海外に資産を持つ人には、確定申告とは別に、国外財産調書や財産債務調書という「財産の一覧」を税務署へ提出する義務があります。税務署側には、本人が何もしなくても金融機関からの国外送金等調書や、外国の税務当局から届くCRS情報(令和6事務年度は101か国・地域から約275万件)が集まっており、海外投資等を行う個人への調査では1件当たり866万円の追徴が生じています。この記事では、調書の対象者・期限・記載方法から、提出しなかった場合の加算税と罰則、税務調査の流れ、海外在住者への調査の連絡先となる納税管理人、更正できる期間、非居住者になった後の扱いまでを整理します。
国外財産調書:対象者・期限・記載する財産と価額
国外財産調書は、「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」(国外送金等調書法)第5条に基づく制度で、平成26年1月から施行されています。所得税法上の居住者(非永住者を除きます)で、その年の12月31日において価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を持つ人は、国外財産の種類・数量・価額・所在などを記載した国外財産調書を、翌年6月30日までに所轄税務署長へ提出しなければなりません。提出先は、所得税の納税義務がある人はその納税地、それ以外の人は住所地(国内に住所がなければ居所地)を所轄する税務署です。「国外財産調書合計表」の添付も必要で、e-Taxソフト(法定調書関係)からも提出できます。
居住者かどうかは、その年の12月31日の現況で判定します。非永住者とは、居住者のうち日本国籍を持たず、かつ過去10年以内に国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下の人をいいます。したがって、日本国籍を持つ日本の居住者は、海外に長く住んだ後に帰国した人も含め、ほぼ全員が対象になります。
記載する価額は、その年の12月31日における「時価」、または時価に準ずるものとして「見積価額」です。外貨建ての財産は、同日の外国為替の売買相場で円換算します。国税庁のFAQ(令和8年8月改訂)では、財産の種類ごとに見積価額の算定方法(例:預金は12月31日の残高、未決済の信用取引やデリバティブは12月31日に決済したとみなした利益または損失の額)が示されています。5,000万円の判定には含み損のある信用取引等やデリバティブ取引に係る権利も含め、価額がマイナスになる場合は他の財産と通算します。
「国外にある財産」かどうかは、財産の種類ごとに所在を判定します。主な判定基準は次のとおりです。
- 不動産・動産:その不動産や動産の所在地
- 預貯金:預入れを受け入れた金融機関の営業所または事業所の所在(日本の銀行の海外支店の預金は国外財産、外国銀行の日本支店の預金は国内財産)
- 有価証券:原則として発行法人の本店の所在ですが、金融商品取引業者等の口座で管理されているものは、その口座が開設された営業所等の所在で判定します(海外の証券口座で持つ日本株は国外財産、日本の証券口座で持つ米国株は国内財産)
- 貸付金:債務者の住所や本店の所在
- 暗号資産・NFT:財産を持つ人の住所(住所がなければ居所)で判定するため、日本の居住者が海外の暗号資産取引所に保有する暗号資産やNFTは「国外にある財産」にならず、国外財産調書の記載対象外です(FAQ問36・問37)
- 記載は財産の「種類別」「用途別(一般用・事業用)」「所在別」に行い、所在欄には国名と所在地のほか、金融機関名や口座番号などを記載します
- 相続開始年の特例:相続が始まった年分の調書は、相続・遺贈で取得した国外財産(相続国外財産)を記載せずに提出でき、提出義務の判定からもその価額を除外できます
財産債務調書:対象者と令和5年分以後の見直し
財産債務調書は、国外財産調書法第6条の2に基づき、国内外を問わず持っている財産と債務の一覧を提出する制度です。令和4年度税制改正で見直され、令和5年分以後は提出義務者が拡充されるとともに、提出期限が翌年3月15日から翌年6月30日に後倒しされました(国外財産調書も同じく6月30日です)。対象者は次のいずれかに該当する人です。
- 所得税の確定申告書を提出すべき人(または一定の還付申告書を提出できる人)で、その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ12月31日において価額の合計額が3億円以上の財産、または1億円以上の国外転出特例対象財産(所得税法第60条の2の有価証券等、未決済信用取引等、未決済デリバティブ取引に係る権利)を持つ人
