留学やワーキングホリデーで1年以上日本を離れるなら海外転出届を出すのが原則で、1年未満なら住民票を残したまま出国します。どちらになるかで、国民健康保険・国民年金・住民税の扱いと、日本の所得税で居住者として扱われるかどうかが変わります。このページでは、学生や20代の若い人が特に迷いやすい国民年金の学生納付特例、親の扶養、健康保険の扶養、現地で働いた収入の課税、奨学金、帰国後の手続きに絞って、公的機関の資料をもとに整理します。
海外転出届を出すかどうか:目安は「1年以上かどうか」
住民基本台帳法第24条は、転出をする人は「あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければならない」と定めています。海外に住所を移す場合もこの転出届(いわゆる海外転出届)を出し、転出予定日に住民票が消除されます。帰国して日本に住み始めたら、同法第22条により転入した日から14日以内に転入届を出します。
海外にどれくらい住むなら住民票を抜くのかについて、文部科学省は学齢児童生徒の取扱いの中で、あらかじめ1年以上転出することが分かっているときは住民基本台帳法に基づく転出届を出して住民票が消除される一方、国外転出期間があらかじめ1年未満と分かっているときは「国内に住所を有するものとして処理される」と説明しています。江戸川区の国民健康保険の案内でも、海外に移住する場合や1年以上にわたり海外に滞在する場合は転出届が必要とされています。つまり、1年未満の語学留学や半年の交換留学は住民票を残したまま出国し、1年以上の正規留学や滞在期間1年のワーキングホリデーは原則として海外転出届を出す、というのが基本の線引きです。
海外転出届を出すか出さないかで、次のように扱いが変わります。
- 国民健康保険:国民健康保険法第5条により都道府県の区域内に住所を有する人が被保険者で、第8条により住所を有しなくなった日の翌日に資格を失います。海外転出届を出すと国保をやめる手続(資格確認書などの返却)が必要になり、以後の保険料はかかりません。住民票を残して出国した場合は、江戸川区の案内のとおり海外に滞在している期間も国民健康保険料がかかります
- 国民年金:国民年金法第7条の第1号被保険者は「日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者」です。海外転出届を出すと加入資格を失い、日本国籍があれば任意加入できます(詳しくは次の見出し)。住民票を残せば第1号被保険者のままで、保険料の納付義務も続きます
- 住民税:総務省の解説のとおり、個人住民税はその年の1月1日時点で市町村に住所がある人に前年の所得に応じて課税されます。1月1日より前に海外転出届の異動日を迎えていればその年度の住民税はかからず、住民票を残していれば海外にいる年も課税が続きます(詳しくは別ガイド「海外移住と住民税」)
- マイナンバーカード:町田市のチェックリストによれば、転出日が未来日の日本国籍の人は国外継続利用の申請ができ、希望しない場合や転出日が当日・過去日の場合は返納手続をします。印鑑登録は転出予定日に自動的に廃止されます
- 所得税の居住者・非居住者の判定は住民票の有無ではなく「生活の本拠」や職業で決まるため、海外転出届を出したかどうかと一致しないことがあります(後述)
- 1年未満の予定で出国したあと滞在が延びて1年以上になりそうなときは、その時点で市区町村に相談し、転出届の要否を確認してください。市区町村によって運用の細部が異なるため、出国前に転出元の窓口で確認するのが確実です
国民年金:学生納付特例は海外の大学には使えない。任意加入か、納付か
国民年金保険料の学生納付特例は、本人の前年所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下の学生が、在学中の保険料の納付を猶予してもらえる制度です。対象になるのは大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校、各種学校と「一部の海外大学の日本分校」に在学する人で、対象校は日本年金機構の学生納付特例対象校一覧に載っている国内の学校に限られます。日本年金機構のパンフレット「日本国外・国内へ出入国する方へ」は、海外の大学等に留学した場合は学生納付特例制度を利用できないと明記しています。
