日本の取引先を持ったまま海外に移住する個人事業主・フリーランスは、出国時に「事業を廃止するのか、海外で続けるのか」を決めたうえで税務署への届出を整理する必要があります。非居住者になった後は、国外で行った業務の報酬は原則として日本の所得税の対象になりませんが、一時帰国中の作業や著作権の対価は20.42%の源泉徴収の対象になり得ます。インボイス(適格請求書発行事業者)の登録は非居住者でも維持できますが、国外取引になった報酬には消費税がかからず、申告や納税管理人の手当ても必要になるため、出国前に方針を決めておきましょう。
出国前の届出:廃業届の要否、青色申告・消費税の届出、予定納税の減額
国税庁の手続案内では、「個人事業の開業・廃業等届出書」は事業を廃止したとき、事業所を移転・廃止したときなどに提出する書類で、提出期限は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」です(2026年10月閲覧時点の案内。従来の「1か月以内」から変わっています)。提出先は納税地の所轄税務署で、e-Taxでも提出できます。同じ案内は、事業を廃止して青色申告をやめる人は「青色申告の取りやめ届出書」を、消費税の課税事業者で廃止する事業のほかに課税売上に当たる所得がない人は「事業廃止届出書」も提出するよう求めています。
一方で、海外に住みながら日本の取引先の仕事を続ける人について、国税庁の案内は「廃業届を出すべきかどうか」を明記していません。所得税法上、非居住者は国内源泉所得だけが課税対象になるため(タックスアンサーNo.2873・No.2878)、国外で行う業務の報酬しか受け取らないなら日本で事業所得を申告する場面はなくなります。事業を完全にやめるなら廃業の届出で整理し、海外で続けるなら納税管理人の届出をしたうえで取扱いを所轄税務署に確認してください。
もう一つ忘れやすいのが予定納税です。前年分の所得をもとに計算した予定納税基準額が15万円以上の人は、その年の所得税の一部を前払いします。納期は第1期分が7月1日から7月31日まで、第2期分が11月1日から11月30日までで、原則として基準額の3分の1ずつを納めます(No.2040)。前年に順調だったフリーランスが年の途中で海外移住すると、その年の所得が大きく減るのに前年ベースの予定納税を求められます。国税庁の「予定納税額の減額申請手続」では、廃業や休業をした場合、業況不振などで本年分の所得が前年分より明らかに少なくなると見込まれる場合などに減額を申請できます。出国時の届出と期限を整理すると次のとおりです(期限が土日祝日なら翌日になります)。
- 個人事業の開業・廃業等届出書(所得税法第229条):事業を廃止する場合。提出期限は廃止した日の属する年分の確定申告期限まで
- 所得税の青色申告の取りやめ届出書:青色申告をやめる年分の確定申告期限まで。青色申告の承認は、非居住者の場合「業務を国内において行う方」が対象で、国外で行う業務には使えません
- 消費税の事業廃止届出書(消費税法第57条第1項第3号):課税事業者が事業を廃止した場合に「速やかに」提出。適格請求書発行事業者が廃業する場合は、登録取消しの届出書ではなくこの事業廃止届出書を出し、登録は事業を廃止した日の翌日に効力を失います(消費税法第57条の2第10項第2号)
- 所得税・消費税の納税管理人の届出書:国内に住所がなくなる人が、申告書の提出や納税などを代わりに行う人を定める手続です。納税管理人を定めたとき、または「出国の日まで」に提出します。消費税の申告が残る人は消費税の納税管理人も必要です
- 予定納税の減額申請(第1期分・第2期分):その年の7月1日から7月15日までに提出(6月30日の現況で見積もります)
- 予定納税の減額申請(第2期分のみ):その年の11月1日から11月15日までに提出(10月31日の現況で見積もります)。申告納税見積額は復興特別所得税(所得税額の2.1%)を含めて計算します。納期限を過ぎて納付すると延滞税がかかります
- 出国する年の所得税の申告は、納税管理人を届け出ていれば翌年3月15日までの確定申告、届け出ていなければ出国の時までの申告になります。詳しくは別ガイド「海外在住者の確定申告」をご覧ください
非居住者になった後の日本の取引先からの報酬:どこで作業したかで決まる
非居住者に対する日本の所得税は、所得税法第161条に列挙された「国内源泉所得」だけが対象です。フリーランスの報酬に関係するのは主に次の3つの区分で、どれに当たるかで課税の有無と源泉徴収の扱いが変わります。
