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海外移住したら証券口座・NISA・iDeCo・銀行口座はどうなる?非居住者の手続き(2026年)

最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)

日本の居住者でなくなると、証券口座やNISAは原則としてそのまま使い続けることができず、iDeCoや銀行口座にも届出が必要になります。特にNISAは「出国の日の前日まで」に金融機関へ届け出る必要があり、海外転勤などの場合に限って出国中も口座を維持できる仕組みがあります。このガイドでは、金融庁・国税庁・iDeCo公式サイトなどの案内に沿って、出国前に確認しておきたい点を整理します。

「非居住者」には税法上と外為法上の2つの区分がある

金融機関の手続きで使われる「居住者・非居住者」には、所得税法上の区分と、外国為替及び外国貿易法(外為法)上の区分があり、判定の基準が異なります。

所得税法では、国内に住所がある人、または現在まで引き続き1年以上居所がある人を居住者、それ以外の人を非居住者としています。住所は生活の本拠のことで、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況などの客観的事実で判断されます。国税庁は、給与所得者が1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には国内に住所がない者と推定され非居住者になると説明しています。

外為法の居住性については、財務省の通達「外国為替法令の解釈及び運用について」が判定の目安を示しています。日本人は原則として居住者と推定されますが、外国にある事務所(日本法人の海外支店や現地法人を含みます)に勤務する目的で出国し外国に滞在する人、2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する人、出国後外国に2年以上滞在するに至った人は、非居住者として扱われます。これらの人が休暇などで一時帰国しても、滞在期間が6か月未満であれば非居住者のままです。

たとえば1年未満の予定で海外の事務所に勤務する場合、外為法上は非居住者として扱われる一方、税法上は一般に居住者のままと判断されるなど、両者は一致しないことがあります。金融機関から居住者・非居住者の確認を求められたときは、どの区分について尋ねられているのかを確認すると混乱を避けられます。

国内の証券口座:原則として継続できない理由と各社の対応

国内の証券口座は国内に住む人の利用を前提としていることが多く、非居住者になった後の取扱いは証券会社ごとに異なります。口座を解約する必要がある、保有している商品の売却や移管だけができる、一定の条件のもとで口座を維持できるなど対応が分かれるため、出国前に利用している証券会社の規定を確認してください。

税制面でも、源泉徴収や損益の計算を証券会社が代行する特定口座は、居住者または恒久的施設を有する非居住者のための制度です。租税特別措置法施行令では、特定口座を持つ人が出国によりこれに当たらなくなった場合、特定口座廃止届出書を提出したものとみなすとされています。ただし、出国をする日までに「特定口座継続適用届出書」を提出し、出国後も同じ金融機関の口座(出国口座)で保管を続けた場合は、帰国後に特定口座を開設する際に、その上場株式等を特定口座に戻せる仕組みがあります。出国口座への受入れや払出しがあった銘柄は戻せないなどの条件があり、この手続きに対応しているかどうかも金融機関によって異なります。

非居住者になった後の日本での課税は、国内源泉所得に限られます。国税庁によると、恒久的施設を有しない非居住者が株式等を譲渡した場合に日本で申告の対象となるのは、事業譲渡類似の株式等の譲渡、不動産関連法人の一定の株式の譲渡、日本に滞在する間に行う内国法人の株式等の譲渡など6つの類型に限られます。一時帰国中に国内株式を売却すると課税対象になり得る点に注意してください。上場株式等の配当等は、大口株主等を除き15.315パーセントの税率で源泉徴収されます。いずれも租税条約によって日本で課税されない、または軽減される場合があり、移住先の国でどう課税されるかは現地の制度によります。

NISA:海外転勤なら「継続適用届出書」で出国中も口座を維持できる

NISA口座を持つ人が出国により居住者でなくなる場合は、租税特別措置法により、出国の日の前日までに、NISA口座のある金融機関に届出書を提出しなければなりません。この義務は、口座を続けるかどうかにかかわらず、NISA口座を持つすべての人にかかります。