- 上記に該当しない居住者で、12月31日において価額の合計額が10億円以上の財産を持つ人(令和5年分以後に追加された要件)
- 提出先は所得税の納税地の所轄税務署で、「財産債務調書合計表」を添付します
- 国外財産調書も提出する人は、財産債務調書には国外財産に係る事項(価額を除きます)の記載を要しません。ただし「国外財産調書に記載した国外財産の価額の合計額」などを財産債務調書と合計表に記載し、国外にある債務は財産債務調書に記載します。両方の要件を満たす場合は、両方の調書を提出する必要があります(FAQ問19)
- 記載の簡略化:令和5年分以後は、取得価額300万円未満の家庭用動産(現金、書画骨とう、美術工芸品、貴金属類を除く)は記載を省略でき、12月31日の価額が300万円未満の事業用未収入金や借入金・未払金等は所在別に区分せず件数と総額で記載できます。預入高50万円未満の預貯金口座は口座番号を記載すれば預入高の記載を省略でき、青色申告決算書等に記載した減価償却資産は総額で記載できます
- 相続開始年の特例は財産債務調書にもあり、相続・遺贈で取得した財産や債務を除外して提出・判定できます
提出しないとどうなるか:加算税の5%軽減・加重、罰則、提出状況の統計
国外財産調書は、本人に自分の海外資産を申告させる仕組みであるため、提出を促すための「アメとムチ」が用意されています。国外財産調書法第6条の加算税の特例と第10条の罰則です。
- 軽減措置:期限内に提出した国外財産調書に記載がある国外財産について、所得税や相続税の申告漏れが生じたときは、その部分の過少申告加算税・無申告加算税が5%軽減されます
- 加重措置:期限内に提出がない場合や、提出した調書に記載すべき国外財産の記載がない場合(重要な事項の記載が不十分な場合を含みます)に、その国外財産に関する所得税・相続税の申告漏れ(亡くなった人に係るものを除きます)が生じたときは、加算税が5%加重されます
- 書類の提示を求められて出さなかった場合:修正申告等の前に、調査担当者から国外財産の取得・運用・処分に関する書類の提示・提出を求められ、求められた日から60日を超えない範囲で指定された日までに出さなかったとき(責めに帰すべき事由がない場合を除きます)は、軽減措置は適用されず、加重割合は5%から10%になります
- 期限後に出した場合の救済:提出期限後に調書を出しても、それが調査通知の前で、更正や決定を予知してされたものでないときは、期限内に提出されたものとみなして軽減措置が適用されます(第6条第6項)。気づいた時点で早く出すことに意味があります
- 罰則:国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合、または正当な理由なく期限までに提出しなかった場合は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されることがあります。正当な理由のない不提出については、情状により刑を免除できるとされています
- 財産債務調書にも同様の加算税の特例があり、記載がある財産・債務に関する所得税(軽減は相続税も対象)の申告漏れについて5%軽減、不提出・記載漏れの場合は所得税について5%加重されます。財産債務調書には刑事罰の規定はありません
- 提出状況(国税庁、令和8年1月公表):令和6年分(令和6年12月31日時点)の国外財産調書の総提出件数は14,544件(前年比1,301件増、9.8%増)、総財産額は8兆1,945億円(1兆7,048億円増、26.3%増)です。東京国税局分が9,262件(63.7%)で財産額の80.6%を占めます。財産の種類別では有価証券5兆4,817億円(66.9%)、預貯金8,817億円(10.8%)、建物5,397億円(6.6%)、貸付金2,618億円、土地1,686億円でした
- 特例措置の適用実績:令和6事務年度の所得税・相続税の実地調査では、軽減措置の適用が221件(増差所得等金額57億円)、加重措置の適用が366件(同170億円)でした。国税庁は、提出が必要と見込まれる人や記載に不備がある人へ文書で照会する取組を続けています
本人の手続なしに税務署へ届く情報:国外送金等調書とCRS
税務署は、納税者が出す調書だけに頼っているわけではありません。海外とのお金の動きや海外口座の残高は、金融機関や外国の税務当局から自動的に届いています。
