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海外移住後の日本の銀行口座と海外送金:残せる口座・非居住者の届出・税金と報告制度(2026年)

最終確認: 2026-10(公的機関の情報をもとに作成)

海外に移住しても日本の銀行口座を残したい人は多いものの、非居住者になった後の口座の扱いは銀行ごとに異なり、出国前の届出が欠かせません。また、預金利子の課税が変わるほか、海外送金には国外送金等調書や外為法の報告といった制度が関わります。このガイドでは、国税庁・財務省・日本銀行・金融庁・全国銀行協会などの案内に沿って、口座の維持と国際送金で押さえておきたい点を整理します。

日本の銀行口座は残せる?銀行ごとの扱いと出国前の届出

海外に転出して非居住者になった後も日本の銀行口座を使い続けられるかどうかは、法律で一律に決まっているわけではなく、銀行ごとの規定によります。非居住者である旨を届け出れば口座を保有し続けられる銀行がある一方、海外の住所に郵便などで連絡する手段がないことを理由に原則として解約を求める銀行もあります。口座を残せる場合でも、キャッシュカードやインターネットバンキング、投資信託などの一部のサービスが使えなくなることがあります。

全国銀行協会は、引越しで住所が変わった場合は取引銀行に住所変更を届け出る必要があり、名義人の住所は銀行口座にとって大切な情報だと案内しています。海外に転居する場合は、住所変更に加えて、非居住者になる旨の届出や、銀行所定の申告書類の提出を求められることがよくあります。必要な書類や手続きの方法(窓口、郵送、インターネットなど)も銀行によって異なるため、出国が決まったら早めに取引のある銀行に確認してください。

もう一つ重要なのが、共通報告基準(CRS)に基づく居住地国の届出です。国税庁によると、平成29年1月1日以後に国内の金融機関等(銀行、証券会社、保険会社など。令和8年からは資金移動業者も対象)で口座開設等をする人は、居住地国などを記載した届出書を提出しています。この届出書に記載した居住地国等に異動が生じた場合は、異動を生じた日から3か月を経過する日までに「異動届出書」を金融機関等に提出する必要があります。それ以前から口座を持っている人も、確認のため金融機関から届出書の提出を求められることがあります。

居住地国が外国になると、その口座の情報(氏名・住所・口座残高など)は、金融機関から毎年4月30日までに所轄税務署長に報告され、租税条約等の情報交換規定に基づいてその国の税務当局に提供されます。日本も各国から、外国の金融機関にある日本の居住者の口座情報を受け取っています。CRSは、国際的な脱税や租税回避に対処するためにOECDが策定した国際基準で、国税庁は受け取った情報を国外送金等調書などの資料と併せて分析に活用していると説明しています。

非居住者の預金利子の課税:15.315パーセントの源泉分離課税

日本の居住者が受け取る預貯金の利子は、所得税および復興特別所得税15.315パーセントと地方税5パーセントが源泉徴収され、これで納税が完結する源泉分離課税の対象です。

所得税法上の非居住者が受け取る日本国内の預金利子は国内源泉所得に当たり、15.315パーセントの税率で源泉徴収されます。国税庁によると、恒久的施設を有しない非居住者に対する課税は、源泉徴収のみで課税関係が完結する源泉分離課税方式が基本です。また、地方税法第25条の2により、非居住者が支払を受ける利子等には住民税の利子割は課されません。銀行が非居住者として扱うには届出が必要になるため、前の項目の届出を済ませておくことが大切です。

日本と居住地国との間に租税条約がある場合は、条約により税率が軽減・免除されることがあります。その適用を受けるには、利子の支払日の前日までに「租税条約に関する届出書」を、支払者である銀行を経由して税務署長に提出します。なお、国税庁のタックスアンサーでは、令和9年分以後は所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税を源泉徴収するとしたうえで、非居住者等の利子等の税率を15.315パーセントと示しています。移住先の国で日本の預金利子がどう課税されるかは、現地の税制によります。

海外送金の2つの報告制度:国外送金等調書(100万円超)と外為法(3,000万円超)

海外送金には、金額に応じて2つの報告制度が関わります。1つ目の国外送金等調書は、「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」(国外送金等調書法)に基づく制度です。国税庁の説明では、国外への送金と国外から受領した送金のうち金額が100万円を超えるものについて、送金者・受金者の氏名、住所、取引金額などを記載した調書を、送金等を行った金融機関が税務署に提出します。100万円の基準は施行令で定められており、外国通貨建ての場合は円に換算して判定します。調書は1回の送金ごとに作成され、提出期限は為替取引を行った日の属する月の翌月末日です。