第1に、個人が自分で行う役務の報酬(第161条第1項第12号イ)です。条文は「国内において行う勤務その他の人的役務の提供に基因するもの」を国内源泉所得としており、国税庁の「源泉徴収のあらまし」も、国外において自由職業者等による人的役務の提供を受けた場合の対価は日本では課税されないと説明しています。海外の自宅やコワーキングスペースで作業して日本の取引先に納品するデザイン、開発、コンサルティング、執筆などの報酬は、原則としてこの扱いになります。ただし、役務の提供が国内と国外の双方にわたる場合は、国内で行った部分に対応する金額が課税対象になります。一時帰国中に日本で作業した分は、国内源泉所得になり得ると考えてください。
第2に、「人的役務の提供事業の対価」(第6号)です。所得税法施行令第282条は、この事業を、芸能人・職業運動家の役務提供を主たる内容とする事業、弁護士・公認会計士・建築士その他の自由職業者の役務提供を主たる内容とする事業、科学技術・経営管理などの専門的知識や特別の技能を活用して行う役務提供を主たる内容とする事業に限っています。所得税基本通達161-21は、この「事業」とは非居住者が営む「自己以外の者」の人的役務の提供を主たる内容とする事業をいい、非居住者が自分の役務を提供して受ける報酬は第6号ではなく第12号イの報酬に当たるとしています。つまり、1人で仕事をするフリーランスの報酬は、通常は第12号イで考えればよいことになります。他人(スタッフや外部の専門家)を日本に派遣する形の事業は第6号になります。
第3に、「使用料」(第11号)です。国内で業務を行う者から受ける著作権(出版権・著作隣接権を含む)の使用料や譲渡の対価で、その業務に係るものは国内源泉所得です。この区分は「どこで作業したか」ではなく「国内で業務を行う者から受ける対価か」で判定されるため、国外で制作したイラスト、原稿、プログラム、翻訳文などでも、著作権の使用料や譲渡対価として支払われるものは国内源泉所得になり得ます。国税庁の質疑応答事例では、韓国在住の大学教授に論文の韓国語訳を買取契約で依頼した翻訳料を、二次的著作物の権利譲渡の対価として第11号ロの使用料に当たり源泉徴収を要するとしています。他方、パリ在住の日本人に現地のファッション産業の情報提供と現地での協力援助を委嘱した嘱託料は、フランス国内での役務提供等の対価として源泉徴収を要しないとしています。契約が「役務の提供」なのか「著作権の譲渡・利用許諾」なのかで結論が分かれるため、契約書の文言を確認してください。
源泉徴収20.42%と租税条約の届出
国内源泉所得に当たる報酬を非居住者に支払う人は、支払の際に所得税と復興特別所得税を源泉徴収します。税率は、人的役務の提供事業の対価、著作権等の使用料、給与その他人的役務の提供に対する報酬のいずれも20.42%です(タックスアンサーNo.2884)。支払が国外で行われても、支払者が国内に住所、居所、事務所等を持っていれば国内で支払ったものとみなして源泉徴収が必要で、この場合の納付期限は翌月末日です(所得税法第212条第2項)。令和9年(2027年)1月1日以後に生ずる所得については、防衛特別所得税(所得税額の1%)が創設され復興特別所得税が1.1%に引き下げられますが、合計2.1%で変わらないため、20.42%などの合計税率はそのままです。
恒久的施設を持たない非居住者が受ける使用料などは、源泉徴収で課税が完結する源泉分離課税が基本です(No.2873)。恒久的施設の考え方は別ガイド「デジタルノマドの税金」をご覧ください。
移住先の国と日本の間に租税条約があれば、国内法の課税が軽減・免除されることがあります。国税庁の「源泉徴収のあらまし」によると、日本が締結している租税条約の多くは、自由職業者の所得について事業所得に準じて「固定的施設がなければ課税せず」の原則を置いており、国内に自己の活動のために通常使用できる固定的施設がない場合には、自由職業者の人的役務の報酬は課税されません。使用料は、条約で源泉地国の税率の上限(免税を含む)が定められているのが一般的です。ただし条約ごとに内容が異なるため、移住先との条約の条文を確認する必要があります。条約の適用を受けるための手続は次のとおりです(No.2888)。
- 「租税条約に関する届出書」を、最初にその所得の支払を受ける日の前日までに、支払者を経由して支払者の納税地の所轄税務署長に提出します。届出書は支払者ごとに作成します
- 条約に特典条項がある場合は「特典条項に関する付表(様式17)」を添付し、居住地国の税務当局が発行する「居住者証明書」を添付または支払者に提示します。提示する場合は提示の日前1年以内に作成されたものに限られ、支払者は写しを5年間保存します
- 届出書の提出前に支払を受けると国内法の税率で源泉徴収されます。その後、「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書(様式11)」を届出書とともに支払者経由で提出すれば差額の還付を請求できます
