海外に住所を定めて3か月以上滞在する日本人は、旅券法により在留届の提出が義務付けられています。国政選挙で投票するには在外選挙人名簿への登録が別途必要で、出国前に市区町村で申請しておくのが最も手間がかかりません。パスポートの更新や新規申請は海外からもオンラインで申請でき、出生や婚姻の届出は在外公館で受け付けています。
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在留届・在外選挙・パスポート更新のやり方|海外在住者の手続きガイド(2026年)
最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)
在留届は義務:海外に3か月以上住むなら提出
旅券法第16条により、旅券の名義人で外国に住所または居所を定めて3か月以上滞在する人は、その地域を管轄する領事官(日本大使館・総領事館)に届け出なければなりません。旅券法施行規則第15条では、3か月以上滞在しようとするときは遅滞なく届け出ること、住所などの届出事項に変更があったときは遅滞なく、管轄区域を去るときは事前に届け出ることが定められており、届出は世帯ごとに行えます。
在留届は、原則として外務省の「オンライン在留届(ORRネット)」で提出します。インターネット環境がない場合などは、管轄の在外公館の領事窓口で書面の在留届を提出できますが、書面で提出すると証明やパスポートのオンライン申請は利用できません。
- 日本から転居する場合、オンラインに限り現地到着の90日前から提出できます。渡航が中止になったらORRネットで取り消します
- 必須情報は、氏名、生年月日、パスポート情報、メールアドレス(利用者IDになります)、在留地の住所・電話番号、職業、滞在期間、在留地の緊急連絡先です。住所・電話番号が未定でも提出できます
- 在留届の情報は、事件・事故・災害時の安否確認や、安全情報のメール配信、在外選挙人名簿登録申請などの領事サービスに使われます
- 同じ在外公館の管轄区域内で引っ越した場合も変更届が必要です。別の国・管轄区域へ移る場合は、先に現在の在外公館へ「帰国・転出届」を出してから新しい在外公館に在留届を出します
- 海外で子どもが生まれたら、親の在留届に同居家族として追加し、子どものパスポートを取得したら番号を登録します
- 有効なパスポートがない場合は失効済みのパスポート番号で提出できますが、提出日から7か月を経過しても有効なパスポート番号が登録されないと在留届は抹消されます
- 在留届に登録された滞在終了予定日から1年以上経過した場合や、日本の市区町村に転入届を出した場合などは、管轄区域から転出したものとして扱われます
たびレジ:3か月未満の滞在や第三国への短期渡航
滞在が3か月未満の場合は、在留届ではなく外務省の海外旅行登録「たびレジ」への登録が求められています。登録すると、渡航先の大使館・総領事館から安全情報がメールで届き、緊急事態に巻き込まれた場合により素早い安否確認や支援を受けられます。
- 在留届を出している人が旅行や出張で一時的に在留国を離れる場合、生活の本拠が引き続き在留国にあるなら帰国・転出届は不要です。ただし第三国への短期渡航ではたびレジへの登録が求められています
- たびレジは利用者登録をせずに使うこともでき、渡航予定がなくても特定の国・地域の安全情報を受け取る登録ができます
在外選挙人名簿への登録:出国時申請と在外公館申請
海外に住んでいても、日本国籍を持つ18歳以上の人は、衆議院議員選挙、参議院議員選挙、最高裁判所裁判官国民審査に投票できます(在外投票)。ただし、国内の選挙人名簿は住民票に基づいて自動的に作られる一方、在外投票をするには本人の申請による在外選挙人名簿への登録と、在外選挙人証が必要です。申請方法は次の2種類です。
- 出国時申請(2018年6月1日開始):国外転出届を出すときに、最終住所地の市区町村の選挙管理委員会に申請します。申請できるのは転出届を提出した日から転出予定日までの間で、最終住所地の選挙人名簿に登録されている(または転出予定日までにその最終住所地に3か月以上住んでいる)ことが必要です。出国後に在外公館へ在留届を出し、国外の住所が確認されると名簿に登録され、在外選挙人証が交付されます