この制度でいう金融機関には、銀行や信用金庫などのほか、資金移動業者も含まれます。法律上、送金する人が居住者か非居住者かによる区別は設けられていないため、海外移住後に日本の口座から自分の海外口座へ送金する場合や、海外から日本の口座に送金を受ける場合も対象になり得ます。調書の提出は金融機関の義務で、送金する本人が税務署に何かを提出する手続きではありません。

国外送金や国外からの送金の受領をする人は、原則として、氏名・住所・個人番号(マイナンバー)などを記載した告知書を金融機関に提出し、金融機関は本人確認書類などでその内容を確認します。ただし、銀行が氏名・住所・個人番号を確認済みの本人名義の口座(本人口座)からの振替による送金や、本人口座での受取りは、告知書の提出が不要な類型とされています。全国銀行協会も、外国送金(支払い・受取り)を、銀行にマイナンバーの届出が必要となる取引の一つに挙げています。出国前に、送金に使う口座にマイナンバーを届け出ているかを確認しておくと手続きがスムーズです。

もう一つは外国為替及び外国貿易法(外為法)の報告です。財務省は、外国への送金や外貨と円の交換は、許可制の対象とされている取引を除いて自由だとしたうえで、外為法第55条により、日本から外国へ向けた支払や外国からの支払の受領などで1回の金額が3,000万円相当額を超える場合は、事後に報告する必要があると説明しています。日本銀行の案内によると、報告者は支払等をした居住者で、銀行等または資金移動業者を通じた支払等は、その銀行等を経由して支払等をした日から10日以内に書面で提出するか、日本銀行の外為法手続きオンラインシステムで20日以内に直接提出します。3,000万円ちょうどは報告不要で、要否は取引全体ではなく決済1回ごとの金額で判断します。

国境を越える資金の授受であれば、相手方が自分自身や居住者であっても報告の対象になります。一方、非居住者が行う外国へ向けた支払や外国からの支払の受領は報告不要とされています。つまり、出国前(外為法上の居住者であるうち)に3,000万円を超える資金を自分の海外口座へ一度に送る場合は、報告が必要になり得ます。外為法上の居住者・非居住者の区分は税法上の区分とは判定基準が異なり、財務省の通達では、たとえば2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する人は非居住者として扱われます。詳しい区分は「海外移住したら証券口座・NISA・iDeCo・銀行口座はどうなる?」のガイドで整理しています。

海外送金の方法:銀行の外国送金と資金移動業者

日本と海外の間でお金を動かす代表的な方法は、銀行の外国送金と、資金移動業者による送金です。手数料、為替レートの決め方、着金までの日数、1回に送れる金額、海外在住者が利用できるかどうかは事業者ごとに異なるため、総額の費用と使い勝手を比べて選ぶことになります。

銀行以外の事業者が為替取引(送金)を業として行うには、資金決済法に基づき資金移動業者として内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。資金移動業は、1回の送金額によって3つの種別に分かれており、第二種資金移動業は100万円相当額以下、第三種資金移動業は5万円相当額以下の送金に限られ、100万円相当額を超える送金を扱えるのは第一種資金移動業です。登録を受けている事業者と種別は、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」の資金移動業者登録一覧で確認できます。

どの方法を使っても、前述の国外送金等調書や外為法の報告の対象になる点は変わりません。資金移動業者も国外送金等調書法上の金融機関に含まれ、2026年1月からはCRSの届出の対象となる金融機関等にも追加されています。

また、外為法に基づく経済制裁措置の実効性を確保するため、金融機関等は外国送金や送金の受領が制裁対象の取引でないかを確認することが求められています。財務省は、送金者・送金先の情報、取引内容や送金目的、関係書類などを金融機関等から尋ねられることがあり、必要な情報が得られない場合は送金が遅れたりできなかったりすることがあると案内しています。送金の目的を説明できる書類を手元に用意しておくと安心です。

海外から口座を使い続けるための準備

日本の口座を海外から使う場面では、インターネットバンキングが中心になります。銀行によっては、海外住所に変更した後に一部の取引が使えなくなったり、海外在住者向けのインターネットサービスが出国前にしか申し込めなかったり、そのサービスの対象が海外赴任や留学などで非居住者になる人に限られていたりします。現地採用や永住目的の移住では使えないサービスもあるため、自分の移住の形態で利用できるかを確認してください。

ログインや振込の認証に、日本の携帯電話番号へのSMSで届くワンタイムパスワードを使っている場合は特に注意が必要です。出国時に日本の携帯電話を解約すると認証コードを受け取れなくなり、海外からログインできなくなることがあります。銀行によっては、海外向けサービスの申込みに国内の電話番号の登録が必要な場合もあります。出国前に、アプリやトークンなどSMS以外の認証方法に切り替えられるか、日本の電話番号を維持する必要があるかを確認しておきましょう。