一方、日本の大学に在籍したまま住民票を残して交換留学や短期留学をする人は、第1号被保険者であり在学先も国内の大学なので、引き続き学生納付特例を申請できます。日本年金機構の案内では、申請期間中に海外転出入があった場合は申請書の備考欄に国名と転出入日を、申請を希望する年度の1月1日時点で海外に居住していた場合は国名と転入日を記入するよう求めています。承認された期間は老齢基礎年金を受けるための受給資格期間(10年)に入りますが、年金額の計算には反映されず、10年以内なら追納できます(承認から3年度目以降は加算額が付きます)。
海外転出届を出して国民年金の資格を失った人の選択肢は次のとおりです。
- 任意加入する:国民年金法附則第5条により、日本国籍があり日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の人は申し出て被保険者になれます。資格は申し出た日から取得し、いつでもやめられます。保険料は令和8年度で月額17,920円、付加保険料(月額400円)も納められます
- 任意加入の手続窓口:これから出国する人は住んでいる市区町村の窓口、すでに海外にいる人は国内協力者(手続や納付を代わりに行う国内の親族)がいる場合は日本における最後の住所地の市区町村、いない場合は最後の住所地を管轄する年金事務所です
- 保険料の納め方:日本国内の預貯金口座からの口座振替か、国内協力者が納付書で納める方法です。任意加入被保険者は免除・納付猶予・学生納付特例の申請はできません
- 任意加入すると、海外在住中に亡くなったり病気やけがで障害が残ったりした場合の遺族年金・障害年金の対象にもなります
- 任意加入しない:保険料を納めない期間は将来の老齢基礎年金額に反映されません。出国予定日以後の保険料をすでに納めている人も、任意加入の手続をしないと後日保険料が還付されます
- 帰国して住民票を戻すと20歳以上60歳未満の人は強制加入に戻るので、転入した市区町村で第1号被保険者の手続をします。一時帰国で短期間だけ住民票を戻した場合もその期間は強制加入となり、その都度手続が必要です
親の扶養:所得税の扶養控除は「非居住者の親族」の書類がカギ
扶養控除は、12月31日時点で16歳以上の控除対象扶養親族がいる納税者が受けられる所得控除で、控除額は一般の扶養親族38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族63万円です。扶養親族の所得要件は合計所得金額58万円以下(令和8年分以後は62万円以下、令和8年12月1日施行)で、納税者と生計を一にしていることが必要です。
留学やワーキングホリデーで子どもが日本の非居住者になった場合、国税庁タックスアンサーNo.1180のとおり、令和5年分以後は非居住者である扶養親族のうち、16歳以上30歳未満の人と70歳以上の人は年齢要件だけで対象になりますが、30歳以上70歳未満の人は「留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人」「障害者」「その年に生活費又は教育費として38万円以上の支払を受けている人」のいずれかに限られます。大学生や20代のワーキングホリデーメーカーは16歳以上30歳未満に当たるので、留学ビザや38万円以上の送金がなくても年齢要件は満たします。ただし、年末調整や確定申告で次の確認書類の提出または提示が必要です。
- 親族関係書類:戸籍の附票の写しなど国や地方公共団体が発行した書類と、その親族のパスポートの写し、または外国政府等が発行した氏名・生年月日・住所が分かる書類(外国語の場合は日本語訳も必要)
- 送金関係書類:その年に親がその親族の生活費や教育費として支払ったことを示す、金融機関の外国送金依頼書の控えや、親族が使う家族カードのクレジットカード利用明細書など。知人に頼んで現金を手渡ししている場合は送金関係書類がないことになり、扶養控除は受けられません
- 送金は親族ごとに必要です。複数の親族の生活費を1人にまとめて送金すると、まとめて受け取った人の分しか送金関係書類になりません。同じ親族への送金が年3回以上なら、明細書とその年の最初と最後の送金書類の提出で残りを省略できます