- 在外公館申請:住所を管轄する在外公館(大使館・総領事館・領事事務所)の領事窓口で申請します。登録されるにはその管轄区域内に引き続き3か月以上住所があることが必要ですが、申請自体は3か月経っていなくてもできます
- 一定の条件を満たす人は、ビデオ通話による本人確認と居住実態確認により、在外公館に行かずに申請できます
- 2024年7月19日施行の公職選挙法施行令改正により、在外選挙人証は、市区町村選挙管理委員会から送られたデータを在外公館が印刷して交付する方法になり、交付が迅速化されています
- 住所や氏名など在外選挙人証の記載事項が変わったときは、在外選挙人証を添えて住所を管轄する在外公館に届け出ます
- 参議院の調査資料によると、2025年9月1日時点の在外選挙人名簿の登録者数は10万1,762人で、成人の在外邦人に対する登録率は9.7%にとどまっています
投票方法:在外公館投票・郵便等投票・日本国内での投票
在外選挙人名簿に登録されると、次の3つの方法から選んで投票できます。2026年2月の衆議院議員総選挙は解散から投票日まで16日しかなく、郵便等投票では比例代表で投票用紙の請求598件に対し、正規の投票として扱われたのは137件にとどまり、53件は投票箱が閉まった後に届きました(参議院調査資料)。郵便等投票を使う場合は、早めの請求が欠かせません。
- 在外公館投票:在外公館などの投票記載場所に出向き、在外選挙人証と旅券を提示して投票します。期間は原則として公示・告示日の翌日から各在外公館が定める締切日まで(総選挙・通常選挙では最長で選挙期日の6日前まで)、時間は原則午前9時30分から午後5時までです。投票記載場所を設けていない在外公館もあります
- 郵便等投票:登録先の市区町村選挙管理委員会に、署名した投票用紙等請求書と在外選挙人証を同封して郵送で請求します。請求は選挙期日の4日前までに選挙管理委員会に到達している必要があります。投票用紙は任期満了日の60日前(衆議院の解散があった場合は解散の日)から交付されますが、それより前でも請求しておけます
- 郵便等投票の記載は公示・告示日の翌日以降に行い、選挙期日の投票所閉鎖時刻までに投票所に到達したものだけが有効です。投票用封筒の署名がない場合や、登録申請時の署名と照合できない場合は受理されません
- 日本国内での投票:一時帰国中や、帰国後に国内の選挙人名簿に登録されるまでの間は、在外選挙人証を提示して、選挙当日の投票所、期日前投票、不在者投票(事前に投票用紙の請求が必要)で投票できます
- 在外公館では郵便等投票の投票用紙は扱っていないため、請求先は必ず登録先の市区町村選挙管理委員会です
在外選挙のインターネット投票:2026年10月時点の検討状況
2026年10月時点で、在外選挙のインターネット投票は導入されておらず、実施時期も法律で決まっていません。公式に確認できる経緯は次のとおりです。
- 総務省は2018年(平成30年)8月公表の「投票環境の向上方策等に関する研究会報告」で在外選挙インターネット投票の導入を提言し、2019年度(令和元年度)から毎年度、システムの技術的検証と運用に関する調査研究事業を実施しています。2025年度の報告書(概要版)では、在外選挙人の端末のセキュリティ確保、投票データ暗号化の鍵の生成・利用フロー、投票の秘密確保、選挙管理委員会と在外公館の事務手順などが検討されています
- 2026年7月17日公布の令和8年法律第58号(公職選挙法等の一部改正)の附則第8条第1項は、在外選挙人のインターネット投票の導入について、郵便等投票の状況を踏まえつつ、本人確認を確実に行う手段や投票画面に表示すべき候補者の事項などを、公布後1年を目途に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じると定めています
- 参議院政治改革に関する特別委員会の附帯決議(2026年7月10日)は、2031年(令和13年)の参議院議員通常選挙も念頭に、可能な限り早期の実現を目指して検討することを求めています