あわせて、キャッシュカードの有効期限、通帳や届出印の保管方法、海外からの問い合わせ先、銀行からの郵便物の送付先を確認しておくと安心です。海外に郵送できない銀行や、払戻しなどの手続きに代理人が必要になる銀行もあるため、家族など国内の連絡先や代理人を決めておくと、カードの再発行や書類の受取りが必要になったときに対応しやすくなります。証券口座やNISA口座の扱いは、「海外移住したら証券口座・NISA・iDeCo・銀行口座はどうなる?」のガイドを参照してください。

帰国するとき:国外財産調書と海外預金の報告

移住先で開いた口座を残したまま日本に戻る場合は、帰国後の報告義務も確認しておきましょう。国外財産調書は、所得税法上の居住者(非永住者を除きます)で、その年の12月31日において国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える人が、翌年の6月30日までに所轄の税務署長に提出するものです。居住者かどうかは12月31日の現況で判定するため、年の途中で帰国した人もその年の分から対象になり得ます。海外の預金のほか、海外にある不動産なども国外財産に含まれます。

外為法では、非居住者(外国の銀行など)に対して月末残高で1億円相当額を超える預金を保有している居住者は、「海外預金の残高に関する報告書」を翌月20日までに提出することとされています。判定は1口座または1預け先ごとに行います。

帰国して居住地国が日本に戻ったときは、日本の金融機関に住所変更とCRSの異動届出書を出すほか、移住先の金融機関でも居住地国の変更手続きが必要になることがあります。

出国前後のチェックリスト

銀行口座と海外送金について、出国前から帰国後までに確認しておきたい項目です。銀行の手続きは窓口でしかできないものもあるため、出国の1〜2か月前から着手すると安心です。

相談先と注意点

非居住者になった後に口座を残せるか、どのサービスが使えるか、どのような届出書類が必要かは、銀行ごとに異なります。制度上は可能なことでも、取引のある銀行が取り扱っていなければ利用できないため、出国が決まった段階で早めに問い合わせてください。移住先の国で日本の預金利子や送金がどう扱われるかは、現地の税務当局や専門家への確認が必要です。

本ページは制度の一般的な説明で、税務・金融に関する個別のアドバイスではありません。実際の手続きや判断は、口座のある銀行や送金サービスの事業者、所轄の税務署に確認してください。外為法の報告については日本銀行の照会窓口でも案内を受けられます。

よくある質問

Q. 海外移住しても日本の銀行口座はそのまま使えますか?

A. 銀行によって異なります。非居住者である旨を届け出れば口座を保有し続けられる銀行もあれば、原則として解約を求める銀行もあります。口座を残せる場合でも、キャッシュカードやインターネットバンキングなど一部のサービスが使えなくなることがあります。出国前に取引のある銀行に確認し、住所変更や非居住者の届出を済ませてください。

Q. 銀行に海外転居を届け出ないとどうなりますか?

A. 銀行からの重要なお知らせが届かなくなるほか、税金の扱いが実態と合わなくなるおそれがあります。全国銀行協会は住所が変わったら取引銀行に届け出る必要があると案内しています。また、CRSに基づき提出した居住地国に異動が生じた場合は、異動の日から3か月を経過する日までに異動届出書を金融機関に提出する必要があります。

Q. 非居住者になると日本の預金利子にかかる税金はどうなりますか?

A. 所得税等15.315パーセントが源泉徴収され、恒久的施設を有しない非居住者の場合は原則としてこれで日本での課税関係が完結します。住民税の利子割(5パーセント)は課されません。租税条約で税率が軽減される場合は、支払日の前日までに銀行を経由して租税条約に関する届出書を提出します。

Q. 100万円を超える海外送金をすると、税務署に報告されますか?

A. 100万円を超える国外送金と国外からの送金の受領については、送金等を行った金融機関が国外送金等調書を税務署に提出します。銀行のほか資金移動業者も対象です。調書の提出は金融機関の義務で、送金した本人が別途提出する書類ではありません。国税庁は、国外送金等調書をCRSで得た情報などと併せて分析し、海外の金融資産やそこから生じる所得の把握に活用していると説明しています。

Q. 外為法の報告は誰がいつ出すのですか?

A. 1回の支払等が3,000万円相当額を超える場合に、支払等をした居住者が事後に報告します。銀行等を通じた支払等は、その銀行等を経由して10日以内に書面で提出するか、日本銀行のオンラインシステムで20日以内に直接提出します。非居住者が行う外国へ向けた支払や外国からの受領は報告不要とされています。

Q. 日本の携帯電話を解約しても大丈夫ですか?

A. インターネットバンキングの認証に日本の電話番号へのSMSを使っている場合は、解約すると海外からログインや振込ができなくなることがあります。出国前に、アプリやトークンなど別の認証方法に切り替えられるか、日本の電話番号を残す必要があるかを銀行に確認してください。

出典

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。

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