国外送金等調書:国外送金等調書法第4条により、金融機関(資金移動業者を含みます)は、顧客が行った100万円を超える国外送金と国外からの送金の受領について、顧客の氏名・住所、金額、告知書に記載された送金原因などを記載した国外送金等調書を、為替取引を行った日の属する月の翌月末日までに税務署長へ提出します。100万円の基準は同法施行令第8条で定められています。提出するのは金融機関であり、送金者本人が税務署に対して行う手続はありませんが、送金時に金融機関へ提出する告知書(マイナンバーの記載が必要です)の内容がそのまま税務署に伝わります。ステーブルコインなどの電子決済手段を国外へ移転する取引についても、100万円超のものは国外電子決済手段移転等調書の対象です(施行令第9条の9)。
CRS(共通報告基準):OECDが策定した、非居住者の金融口座情報を税務当局間で自動的に交換する国際基準です。日本では平成29年1月1日以後に金融機関で口座を開設する人は居住地国等を記載した届出書を提出し、金融機関は平成30年以後、毎年4月30日までに非居住者の口座情報を所轄税務署長に報告しています。報告・交換される情報は、口座保有者の氏名・住所、居住地国、外国の納税者番号、口座残高、利子・配当等の年間受取総額などです。対象となる口座は、銀行の預金口座、証券会社の保管口座、生命保険会社のキャッシュバリュー保険契約・年金保険契約、信託の受益権などに及びます。海外の金融機関にある日本居住者の口座情報は、同じ仕組みで相手国から国税庁へ送られます。
国税庁が令和8年1月に公表した「令和6事務年度 租税条約等に基づく情報交換事績の概要」によると、受領状況は次のとおりです。
- 日本居住者のCRS情報を101か国・地域の外国税務当局から2,745,374件(約275万件)受領し、過去最高となりました(前事務年度2,455,288件、対前年比111.8%)。内訳は個人口座約272万件(残高約9.6兆円)、法人口座約3万件(残高約8.1兆円)です
- 地域別の受領口座数は、アジア・大洋州1,858,808件(67.7%)、中東・アフリカ459,467件、欧州・NIS諸国320,968件、北米・中南米106,131件です。令和8年1月1日時点でCRS情報を交換できる国・地域は115か国・地域です
- 日本からは、外国居住者のCRS情報328,034件(約33万件)を84か国・地域に提供しました
- CRS以外にも、法定調書情報(非居住者への利子・配当・不動産賃借料等の支払情報)を126,928件受領し920,649件提供、自発的情報交換を1,781件受領、要請に基づく情報交換は国税庁からの要請が505件、外国からの要請が326件でした
- 国税庁は、受領したCRS情報や法定調書情報を、国外送金等調書・国外財産調書などの各種調書や既に持っている資料情報と突き合わせて分析し、課税上問題があると見込まれる資産や所得の把握に使っていると説明しています。徴収の分野でも外国税務当局への徴収共助の要請に活用しています
海外資産・海外取引に関する税務調査の実態(令和6事務年度)
国税庁は毎年、7月から翌年6月までの「事務年度」ごとに所得税の調査状況を公表しています。最新の「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(令和7年12月公表、対象期間は令和6年7月から令和7年6月)では、所得税の「調査等」(実地調査と簡易な接触の合計)は73万6千件(前事務年度60万5千件)、追徴税額の合計は1,431億円(同1,398億円)で過去最高となりました。実地調査は4万7千件で、1件当たりの追徴税額は241万円、高額・悪質な事案を対象とする特別調査・一般調査に限ると1件当たりの申告漏れ所得金額は1,486万円、追徴税額は299万円です。
海外に関係する調査のトピックスとして、国税庁は「富裕層」と「海外投資等を行っている個人」の数字を公表しています。国税庁は、海外投資を行っている個人や海外資産を保有している個人に対し、国外送金等調書、租税条約等に基づく情報交換制度、CRS情報などを効果的に活用して積極的に調査を実施していると明記しています。
- 富裕層(有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な個人、海外投資等を積極的に行う個人など):実地調査(特別・一般)2,427件(前事務年度2,407件)、申告漏れ所得金額の総額837億円(同655億円)、1件当たり3,449万円(同2,723万円)、追徴税額の総額207億円(同170億円)、1件当たり855万円で、所得税の実地調査全体(299万円)の2.9倍です
