資産をiDeCoに移すには、自分で選んだiDeCoの運営管理機関に「個人別管理資産移換依頼書(K-003)」を提出します。任意加入して掛金も出す場合は「個人型年金加入申出書(K-001)」もあわせて提出し、掛金を出さない場合はK-003だけを提出してiDeCoの運用指図者として運用を続けることができます。移住先で働く会社に日本の企業型DCがあることは通常ないため、多くの人はiDeCoへの移換が現実的な選択肢になります。

2026年4月1日施行の改正により、事業主が自動移換について説明する時期が「資格を喪失したとき」から「資格の喪失が見込まれるとき」に前倒しされました。退職前に会社から説明を受けたら、出国の準備と並行して手続きを進めてください。

脱退一時金:日本国籍の海外居住者は原則として受け取れない

確定拠出年金は原則として60歳まで引き出せません。例外の脱退一時金を個人型記録関連運営管理機関または国民年金基金連合会に請求するには、次の要件をすべて満たす必要があります(2022年5月1日の改正後の要件)。厚生労働省の2025年の制度改正のページに掲載された施行予定(2026年4月1日、2026年12月1日)には、この要件の変更は含まれていません。

60歳以降の受取:受給開始年齢、75歳までの請求、海外からの手続き

iDeCo・企業型DCの老齢給付金は原則60歳から受け取れます。ただし60歳から受け取るには、60歳までの通算加入者等期間が10年以上必要で、8年以上10年未満なら61歳、6年以上8年未満なら62歳、4年以上6年未満なら63歳、2年以上4年未満なら64歳、1月以上2年未満なら65歳からになります。60歳以上で初めて加入した人は、加入から5年を経過した日から受け取れます。

受け取るときは記録関連運営管理機関(RK)に裁定を請求します。受取方法は、一時金、5年以上20年以下の有期年金(運営管理機関によっては終身年金も可能)、一時金と年金の組合せ(取り扱う運営管理機関に限る)から選べます。受給開始は75歳になるまでの間で選べますが、75歳までに請求しないと法務局に供託されます。海外に住んでいて郵便が届かず請求を忘れることがないよう、住所変更は必ず届け出てください。

海外の銀行口座への振込みや海外送金に対応しているか、その手数料、海外住所あての書類の送付、請求書類の提出方法は、記録関連運営管理機関・運営管理機関ごとに異なります。iDeCo公式サイトでは、自動移換者の給付について「海外に送金する場合は、別途、手数料が必要」と案内されています。受給の数年前から、日本の受取口座を残すかどうかも含めて確認しておきましょう。

非居住者が受け取るDC・iDeCoの課税:年金・一時金・租税条約

日本の非居住者には、日本国内に源泉がある所得(国内源泉所得)だけに所得税がかかります。確定拠出年金の老齢給付金を年金で受け取る場合は「公的年金等」(所得税法施行令第82条の2第2項第6号)に、一時金で受け取る場合は「退職手当等とみなす一時金」(所得税法第31条、同施行令第72条第3項第7号)に当たります。

2026年12月1日施行予定の改正:加入可能年齢70歳未満と拠出限度額の引上げ

2025年6月に成立した年金制度改正法により、2026年12月1日からiDeCoの加入可能年齢の引上げと拠出限度額の引上げが施行される予定です(厚生労働省)。新たに「第5号加入者」が設けられ、国民年金の被保険者でない60歳以上70歳未満の人でも、iDeCoの加入者、運用指図者、企業年金からiDeCoに資産を移換する人のいずれかに当たり、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給しておらず、マッチング拠出をしていなければ、iDeCoに加入して掛金を出せるようになります。

海外居住者に関係する点として、施行日から3年を経過する日まで(iDeCo公式サイトでは2029年11月末まで)は上の要件に当たらない60歳以上70歳未満の人も新たに加入できる経過措置がありますが、厚生労働省の通知によると、この経過措置の対象は申出の時点で日本国内に住所を有する人に限られます。改正後の確定拠出年金法第62条第1項第5号の文言には国内居住の要件は書かれていませんが、海外に住む人が第5号加入者として掛金を出す実務上の扱いは、運営管理機関または国民年金基金連合会に確認してください。いずれにしても、非居住者は日本で掛金の所得控除を受けられない点は変わりません。

本ページは制度の一般的な説明で、個別の税務・年金のアドバイスではありません。実際の手続や判断は、運営管理機関、国民年金基金連合会、税務署または税理士にご相談ください。

よくある質問

Q. 海外に住みながらiDeCoの掛金を出し続けることはできますか?

A. 日本国籍があり20歳以上65歳未満で、国民年金の保険料納付済期間が480月に達していなければ、国民年金に任意加入して第4号加入者になることで掛金を出し続けられます。運営管理機関に種別変更届(K-010D)と継続加入の申出をし、掛金は日本の本人名義の口座から引き落とします。上限は2026年10月現在で月額68,000円(国民年金基金の掛金・付加保険料を含む)、2026年12月1日から月額75,000円の予定です。

Q. 国民年金に任意加入しない場合、iDeCoを解約してお金を受け取れますか?

A. 原則として受け取れません。日本国籍を有する海外居住者は脱退一時金の要件から外されており、厚生労働省のQ&Aでは実際に任意加入していなくても請求できないとされています。任意加入しない場合は加入者資格喪失届(K-015)を出して運用指図者になり、原則60歳以降に老齢給付金として受け取ります。

Q. 退職して海外に移住します。企業型DCは放っておいても大丈夫ですか?

A. 資格喪失から6か月以内にiDeCoなどへ移換しないと、国民年金基金連合会に自動移換されます。自動移換中は運用されず、手数料(移換時に計4,348円、4か月目から月98円)が資産から差し引かれ、その期間は通算加入者等期間にも算入されません。出国前にiDeCoの運営管理機関を選び、個人別管理資産移換依頼書(K-003)を提出してください。

Q. 海外に住んだまま60歳以降にiDeCoを受け取ることはできますか?

A. 受け取れます。記録関連運営管理機関に裁定請求をし、一時金・年金などの受取方法を選びます。請求は75歳までに行う必要があり、しないと法務局に供託されます。海外口座への振込みや海外送金の可否、手数料、書類の送り先は運営管理機関ごとに異なるため、早めに確認してください。

Q. 非居住者がiDeCoを受け取ると日本で税金がかかりますか?

A. 年金で受け取る場合は国内源泉所得の公的年金等として、年金額から月5万円(65歳以上は月9万5千円)に月数を掛けた額を差し引いた残りに20.42%が源泉徴収されます。一時金は退職手当等とみなされ、国内源泉所得に当たる部分に20.42%が源泉徴収されますが、退職所得の選択課税の申告で還付を受けられる場合があります。租税条約で免除される場合は、最初の支払日の前日までに租税条約に関する届出書(様式9)を出します。

Q. 2026年12月の改正で、海外在住でも70歳まで掛金を出せるようになりますか?

A. 改正で新設される第5号加入者は、国民年金の被保険者でない60歳以上70歳未満で、iDeCoの加入者・運用指図者などに当たる人が対象です。ただし施行から3年間の経過措置で新たに加入できるのは日本国内に住所がある人に限られます。海外居住者が第5号加入者として拠出できるかの実務は、運営管理機関または国民年金基金連合会に確認してください。

出典

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。

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