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EUブルーカードの条件と2026年の給与基準:ドイツ・フランス・オランダなど国別比較、家族帯同、永住への道(2026年)

最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)

EUブルーカードは、高度な職務に就く非EU国籍者のための就労・滞在許可で、デンマークとアイルランドを除く25のEU加盟国で共通のルール(指令(EU)2021/1883)に基づいて発行されます。6か月以上の雇用契約、大学卒業または3年以上のIT実務経験、そして国ごとに決まる給与基準の3点を満たせば申請でき、12か月後には他の加盟国に移ることもできます。このページでは、2026年10月時点で各国の公式ページで確認できた給与基準と、家族の帯同、永住への道、日本の年金との関係をまとめます。シェンゲン圏の90日ルールやEES・ETIASは別ガイド「EUの入国・滞在・税のルールまとめ」をご覧ください。

EUブルーカードの共通ルール:改正指令(EU)2021/1883

EUブルーカードの根拠は、2021年に採択された指令(EU)2021/1883(旧指令2009/50/ECを廃止)です。欧州委員会によると、改正指令は2021年11月27日に発効し、加盟国は2023年11月18日までに国内法化することとされました。適用されるのはデンマークとアイルランドを除く25のEU加盟国で、この2か国は独自の高度人材向け制度を持っています(後述)。

指令第5条が定める主な申請要件は次のとおりです。給与基準は各国が社会的パートナーと協議して設定し、その国の平均総年収の1.0倍以上1.6倍以下でなければなりません。さらに、ISCO(国際標準職業分類)の大分類1(管理職)・2(専門職)に属し人材が特に不足している職業と、申請前3年以内に高等教育の資格を取得した人については、各国は通常基準の80%以上(ただし平均総年収の1.0倍を下回らない)まで基準を引き下げることができます。

「高度な職業資格」は、3年以上の高等教育の修了、または国内法が認める場合に高等教育と同等レベルの5年以上の職務経験で証明します。IT分野は特別で、附属書Iに掲げるICTサービス管理職(ISCO-08の133)とICT専門職(同25)については、申請前7年以内に3年以上の関連する職務経験があれば、大学卒業資格がなくても申請できます。この附属書Iの扱いは、各国の国内法に委ねられず、指令で直接定められています。

主要国の2026年の給与基準(公式ページで確認できた国のみ)

給与基準は毎年(国によっては年2回)改定されます。以下は2026年10月時点で各国の公式ページで確認できた金額で、いずれも税引き前の年収(オランダは月収)です。確認できなかった国・項目は「要確認」としています。申請日時点の基準が適用されるのが一般的なので、必ず申請直前に公式ページで最新の金額を確認してください。

国別の手続のポイント:有効期間・手数料・審査期間

給与基準以外にも、カードの有効期間、申請先、手数料、審査期間は国ごとに違います。各国の公式ページで確認できた主な点を挙げます。

EU内の移動、転職、家族の帯同と就労

ブルーカードの最大の特徴は、EU内の移動が制度として保障されていることです。指令第20条の短期移動では、有効なブルーカードを持っていれば、業務目的で他の加盟国に「あらゆる180日間で90日まで」滞在でき、ブルーカード以外の許可は不要です。第21条の長期移動では、最初の国でブルーカード保持者として12か月間合法的に居住した後、2番目の国で高度な職務に就くために入国・居住・就労する権利があり、2番目の国で6か月以上の契約を示して新たにブルーカードを申請します。2回目以降の移動は6か月の居住で可能になります。

移動先での手続は各国が定めます。ドイツは、他の加盟国で12か月以上ブルーカードを保有していた人は査証なしで入国でき、入国後1か月以内にドイツのブルーカードを申請するとしています(BAMF)。フランスも、他のEU国でブルーカードを持って1年以上居住した人は入国後1か月以内に申請するとし、2回目の移動では最低居住期間が6か月に短縮されます(Service-Public)。オランダは長期移動の申請を30日以内に決定し、期限内に決定がなく申請が完全であれば就労を始められるとしています(IND)。