- 海外投資等を行っている富裕層:1件当たりの追徴税額は1,595万円(前事務年度1,290万円)で、実地調査全体の5.3倍に達します
- 海外投資等を行っている個人:実地調査(特別・一般)2,666件(前事務年度2,584件)、申告漏れ所得金額の総額922億円(同664億円)、追徴税額の総額231億円(同168億円)、1件当たりの追徴税額866万円(実地調査全体の2.9倍)です。ここでいう「海外投資」は海外の不動産・証券などへの投資(預貯金等の海外での蓄財を含みます)を指し、海外で支払を受ける給与なども「その他」の取引区分として調査対象に含まれます
- 無申告者:実地調査(特別・一般)4,812件、追徴税額の総額252億円、1件当たり524万円で、ともに過去最高です
- 暗号資産等取引を行っている個人:実地調査(特別・一般)613件(前事務年度535件)、1件当たりの申告漏れ所得金額2,538万円、追徴税額の総額46億円、1件当たり745万円です
- 公表された調査事例には、国外送金等調書やCRS情報を活用して、国外不動産の貸付けによる賃料収入の申告漏れを把握したケースが含まれています
税務調査の流れと海外在住者への調査:事前通知・質問検査権・納税管理人
税務調査の手続は国税通則法第7章の2(第74条の2以下)に定められ、国税庁は「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」(令和8年7月改訂)で運用を説明しています。実務上の流れは次のとおりです。
- 調査と行政指導の区別:税務署から電話や文書で申告内容の見直しを求められるもの(簡易な接触)は、行政指導として行われることがあります。これに応じて自主的に修正申告をした場合は過少申告加算税はかかりません(当初申告が期限後申告の場合は無申告加算税が原則5%かかります)。担当者は、手続に入る前に調査か行政指導かを明示することになっています。国外財産調書の提出が必要と見込まれる人への文書照会も、こうした接触の一つです
- 事前通知(国税通則法第74条の9):実地調査では原則として、調査開始前に電話等で、調査を開始する日時・場所、調査の目的、対象となる税目・課税期間、帳簿書類その他の物件などが納税者(税務代理人がいる場合はその税理士を含みます)に通知されます。合理的な理由があれば日時・場所の変更を求めて協議できます。ただし、事前通知をすると違法・不当な行為を容易にするおそれなどがあると判断された場合は通知なしで調査が行われることがあり、その場合も臨場後に対象税目や目的が説明されます
- 質問検査権(第74条の2):国税庁・国税局・税務署の職員は、所得税等の調査について必要があるときは、納税義務者(および納税者に金銭等を支払う義務がある者や受け取る権利がある者、つまり取引先や金融機関など)に質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、その提示や提出を求めることができます。調査の過程で事前通知された税目・期間以外に非違が疑われる場合は、通知なしにその事項にも調査が及びます
- 調査の終了:更正決定等をすべきと認められる非違がある場合は、その内容(金額と理由)が原則として口頭で説明され、修正申告が勧奨されます。勧奨に応じるかは任意で、応じない場合は調査結果に基づき更正等の処分が行われますが、それにより不利な扱いを受けることは基本的にありません。修正申告をすると不服申立てはできませんが、一定期間内なら更正の請求はできます。非違がなければ「更正決定等をすべきと認められない」旨の書面が交付され、原則としてその税目・課税期間の再調査は行われません(新たに得られた情報に照らして非違があると認めるときを除きます)
- 海外在住者への調査と納税管理人(第117条):国内に住所も居所もない人は、申告書の提出その他国税に関する事項を処理させるため、国内に住所または居所を有する者の中から納税管理人を定め、所轄税務署長に届け出なければなりません。届出書(「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」)は、納税管理人を定めたときまたは出国の日までに提出します。税務署が発する書類は、納税管理人がいるときはその住所または居所に送達される(第12条)ため、調査の事前通知や照会文書、更正通知は納税管理人に届きます。海外在住中に国内の家族や税理士へ税務署から連絡が来た場合は、本人への調査が始まっている可能性があります