- 30歳以上70歳未満の留学生は親族関係書類に加えて留学ビザ等書類(外国の査証や在留カードに相当する書類の写し。国籍が日本で在留資格が留学に相当するものであること)、38万円以上の送金で対象にする場合は38万円送金書類が必要です。38万円の判定は親族1人ごと、その年の支払合計で行います
- 年末調整で勤務先に提出した書類は確定申告で再提出する必要はありません。国税庁は「国外居住親族に係る扶養控除等Q&A」(令和8年8月最終改訂)と令和7年6月のリーフレットで詳しく説明しています
- 令和7年分からは19歳以上23歳未満で合計所得金額が58万円超123万円以下(令和8年分以後は62万円超)の特定親族について特定親族特別控除が設けられ、非居住者の特定親族でも親族関係書類と送金関係書類があれば適用できます
- 1年未満の留学で子どもが日本の居住者のままなら、従来どおりの扶養控除です。ただし居住者は全世界所得に課税されるため、現地でのアルバイト収入も子どもの合計所得金額に含めて所得要件を判定します
健康保険の扶養:国内居住要件と「留学」の海外特例
親が会社員や公務員で、子どもがその健康保険の被扶養者になっている場合、令和2年4月1日から被扶養者には日本国内に住所(住民票)があることが要件に加わりました。海外に住む人は原則として被扶養者になれませんが、日本に生活の基礎があると認められる「海外特例要件」に該当すれば、被扶養者(異動)届や国民年金第3号被保険者関係届を出すことで被扶養者のままでいられます。日本年金機構が示す海外特例要件は次の5つです。
- 外国において留学をする学生:査証(ビザ)、学生証、在学証明書、入学証明書等の写しを添付します。協会けんぽのQ&Aでは留学の期間は問わないとされており、1年を超える正規留学でも対象です
- 外国に赴任する被保険者に同行する者:査証、海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書の写し
- 観光、保養またはボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者:査証、ボランティア派遣期間の証明や参加同意書等の写し。ワーキングホリデーは就労を伴う滞在なので、この類型に当たるかは加入先の保険者に事前に確認してください
- 被保険者が外国に赴任している間に身分関係が生じた者(海外で生まれた子や結婚した配偶者など)
- その他、渡航目的や事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者(個別判断)
- 別居の被扶養者には収入要件もあります。年間収入が130万円未満(60歳以上や障害年金受給要件に当たる人は180万円未満)で、かつ被保険者からの仕送り額より少ないことを、振込依頼書や通帳の写しで示します。協会けんぽのQ&Aでは、貸与型の奨学金は収入に含まれませんが、給付型の奨学金は収入に含まれる場合があるとされています
- 留学後に現地で就職した場合は、雇用関係が生じた時点で「留学」という渡航目的から外れるため、扶養を外す手続が必要です。帰国して住民票を戻したときは、海外特例に該当しなくなった旨の届出を勤務先経由で行います
- 親が国民健康保険の場合は「扶養」という仕組みがなく、本人が世帯の被保険者として加入しています。海外転出届を出せば本人の分の資格がなくなり、残せば保険料がかかり続けます
ワーキングホリデーの収入と日本の税金:居住者のままか、非居住者になるか
外務省によれば、ワーキング・ホリデー制度は二国・地域間の取決めに基づき、相手国の青少年に休暇目的の入国と滞在費を補うための付随的な就労を認める制度で、日本は32か国・地域との間で導入しています(令和8年4月1日現在)。査証申請時の年齢は原則18歳以上30歳以下(オーストラリア、カナダ、韓国、アイルランドとは18歳以上25歳以下が基本で、各政府当局が認める場合は30歳まで)です。現地で働いて得た給与は相手国で課税されますが、日本側の扱いは日本の所得税法上の居住者か非居住者かで変わります。