- 条約の限度税率が国内法の税率以下になる場合や免税になる場合は、復興特別所得税(令和9年分以後は防衛特別所得税も)は課されません
- どの国の税務上の居住者にもなっていない場合は、租税条約の軽減・免除を受けられません。居住者証明書を取れる状態かどうかが実務上の分かれ目です
インボイス制度と消費税:登録は維持できるが「国外取引」は不課税
消費税は所得税の居住者・非居住者の区分とは別に、取引ごとに国内取引かどうかを判定します。役務の提供は、原則としてその役務の提供が行われた場所で判定し、国内と国外にわたって行われ対価が合理的に区分されていない場合は、役務の提供を行う者の事務所等の所在地で判定します(タックスアンサーNo.6210)。海外の拠点で行う制作や開発、コンサルティングの報酬は国外取引となり、日本の消費税はかかりません(不課税)。この場合、請求書に消費税を上乗せすることもありませんし、取引先側でも課税仕入れにはなりません。
例外は「電気通信利用役務の提供」です。電子書籍や音楽の配信、インターネット広告の配信などは、役務の提供を受ける者の住所等で判定されるため、国内の事業者や消費者に提供すれば国外から提供しても課税対象です。ただし国税庁の「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A」(令和8年6月改訂)は、著作物の制作を国外事業者に依頼し、成果物の受領や制作過程の指示をインターネット等で行うだけの取引(ソフトウエアの制作等)や、情報の収集・分析の結果報告をインターネットで行う取引、著作権の譲渡・貸付けは電気通信利用役務の提供に当たらないとしています。多くのリモートワーク型のフリーランス業務は、この「該当しない」側に入ります。
インボイス(適格請求書発行事業者)の登録は、非居住者になっても自動的には消えません。消費税法では、所得税法上の非居住者である個人事業者は「国外事業者」とされ(第2条第1項第4号の2)、国外事業者の登録申請手続(国税庁D1-65)も用意されています。ただし、国内に事務所等を持たない「特定国外事業者」については、消費税に関する税務代理の権限を持つ税務代理人(税理士)がいないこと、納税管理人の届出をしていないこと、国税の滞納があり徴収が著しく困難なこと、期限内申告書の提出がなく正当な理由がないことなどが、登録の拒否事由や取消事由とされています(消費税法第57条の2第5項・第6項)。登録を維持したまま海外に住むなら、納税管理人を届け出て、消費税の申告を毎年行う体制を整えておく必要があります。登録簿に載っている事項に変更があった場合は、速やかに変更の届出書を提出します(同条第8項)。
登録を続ける間は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下になっても納税義務は免除されません(No.6501)。報酬がすべて国外取引になれば課税売上はほぼゼロになりますが、申告義務自体は残ります。登録をやめる場合は「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出します。翌課税期間の初日から登録の効力を失わせるには、翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに提出が必要で、これを過ぎると翌々課税期間の初日まで登録が続きます(国税庁D1-70)。個人事業者の課税期間は原則として暦年なので、翌年1月1日からやめるなら12月17日が期限です。事業を廃止する場合はこの届出書ではなく事業廃止届出書を出します。
日本の取引先に伝えること・求められる書類
源泉徴収をするかどうかを判断し、源泉所得税を納付する義務は支払者である取引先にあります(所得税法第212条)。取引先は、あなたが居住者か非居住者か、報酬が国内源泉所得かどうかを事実関係で判断しなければならないため、出国後も居住者のつもりで扱われたり、逆に国外で行った業務なのに20.42%を引かれたりするトラブルが起きがちです。出国前に次の点を書面で共有しておくと、双方の処理が安定します。
- 出国日と、出国後の住所(移住先)。所得税法上の非居住者になる見込みであることを伝えます。住民票の除票や移住先の居住者証明書など、裏付けになる書類の写しを求められることがあります
- 業務を行う場所(国外で行う業務であること)。一時帰国中に日本で作業する予定があるなら、その期間や対価の区分を契約や請求書で分けておきます
- 成果物の権利の扱い。著作権の譲渡や利用許諾の対価として支払われる部分は使用料として国内源泉所得になり得るため、役務提供の対価と区分されているか契約書で確認します
- 租税条約の適用を受ける場合は、取引先(支払者)を経由して届出書を出すため、最初の支払日の前日までに書類をそろえる必要があります。居住者証明書の取得には時間がかかる国もあります