- 納税管理人を届け出ていない場合:国税局長または税務署長は、60日を超えない範囲で指定した日までに納税管理人の届出をするよう書面で求めることができ、応じないときは、本人と生計を一にする成年の親族、課税の基礎となる事実について契約により密接な関係を持つ者、本人が継続的・反復的に取引する場を提供するプラットフォーム事業者などを「特定納税管理人」として指定できます(第117条第3項から第5項)。海外にいるから連絡が取れない、という状態にはなりません
更正の期間制限(5年・7年・情報交換要請で3年延長)と修正申告の加算税
税務署が更正や決定を行える期間には制限があります(国税通則法第70条)。原則は法定申告期限から5年で、偽りその他不正の行為により税額を免れた場合は7年です。国外転出時課税(所得税法第60条の2・第60条の3)の適用がある所得税については、納税管理人の届出や税理士の税務代理権限証書の提出などがない場合は7年とされています(第70条第5項第3号)。
海外取引・海外資産については、さらに期間が延びる特例があります(第71条第1項第4号)。調査担当者が納税者に国外取引(非居住者や外国法人との取引など)または国外財産に関する書類の提示・提出を求め、求めた日から60日を超えない範囲で指定した日までに提示・提出がなかった場合(責めに帰すべき事由がない場合を除きます)で、国税庁長官が租税条約等の相手国にその国外取引・国外財産の情報提供を要請し(要請した旨は3か月以内に納税者へ通知されます)、相手国から提供された情報に照らして非違があると認められるときは、通常の期間を過ぎていても、要請書面が発せられた日から3年間は更正決定等ができます。ただし、通常の期間制限が満了する日の6か月前以後に行われた要請は対象外です。海外資産に関する資料の提示を求められたときに応じないと、調査の期間が実質的に延びることになります。
修正申告や期限後申告をしたときの加算税(国税通則法第65条・第66条・第68条、国税庁タックスアンサーNo.2024・No.2026)は、申告するタイミングで大きく変わります。
- 過少申告加算税:調査を受けた後に修正申告した場合や更正を受けた場合は、新たに納める税金の10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は15%)です。調査通知を受けた後、更正を予知する前に修正申告した場合は5%(同じく超える部分は10%)に軽減され、調査の事前通知(調査通知)の前に自主的に修正申告した場合はかかりません
- 無申告加算税:調査後の期限後申告や決定の場合は15%、納付すべき税額のうち50万円を超える部分は20%、300万円を超える部分は30%(令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの)です。調査通知後・更正予知前の期限後申告は10%・15%・25%、調査通知前の自主的な期限後申告は5%です。法定申告期限から1か月以内の自主的な期限後申告で、納税を済ませ、過去5年以内に無申告加算税・重加算税を課されていないなどの要件を満たせば課されません
- 重加算税:事実の隠蔽・仮装があった場合は、過少申告加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%が課されます。過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合は、さらに10%加重されます
- 国外財産調書・財産債務調書の特例:上記の過少申告加算税・無申告加算税の割合に、調書の提出・記載がある財産なら5%の軽減、提出・記載がない場合は5%(書類の不提示があれば10%)の加重が適用されます
- 加算税とは別に、法定納期限の翌日から納付日までの延滞税がかかります
- 国外財産調書の提出期限内(翌年1月1日から6月30日まで)に、納税管理人の届出をしないで出国(国内に住所も居所も持たなくなること)した場合や死亡した場合は、その年分の国外財産調書の提出義務はありません(国外送金等調書法第5条第1項ただし書、FAQ問2)。逆に、納税管理人を届け出て出国した場合は、出国前年分の調書を納税管理人を通じて提出する必要があります
- 海外移住後は、各年の12月31日に非居住者であれば国外財産調書の対象外です。財産10億円以上を理由とする財産債務調書も居住者のみが対象ですが、所得2,000万円超・財産3億円以上等を理由とする財産債務調書は「確定申告書を提出すべき者」が対象で、所得税法第166条による非居住者への準用が条文上含まれているため、日本で確定申告義務のある非居住者が要件を満たす場合は提出が必要になり得ます。該当しそうな人は税務署か税理士に確認してください