家族については、指令第17条が家族呼び寄せ指令(2003/86/EC)の特例を定めています。配偶者等の家族は、統合措置や待機期間を課されずに同時に滞在許可を受けられ、国内法の要件に従って雇用・自営の両方に就けます。家族が自立した滞在許可を得るための居住期間も、複数の加盟国での居住を合算できます(当該国で直前2年の居住を求めることは可能)。

永住(EU長期居住者資格・各国の定住許可)と国籍への道

EUレベルの永住に相当するのが「EU長期居住者資格」(指令2003/109/EC)で、原則として一つの加盟国に5年間合法的かつ継続して居住することが要件です。ブルーカード保持者には指令2021/1883第18条の特例があり、長期移動を使って複数の国に住んだ場合でも、ブルーカード(または各国の高度人材向け許可、研究者、学生等)として過ごした期間を合算して5年を満たせます。ただし申請する国で直前に2年間ブルーカード保持者として継続して居住していることが必要で、12か月未満かつ合計18か月以内のEU域外滞在は居住の中断とみなされません。

オランダのINDはこの特例を、「他のEU国で12か月以上ブルーカードで居住した後、オランダで2年以上連続してブルーカードで居住」または「EU域内で合計5年」という形で案内しています。フランスも、他のEU国を含めて3年以上合法的に居住し、直前2年はフランスでブルーカードを保有していれば長期居住者カードを申請できるとしています(資力はSMIC以上、フランス語B1、市民試験などの統合要件があります)。

EU共通の資格とは別に、各国には独自の定住許可があり、ブルーカード保持者はこちらの方が早いことが多いです。ドイツでは、高度な職務に就いて年金保険料を納め、基礎的なドイツ語があれば27か月で定住許可(Niederlassungserlaubnis)が得られ、ドイツ語B1があれば21か月に短縮されます(BAMF)。オーストリアでは、24か月のうち21か月以上ブルーカードの要件を満たす雇用があれば、雇用主に縛られないレッド・ホワイト・レッドカード・プラスに切り替えられ、同カードは2年以上の合法的な定住と統合協定モジュール1を満たせば3年有効になります(migration.gv.at)。

国籍(帰化)は完全に各国の国内法で、必要な居住年数や語学・市民知識の要件は国ごとに異なります。日本との関係で注意すべきなのは、国籍法第11条第1項により、自分の意思で外国の国籍を取得した場合(外国への帰化など)には自動的に日本国籍を失うことです(法務省 国籍Q&A)。永住までであれば日本国籍に影響はありませんが、帰化を考える段階では、日本国籍を失う点を踏まえて判断してください。

ブルーカードがない国:デンマークとアイルランドの代替制度

デンマークとアイルランドはブルーカード指令に参加していないため、それぞれの国の就労許可を使います。どちらも給与額を主な基準とする点はブルーカードと似ていますが、EU内の移動の権利はありません。

日本の年金・健康保険との関係:社会保障協定を確認する

ブルーカードで現地企業に雇用されると、原則として就労先の国の年金・医療保険に加入します。日本と社会保障協定を結んでいる国であれば、日本から派遣される一時派遣者は保険料の二重負担を避けられ、協定の多くは両国の年金加入期間を通算して受給資格を判定する「期間通算」も含みます。現地採用でその国の制度にだけ加入する場合でも、期間通算があれば、短期間の加入で掛け捨てになるリスクを減らせます。

日本年金機構の一覧によると、本ガイドで取り上げた国との協定の発効時期は、ドイツ2000年2月、フランス2007年6月、オランダ2009年3月、チェコ2009年6月(改正議定書2018年8月)、スペイン2010年12月、アイルランド2010年12月、イタリア2024年4月、オーストリア2025年12月です。このうちイタリアとの協定は保険料の二重負担防止のみで期間通算がありません。ポーランドとデンマークは協定相手国として掲載されていません。2025年12月のオーストリアとの発効で、日本の協定発効国は24か国になりました。

協定の対象制度も国ごとに異なります。たとえばドイツ・スペイン・アイルランドは公的年金のみ、フランス・オランダは年金と医療保険、チェコとオーストリアは年金・医療・雇用保険が対象です(オーストリアでは滞在許可の要件上、派遣者や自営業者が両国の医療保険に加入する必要がある場合があると注記されています)。日本側の手続(国民年金の任意加入、海外からの年金請求、現況届)は当サイトの「海外に住んで日本の年金を受け取るには」、国民健康保険の資格喪失や海外療養費は「海外移住と健康保険」のガイドをご覧ください。