- 消費税の扱い。国外取引になる報酬には消費税を上乗せせず、インボイスの登録番号を使い続けるのか、登録をやめるのかを取引先に伝えます
- 支払調書。非居住者に対して国内において行う人的役務の提供の対価として報酬を支払う場合、年間の支払金額が50万円を超えると、取引先は「非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書」などを税務署に提出します。マイナンバーの通知を受けている人はその記載も求められ、日本と自動的情報交換を行う国(アメリカ、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、シンガポール、タイ、マレーシアなど)に住所がある人の分は2枚提出されます。あなたの情報が移住先の税務当局にも共有され得ることを前提にしてください
小規模企業共済・国民年金基金・iDeCo・国民年金はどうなるか
小規模企業共済は、個人事業主の廃業や会社役員の退任に備える中小企業基盤整備機構(中小機構)の制度です。小規模企業共済法第7条が定める契約の解除・みなし解除の事由は、掛金の滞納、不正受給、法人成りのための事業廃止、役員でなくなったことなどで、海外に移住して非居住者になることは解除事由に挙げられていません。東京国税局の文書回答事例でも、オーストラリアに住みながら掛金を払い続けた非居住者の解約手当金が取り上げられており、非居住者のまま契約を続けること自体は想定されています。ただし掛金の払込みは共済契約者本人の個人名義の預金口座からの振替なので、日本の口座を維持する必要があります。中小機構のサイトには海外居住者向けの案内は見当たらなかったため、住所変更の届出方法や共済金の受取口座は共済相談室に確認してください。
税務上の注意点は2つあります。第1に、非居住者である期間に払った掛金は、所得税法第165条により小規模企業共済等掛金控除の対象になりません(上記の文書回答事例でも確認されています)。第2に、非居住者が受け取る解約手当金は国内源泉所得の一時所得として扱われ、非居住者期間中の掛金は収入を得るために支出した金額に算入できる、というのが同事例の整理です。租税条約により結論が変わる可能性もあるため、受取時の課税は事前に確認してください。なお、日本の事業を廃止したことによる共済金A(個人事業の廃止。複数の事業を営む場合はすべての廃止が条件)は掛金納付月数6か月以上で、任意解約による解約手当金は12か月以上で支払われます。廃止の請求には開業・廃業等届出書の写しなどが必要です。
国民年金基金は、全国国民年金基金の案内によると、海外に居住していて国民年金に任意加入している人も加入できます。海外に転居すると基金の加入員資格はいったん失われますが、国民年金の任意加入の手続をしたうえで3か月以内に基金の加入手続をすれば、従前の掛金のまま加入を続けられる特例があります。加入後は任意に脱退できず、65歳到達で資格を失います。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国民年金に任意加入して第4号加入者になれば海外から掛金を続けられ、任意加入しない場合は運用指図者になります。詳しくは別ガイド「海外移住とiDeCo・企業型DC」を、国民年金の任意加入そのものは別ガイド「海外移住と日本の年金」をご覧ください。
帰国後の再開業と、よくある間違い
帰国して日本で再び個人事業を始めるときは、「個人事業の開業・廃業等届出書」を、開業した日の属する年分の確定申告期限までに所轄税務署へ提出します。青色申告をしたい場合は「所得税の青色申告承認申請書」を、その年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合は開業の日から2か月以内)に提出します(タックスアンサーNo.2070)。この期限を逃すとその年は白色申告になり、最高65万円(e-Taxまたは優良な電子帳簿で申告する場合)や55万円の青色申告特別控除を受けられません。インボイスの登録を取り消していた人が再登録する場合、登録の効力は税務署長が登録した日から生じます。小規模企業共済を共済金で受け取っていた人は、一定の条件を満たせば新しい契約に掛金納付月数を引き継ぐ「同一人通算」ができます。
海外移住するフリーランスがつまずきやすい点は次のとおりです。
本ページは制度の一般的な説明で、個別の税務アドバイスではありません。所得の区分や租税条約の適用は契約内容や移住先の国によって結論が変わります。実際の判断や手続は、税理士または所轄の税務署、インボイス制度についてはインボイスコールセンターにご相談ください。
- 納税管理人を届け出ずに出国し、消費税や出国年の所得税の申告・納付ができなくなる(インボイス登録を続ける人は特に注意)