所得税法では、国内に住所があるか、現在まで引き続いて1年以上居所がある個人が居住者で、それ以外が非居住者です。居住者(非永住者以外)は国内外で生じたすべての所得に課税され、非居住者は国内源泉所得にだけ課税されます。国の内外にまたがって住む人の住所は職業などをもとに推定され、国税庁の「住所の推定」では、国外において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する人は国内に住所を有しない者と推定されます。国税庁の質疑応答事例では、当初1年未満の予定で出国した人は出国の時は居住者として扱われ、その後1年以上になることが明らかになった日以後に非居住者となる(出国時にさかのぼらない)とされています。滞在日数だけで決まるわけではなく、183日以上外国にいても日本の居住者になる場合があります。
以上を踏まえると、住民票を残した1年未満のワーキングホリデーや留学は、日本の居住者のまま現地で働いているケースが多く、現地の給与も日本の課税対象になります。次の点に注意してください。
- 海外の雇用主から受ける給与は日本の源泉徴収の対象外なので、国税庁タックスアンサーNo.1900のとおり「源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人」として確定申告の対象になります。所得控除後に納める税額が出るかどうかは収入額によるため、所轄税務署に確認してください
- 基礎控除は合計所得金額132万円以下の人で令和7年分95万円、令和8年分104万円(令和8年12月1日施行)です。給与所得控除などと合わせると、収入が少額なら日本の所得税がかからないこともあります
- 相手国でも課税された所得については、確定申告で外国税額控除を受けて二重課税を調整します。控除限度額は「その年分の所得税額×その年分の調整国外所得金額÷その年分の所得総額」で、控除しきれない分は3年間繰り越せます。外国所得税を課されたことを証する書類(現地の申告書の写しや納税証明など)を保管しておいてください
- 日本は2026年10月1日現在で91の租税条約等を157か国・地域との間で結んでいます(財務省)。相手国で日本の居住者として条約の適用を受けられるかどうかは、条約の内容と相手国の手続によります
- 相手国側の課税は国ごとに異なります。たとえばオーストラリアでは、ワーキングホリデーメーカーの課税所得45,000豪ドルまでに15%の税率が適用される税率表が公表されています(2024-25年度以後)。現地の居住者判定、申告義務、年金積立の払い戻しなどは相手国の税務当局のサイトで確認してください
- 住民票を残していれば、海外にいる年も翌年度の住民税の課税対象です。個人住民税は均等割(標準で4,000円、令和6年度からは森林環境税1,000円と併せて徴収)と所得割(前年所得に対して10%)からなり、現地のアルバイト収入も前年所得に含まれます。所得が一定額以下なら非課税になります
- 出国前に1年以上の予定で、かつ海外転出届を出して非居住者になった人は、現地の給与は日本では課税されず、日本国内の不動産収入など国内源泉所得だけが日本の課税対象です。出国の時までに納税管理人を届け出ていない場合の準確定申告などは別ガイド「海外在住者の確定申告」を参照してください
奨学金:JASSOの海外留学支援制度は課税される?貸与型の返還は海外からでも続く
所得税法第9条第1項第15号は「学資に充てるため給付される金品」を非課税所得と定めています(給与その他対価の性質を有するものは除きます)。国税庁の所得税基本通達9-14も、使用者から受ける学資金は通常の給与に加算して受けるものに限って非課税になるとしており、勤務先から給与の代わりに受け取るような場合は課税されます。大学を通じて受け取る給付型の留学奨学金は、一般にこの学資金に当たると考えられますが、自分の受ける奨学金の性質が不明な場合は所轄税務署か大学の窓口に確認してください。
日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度(協定派遣)は、在籍する大学等が日本の大学と海外の大学との学生交流協定に基づいて学生を8日以上1年以内の期間派遣するプログラムで、学生個人では申請できず大学等を通じて申請します。2026年度の月額奨学金は派遣先の地区によりA地区12万円、B地区11万円、C地区9万円、D地区8万円で、一定の家計基準を満たす人には渡航支援金16万円、一定の派遣期間を満たす人には1万円が支給されます。第一種・第二種の貸与奨学金と併用できます。なお、健康保険の被扶養者の収入判定では、給付型奨学金は収入に含まれる場合がある点に注意が必要です。