本ページは制度の一般的な説明で、個別の法的・税務アドバイスではありません。給与基準と手続は毎年変わるため、申請前に必ず各国の移民当局と大使館の公式サイトで最新情報を確認してください。

よくある質問

Q. 大学を卒業していないITエンジニアでもEUブルーカードを申請できますか?

A. できます。指令(EU)2021/1883の附属書Iにより、ICTサービス管理職(ISCO-08の133)とICT専門職(同25)は、申請前7年以内に3年以上の関連する職務経験があれば、高等教育の学位がなくても「高度な職業資格」を満たすとされています。ドイツでは2026年の給与基準が45,934.20ユーロ以上に引き下げられ、連邦雇用エージェンシーの同意が必要です。オランダ、オーストリア、イタリア、ポーランドも同様の3年ルールを公式ページで案内しています。

Q. ドイツのブルーカードの給与基準は2026年にいくらですか?ボーナスは含められますか?

A. 2026年は年収50,700ユーロ以上、人材不足職種・新卒者(学位取得3年以内)・学位のないIT専門職は45,934.20ユーロ以上です(連邦雇用エージェンシーZAV、在外公館の案内)。基準は連邦内務省が毎年公表します。何を給与に含められるかは国ごとに異なり、たとえばオランダは契約に明記され毎月同額で支払われる固定手当は算入できますが休暇手当は含めず、デンマークのペイ・リミット制度は現金給与・年金拠出・有給休暇手当のみを算入し現物給付は含めません。ドイツの算入ルールは外国人局または在外公館で確認してください。

Q. ブルーカードを取った国から別のEU加盟国に転職できますか?

A. できます。最初の国でブルーカード保持者として12か月間合法的に居住した後は、2番目の国で高度な職務に就くために移動する権利があり、6か月以上の契約を示して移動先で新たにブルーカードを申請します(指令第21条)。2回目以降の移動は6か月の居住で可能です。ドイツとフランスは入国後1か月以内の申請を求め、オランダは30日以内に決定します。また、有効なブルーカードがあれば業務目的で他の加盟国にあらゆる180日間で90日まで滞在できます(第20条)。デンマークとアイルランドには移動できません。

Q. 失業したらブルーカードはすぐ失効しますか?

A. すぐには失効しません。指令第8条により、保有期間が2年未満なら通算3か月まで、2年以上なら通算6か月までの失業ではカードは取り消されません。取り消す場合も、求職のため3か月以上(2年以上雇用されていた人は6か月以上)の期限が与えられます。オランダのINDも、許可取得から2年未満なら3か月、2年以上なら6か月の求職期間(許可の有効期間内)を案内しています。最初の12か月の転職は届出が必要な国が多く、ドイツでは外国人局が30日間保留して拒否できる点に注意してください。

Q. 配偶者は現地で働けますか?

A. 働けます。指令第17条により、ブルーカード保持者の家族は統合措置や待機期間なしに同時に滞在許可を受けられ、国内法の要件に従って雇用・自営の両方に就けます。ドイツでは配偶者はドイツ語能力を求められずに滞在許可を受け、直ちに無制限の就労が認められます。フランスでは配偶者と未成年の子が「タレント・ファミーユ」の許可証を受け、雇用主の労働許可申請なしに被用者・自営の就労ができます。オーストリアでは入国前のドイツ語A1の証明が免除されます。

Q. ブルーカードから永住までは何年かかりますか?

A. EU長期居住者資格は原則5年の合法的かつ継続した居住が必要ですが、ブルーカード保持者は複数の加盟国での居住期間を合算でき、申請国での直前2年の居住があればよいとされています(指令第18条)。各国独自の定住許可はもっと早く、ドイツでは高度な職務に就いて年金保険料を納めていれば27か月(ドイツ語B1があれば21か月)で定住許可が得られます。オーストリアでは24か月のうち21か月の雇用でレッド・ホワイト・レッドカード・プラスに切り替えられます。なお外国に帰化すると国籍法第11条により日本国籍を自動的に失うため、永住と帰化は分けて考えてください。

出典

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。

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