給与等の支払をする者(勤務先)からの転任の命令、その他これに準ずるやむを得ない事由によって出国する場合は、「継続適用届出書」を提出することで、出国中も引き続き居住者とみなされ、NISA口座で保有している上場株式等の非課税の扱いを受け続けられます。2024年からの新しいNISA(つみたて投資枠・成長投資枠)もこの仕組みの対象です。金融庁は、転任の命令等のやむを得ない事由により一時的に出国する場合には、あらかじめ手続きを行うことで、一定の期間、引き続き非課税の適用を受けられると案内しています。

iDeCo:加入資格の喪失、運用指図者、国民年金の任意加入

iDeCo(個人型確定拠出年金)は国民年金の被保険者区分と結びついています。海外に転出して国民年金の第1号被保険者・第3号被保険者でなくなると、そのままでは掛金を拠出できる加入者の資格を失います。この場合は運営管理機関(iDeCoの窓口の金融機関)を通じて手続きを行い、掛金を出さずに資産の運用の指図だけを行う「運用指図者」になります。運用指図者になっても、積み立てた資産は原則60歳まで引き出せず、運用は続けられます。

一方、20歳以上65歳未満の日本国籍の人が海外に住む場合は、国民年金に任意加入して任意加入被保険者になれば、iDeCoに加入して掛金を出し続けることができます(国民年金の保険料納付済期間が480月に達していない人に限ります)。iDeCo公式サイトでは、任意加入被保険者の扱いは第1号被保険者と同じと説明されています。日本年金機構によると、国民年金の任意加入の手続きは、出国前なら住んでいる市区町村の国民年金担当窓口で、出国後は国内の最後の住所地の市区町村(国内に協力者がいない場合は最後の住所地を管轄する年金事務所)で行います。

勤務先から海外に派遣され、日本の厚生年金に加入し続ける人は国民年金の第2号被保険者のままのため、iDeCoの扱いは国内勤務時とは異なります。自分がどの区分になるかは勤務先と運営管理機関に確認してください。なお、厚生労働省によると、2026年12月1日からiDeCoの加入可能年齢の引き上げ(60歳以上70歳未満の一定の人を対象とする区分の新設)と拠出限度額の引き上げが施行される予定です。

銀行口座:非居住者の届出と預金利子の課税

海外に転出した後も国内の銀行口座を使い続けられるかどうか、どのような条件が付くか(非居住者として口座を継続できるか、インターネットバンキングなど一部のサービスが使えなくなるか、解約が必要になるか)は、銀行ごとに異なります。海外転出の際に届出を求める銀行もあるため、出国前に取引のある銀行に確認し、必要な届出をしてください。

預金利子の課税も居住者とは異なります。居住者の預金利子は、所得税等15.315パーセントと地方税5パーセントの合計20.315パーセントが源泉徴収されます。これに対し、非居住者が受け取る国内の預金利子は、国内源泉所得として所得税等15.315パーセントが源泉徴収され、地方税法第25条の2により住民税の利子割は課されません。租税条約によって税率が軽減・免除される場合は、支払日の前日までに「租税条約に関する届出書」を、利子の支払者(銀行)を経由して税務署長に提出する必要があります。

なお、令和8年度税制改正により2027年(令和9年)分以後は防衛特別所得税が創設されますが、国税庁によると防衛特別所得税と復興特別所得税の合計税率は改正前と変わらず、源泉徴収税額の計算方法にも変更は生じないとされています。

マイナンバー・住所・居住地国の届出と国外転出時課税

金融機関には、住所や居住国が変わったことを届け出る必要があります。2017年以後に口座を開いた人などは、口座開設の際に居住地国を記載した届出書を提出しています。国税庁の案内では、提出した届出書に記載した居住地国等に異動が生じた場合は、異動を生じた日から3か月を経過する日までに「異動届出書」を金融機関に提出する必要があります。居住地国が外国の場合、その口座の情報は共通報告基準(CRS)に基づき、金融機関から税務署に報告され、租税条約等に基づいて相手国の税務当局に提供されることがあります。