- 一時帰国中に日本で行った作業の対価を国外取引・国外源泉所得として処理し、所得税の源泉徴収や消費税の扱いを誤る
- 「役務の提供」のつもりの契約が著作権の譲渡・利用許諾の対価になっていて、使用料として20.42%の源泉徴収を受ける
- 租税条約に関する届出書を最初の支払日の前日までに出さず、国内法の税率で源泉徴収されてから還付請求に手間をかける
- 7月15日・11月15日の予定納税の減額申請を忘れ、所得が減った年に前年ベースの予定納税を納める
- インボイス登録の取消届出書を12月17日より後に出し、翌年も登録と申告義務が続く
- 非居住者期間に払った小規模企業共済やiDeCoの掛金を、日本の所得控除に使えると思い込む
よくある質問
Q. 海外移住するフリーランスは、必ず廃業届を出さなければなりませんか?
A. 国税庁の手続案内は「事業を廃止したとき」に開業・廃業等届出書を提出するとしており、海外で事業を続ける人の扱いは明記していません。日本の事業を完全にやめるなら、廃業等届出書(期限はその年分の確定申告期限)と、必要に応じて青色申告の取りやめ届出書、消費税の事業廃止届出書を提出します。海外から日本の取引先の仕事を続けるなら、出国の日までに納税管理人を届け出たうえで、取扱いを所轄税務署に確認してください。
Q. 海外の自宅で作業して日本の会社に納品した報酬は、源泉徴収されますか?
A. 個人が自分で行う役務の報酬は、所得税法第161条第1項第12号イにより「国内において行う」人的役務の提供に基因するものだけが国内源泉所得です。国外で行った業務の報酬は原則として日本の課税対象にならず、源泉徴収もされません。ただし、報酬が著作権の使用料や譲渡の対価として支払われる場合は第11号の使用料として国内源泉所得になり得て、20.42%の源泉徴収の対象になります。
Q. 一時帰国して日本で作業した分はどうなりますか?
A. 役務の提供が国内と国外の双方にわたる場合、国内で行った部分に対応する金額が国内源泉所得になり、原則20.42%で源泉徴収されます。租税条約に自由職業者の規定があり、日本に固定的施設がなければ免税になることが多いですが、適用には最初の支払日の前日までの届出書の提出が必要です。一時帰国中の作業は、期間と対価を契約や請求書で区分しておくことをおすすめします。
Q. インボイスの登録は海外に住んでも続けられますか?消費税は請求しますか?
A. 登録は非居住者(消費税法上の国外事業者)になっても自動的には消えず、続けられます。ただし国内に事務所等がない特定国外事業者は、消費税の税務代理人がいないこと、納税管理人の届出をしていないこと、期限内申告をしていないことなどが登録の拒否・取消事由とされているため、納税管理人を置いて毎年申告する体制が前提です。国外で行う役務の提供は国外取引で消費税は不課税なので、請求書に消費税は上乗せしません。登録をやめるなら、翌年1月1日から効力を失わせるために12月17日までに登録取消しの届出書を提出します。
Q. 小規模企業共済は海外移住後も続けられますか?掛金は控除できますか?
A. 小規模企業共済法第7条の解除事由に海外移住や非居住者になることは含まれておらず、東京国税局の文書回答事例でも非居住者が掛金を払い続けた事案が取り上げられています。ただし掛金は本人名義の日本の預金口座からの振替なので口座の維持が必要で、海外居住者向けの手続案内は見当たらないため共済相談室に確認してください。非居住者期間に払った掛金は、所得税法第165条により小規模企業共済等掛金控除の対象になりません。
Q. 帰国してすぐ青色申告を使えますか?
A. 帰国後に開業した日から2か月以内(1月16日以後に開業した場合)、またはその年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出すれば、その年分から青色申告ができます。開業・廃業等届出書は開業した年分の確定申告期限までに提出します。期限を過ぎるとその年は白色申告になり、最高65万円・55万円の青色申告特別控除は受けられません。
出典
本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。