- 本人確認にマイナンバーカードを使う案については、2015年10月5日より前に海外へ転出した人や、海外で生まれて一度も住民登録されたことがない人にはマイナンバーが付番されておらず、カードを作れないことが課題として国会で議論されています
パスポートの更新・新規申請:海外からもオンラインで
2025年3月24日以降の申請分から、顔写真ページにプラスチック基材を使った偽造・変造対策を強化したパスポートの発給が始まり、それまで都道府県や一部の在外公館で作成していたパスポートは国立印刷局で集中的に作成されるようになりました。また2025年3月からは、国内の全都道府県でオンラインによる新規申請も可能になっています。
海外在住者のオンライン申請は、オンライン在留届(ORRネット)経由で行えます(政府広報オンライン)。在留届を書面で提出した人は利用できません。また、マイナポータルの操作マニュアルでは、マイナンバーカードの住所が国外転出済みの人向けに新規申請・切替申請・記載事項変更の「国外」用の申請画面が用意されており、受取窓口として在外公館を選ぶか、一時帰国時に日本国内の窓口で受け取ることができます(国内で受け取る場合は居住地の滞在を証明する書類が必要)。
- 切替申請(更新)ができるのは、有効期間の残りが1年未満になった人、または査証欄の余白が見開き3ページ以下になった人です
- 新規申請や記載事項変更では、「戸籍電子証明書提供用識別符号」の提示(または戸籍謄本の原本の提出)が必要です。識別符号はマイナポータルで取得でき、有効期限は取得した日から3か月です
- 国内の手数料は2026年7月1日以降の申請分から引き下げられ、10年用はオンライン申請8,900円(窓口9,300円)、5年用は18歳未満に限りオンライン申請4,400円(窓口4,800円)になりました。12歳未満の料金区分は廃止されています。在外公館で申請する場合の手数料は各在外公館の案内で確認してください
- パスポートは発行後6か月以内に受け取らないと失効し、失効させてから5年以内に再申請すると手数料が通常より高くなります。受け取りは申請者本人のみで、親権者などの代理受領はできません
- 15歳未満の子どものオンライン申請は、親権者などの法定代理人がマイナポータルの代理人機能を使って行います
出生届・婚姻届などの戸籍の届出を在外公館で行う
戸籍法第40条により、外国にいる日本人は、その国に駐在する日本の大使、公使または領事に戸籍の届出をすることができます。本籍地の市区町村に郵送で届け出ることもできます。期限のある届出が多いので注意してください。
- 出生届:国外で生まれた場合は出生の日から3か月以内に、在外公館または本籍地の市区町村に届け出ます(戸籍法第49条。国内出生は14日以内)
- 国籍留保:出生により外国の国籍も取得した子(米国やブラジルなど生地主義の国で生まれた場合や、外国籍の親の国籍を取得した場合)は、出生届と一緒に3か月以内に国籍留保の届出をしないと、出生の時にさかのぼって日本国籍を失います(国籍法第12条、戸籍法第104条)。出生届書の「その他」欄に「日本の国籍を留保する。」と記入して署名押印します
- 外国の方式で婚姻した場合:その国の法律で婚姻が成立し証書が交付されたときは、婚姻成立の日から3か月以内に、証書の謄本(日本語訳を添付)を在外公館に提出するか、本籍地の市区町村に提出・郵送します(戸籍法第41条)
- 日本人同士の婚姻は、在外公館に日本方式の婚姻届を出すこともできます。日本人と外国人の婚姻は、在外公館に婚姻届(日本方式)を出すことはできません
- 外国人と婚姻した日本人は、婚姻の日から6か月以内であれば届出だけで外国人配偶者の氏に変更でき、6か月を過ぎると家庭裁判所の許可が必要です
- 外国の方式で婚姻する際に求められる日本人の婚姻要件具備証明書は、在外公館、本籍地の市区町村、法務局・地方法務局のいずれかで取得できます
- 2024年3月1日施行の戸籍法改正により、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書を請求できるようになり(広域交付)、市区町村への戸籍届出では戸籍証明書の添付が原則不要になりました
- 重国籍となった子は、原則として20歳までにいずれかの国籍を選択する必要があります(2022年4月1日以降)