マイナンバー(個人番号)は国外に転出しても変わりません。デジタル庁のFAQでは、国外転出後に日本に戻った場合も転出前と同じ番号を使うとされています。金融機関に登録している番号を変更する必要はありませんが、住所の変更は各金融機関の手続きに従って届け出てください。

出国の時点で、株式や投資信託などの有価証券等を合計1億円以上持っていて、一定の居住期間の要件を満たす人は、国外転出時課税の対象になります。1億円の判定には、NISA口座内の上場株式等や含み損のある銘柄も含まれます。この制度の対象になると、NISAの継続適用届出書による口座の維持は利用できず、特定口座の出国口座から帰国後に特定口座へ戻す場合にも追加の書類や時期の制限があります。制度の詳細は「国外転出時課税(出国税)」のガイドを参照してください。

出国前のチェックリスト

出国の日から逆算して、次の項目を確認しておくと安心です。NISAの届出のように期限が「出国の日の前日まで」とされているものもあるため、早めに着手してください。

相談先と注意点

証券口座や銀行口座を非居住者として維持できるか、NISAの継続適用や特定口座の出国口座に対応しているかは、金融機関ごとに異なります。制度上は可能な手続きでも、利用している金融機関が取り扱っていなければ使えないため、出国が決まった段階で早めに問い合わせてください。移住先の国での課税関係は、現地の税務当局や専門家への確認が必要です。

本ページは制度の一般的な説明で、税務・金融に関する個別のアドバイスではありません。実際の手続きや判断は、口座のある金融機関、所轄の税務署、iDeCoの運営管理機関に確認してください。

よくある質問

Q. 海外移住してもNISA口座を持ち続けられますか?

A. 勤務先からの転任の命令など、やむを得ない事由による一時的な出国であれば、出国の日の前日までに金融機関に継続適用届出書を提出することで、出国中もNISA口座の保有商品について非課税の扱いを受けられます。ただし出国中は新たな買付けができず、継続適用届出書の提出日から5年を経過する日の属する年の12月31日までに帰国届出書を出す必要があります。自分の意思での移住など、この要件に当たらない場合はNISA口座は出国の時に廃止されます。取扱いの有無は金融機関によって異なります。

Q. NISAの継続適用届出書を出さずに出国するとどうなりますか?

A. 出国により居住者でなくなった時に、非課税口座廃止届出書を提出したものとみなされ、NISA口座は廃止されます。それ以後に受け取る配当や売却益は非課税になりません。NISA口座を持つ人は、継続しない場合でも出国の日の前日までに出国する旨の届出書を金融機関に提出する必要があります。

Q. 海外移住を理由にiDeCoの資産を脱退一時金として受け取れますか?

A. 日本国籍の人は原則として受け取れません。脱退一時金の要件には「日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと」が含まれています。海外に住む日本国籍の人は、国民年金に任意加入してiDeCoの掛金を続けるか、運用指図者として60歳以降まで運用を続けることになります。

Q. 非居住者になった後、日本の銀行預金の利子にかかる税金は変わりますか?

A. 変わります。居住者は所得税等15.315パーセントと地方税5パーセントの合計20.315パーセントが源泉徴収されますが、非居住者の預金利子は所得税等15.315パーセントが源泉徴収され、住民税の利子割は課されません。租税条約で税率が軽減される場合は、銀行を経由して租税条約に関する届出書を提出します。

Q. 一時帰国したときに日本の証券口座で株を売っても大丈夫ですか?

A. 口座を使えるかどうかは証券会社の規定によります。税金面では、国税庁は恒久的施設を有しない非居住者が日本に滞在する間に内国法人の株式等を譲渡した所得を、日本で申告の対象となる国内源泉所得の一つとして挙げています。一時帰国中の売却は日本で課税対象になり得るため、事前に税務署や税理士に確認してください。

Q. 海外に引っ越すとマイナンバーは変わりますか?

A. 変わりません。デジタル庁のFAQでは、国外に転出した後に日本に戻った場合も、転出前と同じマイナンバーを使うとされています。金融機関には、番号ではなく住所や居住地国の変更を届け出ます。居住地国が変わった場合は、異動から3か月を経過する日までに異動届出書の提出が必要です。

出典

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。

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