海外移住オンライン海外移住 / ビザ / ノマド / 各国の税金

海外移住ガイド ›

海外移住で失業保険(雇用保険の基本手当)はもらえる?受給期間延長・再就職手当・教育訓練給付の注意点(2026年)

最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)

雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)は、日本で就職する意思と能力があり、住所を管轄するハローワークで求職の申込みをして、原則4週間ごとに失業の認定を受ける人に支給されます。そのため、会社を辞めて海外に移住すると、原則として受け取れません。一方、配偶者の海外勤務への同行など一定の理由があれば受給期間を最長4年まで延ばせるので、出国前に離職票を受け取り、延長の申請をしておくかどうかを判断することが大切です。

基本手当(失業給付)を受けるための要件

雇用保険法第4条は「失業」を、離職した被保険者が労働の意思と能力を持っているのに職業に就けない状態と定めています。ハローワークインターネットサービスでは、住所を管轄するハローワークに来所して求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思といつでも就職できる能力があるのに就職できない「失業の状態」にあることを、基本手当を受ける要件としています。病気やけが、妊娠・出産・育児ですぐに働けない人、しばらく休養するつもりの人、家事に専念する人は受けられません。

もう1つの要件は被保険者期間です。原則として離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上必要です。倒産・解雇などの特定受給資格者や、雇止めなどの特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上で足ります。被保険者期間は、離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または労働時間が80時間以上ある月を1か月と数えます。過去に基本手当や再就職手当を受けたことがある人は、その後の被保険者期間だけで判断されます(厚生労働省のQ&A)。

受給手続では、離職票-1・-2、マイナンバー確認書類、身元確認書類、写真、本人名義の口座を持参して求職の申込みをします。その後は原則4週間に1度、指定された認定日にハローワークで失業の認定を受け、認定期間中に原則2回以上(初回は1回)の求職活動の実績が必要です。求職申込みから7日間の待期期間は支給されません。1日あたりの基本手当日額は離職前6か月の賃金日額のおよそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、所定給付日数は年齢・被保険者であった期間・離職理由により90〜360日です。

海外に移住すると原則受けられない理由

雇用保険法第15条は、失業の認定を受けようとする人は公共職業安定所に出頭して求職の申込みをし、認定は離職後最初に出頭した日から4週間に1回ずつ行うと定めています。ハローワークの案内でも、受給手続と失業の認定は住居所を管轄するハローワークで行い、本人が認定日に来所するのが原則です。認定日に来所できなくても証明書を出せば認定を受けられる例外は、15日未満の病気やけが、ハローワークの紹介による面接、指示された公共職業訓練の受講、天災などに限られます。

このため、日本に住所がなく、日本で就職するための求職活動や4週間ごとの認定ができない海外在住者は、要件を満たせません。公式の案内に「海外移住者は受給できない」という一文があるわけではありませんが、法律とハローワークの要件から、海外に住みながら基本手当を受け取ることは原則としてできないと考えてください。業務取扱要領では、海外旅行は受給期間延長の理由に当たらないとされ、大阪労働局のよくある質問でも、海外旅行や語学の勉強のための留学は延長の理由にならないと説明されています。

海外に移住した後に一時帰国して受給できるかどうかも、同じ要件で判断されます。日本の住所で求職の申込みをし、日本で就職する意思と能力を持って、所定給付日数を受け終えるまで4週間ごとの認定と求職活動を続ける必要があります。数週間だけ帰国して再び出国する予定であれば、要件を満たすのは難しいでしょう。一時帰国者の扱いを個別に定めた公式の案内は確認できなかったため、具体的には帰国後の住所を管轄するハローワークに相談してください。

受給期間は離職の翌日から1年、延長できる理由と申請期限

基本手当を受けられる期間(受給期間)は、原則として離職日の翌日から1年間です(所定給付日数330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日)。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても支給されません。ただし、受給期間内に次の理由で引き続き30日以上働けなくなった場合は、ハローワークに申し出ることで、働けない日数を受給期間に加えられます。加えられるのは最長3年で、受給期間は離職日の翌日から最長4年になります(雇用保険法第20条、同法施行規則第30条)。