- 本ページは制度の一般的な説明で、個別の税務アドバイスではありません。実際の判断や手続は、税理士または所轄の税務署にご相談ください
よくある質問
Q. 海外に移住して非居住者になりました。国外財産調書は今後も出す必要がありますか?
A. 国外財産調書の対象は、その年の12月31日の現況で判定した所得税法上の居住者(非永住者を除く)です。12月31日に非居住者であれば、その年分の調書を提出する義務はありません。また、提出期限(翌年6月30日)までに納税管理人の届出をしないで出国した場合は、出国前年分の調書も提出を要しません。帰国して再び居住者になった年の12月31日に国外財産が5,000万円を超えていれば、翌年6月30日までに提出が必要です。
Q. 納税管理人を届け出て出国する場合、出国する年と前年分の調書はどうなりますか?
A. 国外財産調書の提出義務が免除されるのは、納税管理人の届出をしないで国内に住所も居所も持たなくなった場合です。納税管理人を届け出て出国する場合は、前年の12月31日に5,000万円を超える国外財産があれば、前年分の国外財産調書を6月30日までに納税管理人を通じて提出する必要があります。出国した年については、その年の12月31日に非居住者であるため国外財産調書の対象外です。
Q. 海外の暗号資産取引所に置いている暗号資産は国外財産調書に書きますか?
A. 書きません。国税庁のFAQ(問36・問37)では、暗号資産やNFTは財産を持つ人の住所(住所がなければ居所)の所在で「国外にある」かどうかを判定するとされており、日本の居住者が国外の取引所やマーケットプレイスで保有する暗号資産・NFTは国外財産に当たらないため、国外財産調書の記載対象になりません。ただし財産債務調書の対象者であれば、暗号資産は財産として財産債務調書に記載が必要です。暗号資産の売却益などの所得税の申告義務は別に残ります。
Q. 国外財産調書と財産債務調書の両方の要件を満たします。同じ財産を二重に書くのですか?
A. 両方の調書を提出する必要がありますが、国外財産調書を提出する人は、財産債務調書には国外財産に係る事項(価額を除く)を記載しなくてよいとされています。財産債務調書と財産債務調書合計表には「国外財産調書に記載した国外財産の価額の合計額」と「うち国外転出特例対象財産の価額の合計額」を記載し、国外にある債務は財産債務調書に記載します。
Q. 100万円を超える海外送金をすると税務署に知られますか。自分で何か届け出る必要はありますか?
A. 100万円を超える国外送金と国外からの送金の受領については、金融機関(資金移動業者を含む)が国外送金等調書を翌月末日までに税務署へ提出します。本人が税務署に届け出る手続はありませんが、送金時に金融機関へ提出する告知書に記載した送金原因や氏名・住所・マイナンバーが税務署に伝わります。国税庁は国外送金等調書をCRS情報や国外財産調書と突き合わせて、海外不動産の賃料収入などの申告漏れを把握しています。
Q. 税務調査は何年前まで遡りますか。自主的に修正申告すると加算税はどうなりますか?
A. 更正や決定ができるのは原則として法定申告期限から5年、偽りその他不正の行為がある場合は7年です。国外取引や国外財産に関する書類の提示を求められて60日以内の指定日までに出さず、国税庁が租税条約に基づき相手国に情報を要請した場合は、要請から3年間は更正等ができ、実質的に延長されます。加算税は、調査の事前通知前に自主的に修正申告すれば過少申告加算税はかからず、調査通知後・更正予知前なら5%(50万円等を超える部分は10%)、調査後なら10%(同15%)です。無申告の場合は調査通知前の自主的な期限後申告なら5%、調査後なら15%・20%・30%で、国外財産調書の提出状況によりさらに5%軽減または加重されます。
出典
本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。