- 本ページは制度の一般的な説明です。必要書類や受付方法は在外公館ごとに異なるため、届出前に管轄の大使館・総領事館の案内を確認してください
よくある質問
Q. 在留届はいつまでに出せばよいですか?
A. 旅券法施行規則では、外国に住所または居所を定めて3か月以上滞在しようとするときは遅滞なく届け出ることとされています。ORRネットなら日本から転居する場合、現地到着の90日前から提出できます。3か月未満の滞在ならたびレジに登録します。
Q. 出国時申請をしないまま海外に来ました。在外投票はできますか?
A. 住所を管轄する在外公館で在外選挙人名簿の登録を申請できます(在外公館申請)。登録にはその管轄区域に3か月以上住んでいることが必要ですが、申請は3か月経つ前でも可能です。一定の条件を満たせば、ビデオ通話による本人確認で在外公館に行かずに申請できます。
Q. 郵便等投票の投票用紙は、いつ請求すればよいですか?
A. 投票用紙の交付が始まる前(任期満了日の60日前または衆議院の解散日より前)でも請求できるので、できるだけ早く登録先の市区町村選挙管理委員会に請求してください。請求の締切は選挙期日の4日前の到達で、投票は投票所閉鎖時刻までに届いたものだけが有効です。
Q. 在外選挙のインターネット投票はいつから使えますか?
A. 2026年10月時点で導入時期は決まっていません。2026年7月に公布された改正法の附則で、公布後1年を目途に本人確認の手段などを検討することが定められ、参議院の特別委員会の附帯決議は2031年の参議院議員通常選挙も念頭に早期実現を目指すよう求めています。
Q. 海外でパスポートを更新するのに、大使館へ何回行く必要がありますか?
A. 在留届をORRネットで提出している人は、オンラインで申請できるため、在外公館の窓口に行くのは原則として受け取りのときです。国外転出済みのマイナンバーカードを持っている人はマイナポータルからも申請でき、一時帰国時に国内の窓口で受け取ることも選べます。
Q. 海外で子どもが生まれました。届出の期限はありますか?
A. 国外で生まれた場合は出生の日から3か月以内に、在外公館または本籍地の市区町村へ出生届を出します。外国籍も取得した子は、出生届と一緒に国籍留保の届出をしないと、出生の時にさかのぼって日本国籍を失います。
出典
- 外務省 オンライン在留届(ORRネット)
- 外務省 オンライン在留届(ORRネット)在留届FAQ
- 外務省 海外旅行登録「たびレジ」
- e-Gov法令検索 旅券法(第16条)
- 総務省 在外選挙制度について
- 総務省 在外選挙制度(投票制度)
- 総務省 報道資料 在外選挙制度における「出国時申請」の開始(平成30年6月1日)
- 総務省 在外投票の手引き
- e-Gov法令検索 公職選挙法(第30条の2、第30条の5、第49条の2、令和8年法律第58号附則第8条)
- 参議院 立法と調査 No.487「在外投票の投票環境をめぐる課題-在外選挙インターネット投票の導入に向けた議論-」(2026年9月29日)
- 総務省 令和7年度 在外選挙インターネット投票システムの技術的検証及び運用等に係る調査研究事業 最終報告書(概要版)
- 総務省 投票環境の向上方策等に関する研究会(第4回)議事要旨
- 政府広報オンライン パスポートの申請はオンラインで!2026年7月から手数料が引き下げに
- マイナポータル パスポート(旅券)申請
- マイナポータル 操作マニュアル「パスポート申請」
- マイナポータル よくある質問「戸籍電子証明書提供用識別符号に有効期限はありますか。」
- e-Gov法令検索 戸籍法(第40条、第41条、第49条、第104条)
- e-Gov法令検索 国籍法(第12条)
- 法務省 国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&A
- 法務省 戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。
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