申請は、働けない状態が30日続いた日の翌日以降、早期に行うのが原則ですが、延長後の受給期間の最後の日まで(最長で離職日の翌日から4年を経過する日まで)であれば申請できます(施行規則第31条)。ただし、申請が遅いと延長しても所定給付日数の全部を受け取れない可能性があると厚生労働省は注意しています。受給期間延長申請書に、離職票-2(受給手続の前)または雇用保険受給資格者証(受給手続の後)と延長の理由を証明する書類を添えて、住居所を管轄するハローワークに提出します。郵送や代理人(委任状が必要)による提出もできます。

自分の都合で海外に移住すること自体は延長の理由になりません。延長が使えるのは、配偶者の海外勤務に同行する場合などに限られます。延長は受け取れる期間の枠を後ろに延ばすもので、所定給付日数そのものが増えるわけではありません。延長を受けた人が帰国して働ける状態になったら、受給期間延長通知書、離職票、延長理由がやんだことが分かる書類などを持って、住居所を管轄するハローワークで受給手続をします。

受給中に出国するときの手続きと注意点

受給中に旅行などで日本を離れ、認定日に来所できないと、その認定日の前日までの分は失業の認定を受けられず、支給されません(東京労働局の求職者給付Q&A)。認定日の変更が認められるのは、就職、採用試験や面接・資格試験の受験、本人の病気・けが・結婚、親族の看護や危篤・死亡などの理由がある場合で、事前に連絡し、後日、採用証明書や面接証明書、医師の診断書など、その事実が分かる書類を出す必要があります。観光などの旅行は、変更が認められる理由として挙げられていません。

受給中に海外移住を決めた場合は、受給を続けられなくなるので、出国前に住居所を管轄するハローワークに申し出て手続を相談してください。配偶者の海外勤務に同行する場合は、受給の途中でも受給期間の延長を申請できます。厚生労働省のQ&Aは、受給中に延長した人が働ける状態に戻ったときの手続(雇用保険受給資格者証、受給期間延長通知書、延長理由がやんだことが分かる書類を持参)も案内しています。延長の申請は郵送や代理人でもできますが、出国前に済ませておくと確実です。

受給中にパートやアルバイト、自営、内職をしたときは、収入がなくても失業認定申告書で申告しなければなりません。東京労働局の案内では、原則として1日4時間未満は「内職・手伝い」、4時間以上は「就労・就職」として扱われ、就労した日は支給されません。申告しないと不正受給となり、以後の支給が停止され、受け取った額の返還に加えて、原則として不正に受給した額の2倍以下の金額の納付を命じられます。海外での仕事やリモートワークも、申告の対象になるかどうかを必ずハローワークに確認してください。

離職票の受け取り・保管と、2025年4月からの給付制限

離職票(雇用保険被保険者離職票-1・-2)は、会社がハローワークに資格喪失届と離職証明書を出し、ハローワークが発行したものが会社経由で届きます。厚生労働省のQ&Aでは、会社は離職日の翌々日から10日以内に資格喪失届を提出するとされ、それを過ぎても届かない場合は会社に確認し、それでも届かなければハローワークに相談するよう案内しています。2025年1月20日からは、マイナンバーの登録やマイナポータルの設定などの条件を満たし、会社が電子申請で離職手続をした場合、離職票をマイナポータルで受け取れるようになりました。

離職票は、受給手続だけでなく受給期間の延長申請にも必要です。海外移住を予定していても、出国前に必ず受け取り、原本を保管しておきましょう。離職票の交付を希望しなかった場合でも、後日、前の会社に離職証明書を請求してハローワークに提出すれば交付を受けられるとハローワークのよくある質問は説明しています。複数の離職票がある場合は、短い期間のものも含めてすべて提出します(厚生労働省のQ&A)。

正当な理由のない自己都合退職の場合、待期期間の満了後に一定期間、基本手当が支給されない「給付制限」があります。雇用保険法第33条は1か月以上3か月以内でハローワークが定める期間としており、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月(3月31日以前は原則2か月)です。退職日からさかのぼって5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合で退職して受給資格決定を受けている場合と、重責解雇の場合は3か月です。また、2025年4月1日以降に受講を始めた教育訓練給付の対象講座や公共職業訓練などを、離職日前1年以内に受けた人や離職日以後に受ける人は、申し出により給付制限が解除されます。

再就職手当と就業促進定着手当

再就職手当は、受給資格の決定を受けた人が早く安定した職業に就いたり事業を始めたりしたときに支給されます。支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら残日数の70%、3分の1以上なら60%に基本手当日額を掛けた額です。計算に使う基本手当日額には上限があり、令和9年7月31日までは離職時60歳未満が6,745円、60歳以上65歳未満が5,454円です。支給申請は就職日の翌日から1か月以内に行います。

再就職手当を受けた人が再就職先に6か月以上雇用され、その6か月間の賃金が離職前より低い場合は、就業促進定着手当が受けられます。支給額は、離職前の賃金日額と再就職後6か月間の賃金の1日分との差額に、その6か月間の賃金支払基礎日数を掛けた額で、上限は基本手当日額×支給残日数(再就職手当を受ける前の日数)×20%です。なお、以前あった就業手当は、2025年4月1日に廃止されました(厚生労働省の業務取扱要領の案内)。

海外の企業に現地採用で就職する場合は注意が必要です。業務取扱要領では、海外で現地採用される人は国籍を問わず日本の雇用保険の被保険者にならないとされています。再就職手当は原則として雇用保険の被保険者になることが要件なので、海外企業への就職は、原則として対象にならないと考えておくのが安全です。これに対し、日本の会社に雇われて海外の支店に転勤する場合や在籍出向の場合は被保険者になるとされています。個別の判断は手続をしたハローワークに確認してください。

教育訓練給付は国内の指定講座が対象、離職後1年が目安

教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定した講座を受講・修了したときに受講費用の一部が支給される制度です。一般教育訓練は費用の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練は40%(上限20万円、資格取得と就職で50%・上限25万円)、専門実践教育訓練は50%(年間上限40万円、資格取得と就職で70%、さらに賃金が5%以上上がれば80%)です。指定講座は「教育訓練講座検索システム」で確認でき、指定されていない講座は、海外の大学・語学学校なども含めて対象になりません。

離職した人が使う場合は、雇用保険の資格を失った日(離職日の翌日)から受講開始日までが1年以内で、雇用保険に加入していた期間が3年以上必要です(初めての人は一般・特定一般が1年以上、専門実践が2年以上)。厚生労働省の審議会資料(令和6年9月)でも、外国の大学院のMBAは、日本国内の訓練実施者が国内居住者向けに提供する課程に限って指定対象に加える方針が示されており、海外に住みながら現地の学校で学ぶ費用には使えないと考えてください。

妊娠、出産、育児、病気やけが、配偶者の海外勤務への同行などで30日以上受講を始められない場合は、「教育訓練給付金適用対象期間延長申請書」を住所を管轄するハローワークに出すことで、受講開始の期限を離職後最大20年まで延ばせます(延長は最大19年)。提出は本人来所、代理人、郵送、電子申請のいずれでもでき、延長後の適用対象期間の最後の日までなら申請できます。配偶者の海外赴任に同行して帰国後に学び直したい人は、基本手当の受給期間延長とあわせて検討するとよいでしょう。

海外勤務中の被保険者期間と、空白期間の通算

ハローワークのよくある質問では、海外で働く場合を4つに分けて説明しています。海外出張、国内の会社の海外支店などへの勤務、国内の会社との雇用関係を残したままの海外出向(在籍出向)の3つは、海外にいる間も被保険者資格が続きます。一方、国内の会社を辞めて海外の企業に雇用される場合は、被保険者資格を失います。このため、駐在員として海外勤務した後に日本の会社を退職した人は、要件を満たせば日本で基本手当を受けられます。

海外出向中に日本の会社から賃金が払われない期間があると、離職前2年間に12か月という要件を満たせないことがあります。雇用保険法第13条と業務取扱要領は、病気やけが、出産、事業主の命令による海外勤務、配偶者の海外勤務に同行するための休職などで30日以上賃金を受けられなかった期間を、離職前2年間に加えて判断する「受給要件の緩和」を定めています(加算後は最長4年)。なお、業務取扱要領では、海外在留者に払われる海外手当・在外手当は基本手当日額のもとになる賃金日額に算入しないとされています。

所定給付日数を決める被保険者であった期間(算定基礎期間)は、前の会社を辞めてから1年以内に次の会社で雇用保険に加入すれば通算されます。ただし、基本手当や再就職手当を受けた場合は、それより前の期間は通算されません。数年間海外で暮らしてから帰国して就職する場合は、日本で雇用保険に加入しない期間が1年を超えると以前の加入期間が通算されず、所定給付日数を決める期間がゼロから数え直しになることも覚えておきましょう。

よくある質問

Q. 海外に移住した後でも、日本の失業保険(基本手当)はもらえますか?

A. 原則としてもらえません。基本手当は、住所を管轄するハローワークで求職の申込みをし、日本で就職する意思と能力を持って、原則4週間ごとにハローワークで失業の認定を受ける人に支給されるためです。受給期間は原則として離職日の翌日から1年で、海外移住や海外旅行、語学留学は受給期間を延長できる理由になりません。

Q. 配偶者の海外赴任に同行するため退職しました。帰国後に受給できますか?

A. 事業主の命令で海外勤務をする配偶者に同行する場合は、受給期間の延長を申請できます。働けない期間を最長3年加えられ、受給期間は離職日の翌日から最長4年になります。延長後の受給期間の最後の日までなら申請できますが、遅いと所定給付日数の全部を受け取れないことがあるため、出国前など早めにハローワークへ申請し、帰国後に受給手続をしてください。

Q. 受給中に1〜2週間の海外旅行に行ってもよいですか?

A. 認定日に来所できなければ、その認定日の前日までの分は支給されません。認定日の変更が認められるのは就職、面接や試験、本人の病気・結婚、親族の看護などに限られます。認定期間中の求職活動の実績も必要なため、日程が認定日や求職活動に影響しないか、事前に手続をしたハローワークに相談してください。

Q. 自己都合で退職した場合、基本手当はいつから支給されますか?

A. 求職の申込みから7日間の待期期間の後、給付制限があります。退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月、5年間に2回以上正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けている場合などは3か月です。2025年4月以降に受講を始めた教育訓練給付の対象講座などを、離職前1年以内に受けた場合や離職後に受ける場合は、給付制限が解除されます。

Q. 海外の大学院や語学学校の学費に教育訓練給付金は使えますか?

A. 使えるのは厚生労働大臣が指定した講座だけです。海外の学校の講座は、教育訓練講座検索システムで指定講座として確認できない限り対象になりません。外国の大学院のMBAも、日本国内の訓練実施者が国内居住者向けに提供する課程に限って指定対象とする方針が示されています。

Q. 駐在員として海外勤務した後に退職しました。日本で失業給付を受けられますか?

A. 国内の会社との雇用関係を残したまま海外支店に勤務したり海外に出向したりしていた場合は、海外勤務中も被保険者資格が続くため、退職後に要件を満たせば日本で受給できます。海外出向中に日本の会社から賃金が払われず要件の12か月に足りない場合は、受給要件の緩和で判断期間を最長4年まで延ばせることがあります。

出典

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。

今後の施行予定
施行日カレンダーを見る

週刊ダイジェスト(無料)

制度改正などの最新の動きを、毎週月曜にメールでまとめてお届けします。

あわせて読みたいガイド

ほかのガイド

関連: 国別比較 / 国別ビザ・税制サマリー