すでに貸与奨学金の返還が始まっている人が留学やワーキングホリデーで海外に住む場合、返還は海外在住中も続きます。JASSOは次のように案内しています。
- 出国前に日本国内の金融機関で口座振替(リレー口座)に加入し、海外在住中も国内口座から引き落とせるようにしておく。外国からの送金は手数料が高額で、金融機関によっては到着まで2か月程度かかる場合がある
- やむを得ず外国から送金する場合はJASSO指定口座に円建てで送金し、奨学生番号と氏名を必ず記載する(確認できないと入金処理ができない)。送金手数料は本人負担で、JASSOの口座に着金した日が返還日になる
- 住所や電話番号が変わったら、スカラネット・パーソナルか郵送の「転居・改氏名・勤務先(変更)届」で速やかに届け出る。連絡が取れなくなると通知が届かず、延滞金が課される原因になる
- 返還が難しいときは、月々の返還額を3分の2・2分の1・3分の1・4分の1に減らす減額返還(1回の願出で12か月まで、通算で最長15年=180か月)や、返還を待ってもらう返還期限猶予(災害、傷病、経済困難、失業などが事由。通算10年=120か月が限度で、元金や利子が免除されるわけではない)をスカラネット・パーソナルから願い出る。生活保護受給中、産前産後休業・育児休業、一部の大学校在学、海外派遣の場合などは10年の制限がない
- 在学猶予の対象は大学、大学院、高等専門学校、一定の専修学校などに在学する場合で、海外の大学・大学院に進学するときの扱いは事前にJASSOに確認する
- 海外からの問い合わせは専用ダイヤル03-6743-6100(月曜日から金曜日の9時から20時、土日祝日・年末年始を除く)。フリーダイヤルは海外からは使えない
帰国後の手続き:転入届・国保・国民年金・扶養の戻し
帰国して日本に住み始めたら、住民基本台帳法第22条により14日以内に転入届を出します。町田市の案内では、正当な理由なく遅れると5万円以下の過料の対象となる場合があり、一時帰国では住民登録はできないとされています。パスポート(帰国日が分かるもの)、本籍地以外に住民登録する場合は戸籍謄本と戸籍の附票、持っていればマイナンバーカードを持参します。転入届を出すと、国民健康保険と国民年金の手続が同じ市区町村の窓口でできます。
帰国の年の住民税や所得税の扱い、在留届の帰国届、運転免許などは別ガイド「海外から日本に本帰国するときの手続き」に詳しくまとめています。ここでは留学・ワーキングホリデーから帰った人が忘れやすいものを挙げます。
- 国民健康保険:転入して住所を持った日から被保険者になるので、転入届と一緒に加入手続をします。親の健康保険の被扶養者に戻る場合は、勤務先を通じて被扶養者(異動)届と、海外特例に該当しなくなった旨の届出をします
- 国民年金:20歳以上60歳未満で住民票を戻した人は強制加入に戻るため、第1号被保険者の加入手続(国民年金被保険者関係届書)をします。海外で任意加入していた人が付加保険料や口座振替を続けたい場合は、強制加入後に再度申し出が必要です。収入が少ない年は免除・納付猶予や、国内の学校に復学したなら学生納付特例を検討します
- 所得税の扶養控除:帰国した子どもが居住者に戻れば、非居住者向けの送金関係書類は不要になりますが、その年の合計所得金額(帰国後の国内の収入に加え、居住者期間中の国外の収入)が所得要件を超えないかを親が確認します
- 海外で得た所得の申告:帰国した年に日本の居住者になった後に受け取った国外の給与や、現地で還付された税金の扱いは、居住者期間と非居住者期間を分けて判断します。帰国年の確定申告の要否は所轄税務署に相談してください
- JASSO:住所の変更届を出し、海外で使っていた海外送金から国内口座の口座振替に戻します。国内の大学院などに進学する場合は在学猶予の届出をします
- マイナンバーカードを国外継続利用していた人の帰国後の手続は、別ガイド「海外から日本に本帰国するときの手続き」を参照してください
- 本ページは制度の一般的な説明で、個別の税務・社会保険のアドバイスではありません。実際の判断や手続は、市区町村、年金事務所、所轄税務署、加入先の健康保険、JASSOにご確認ください
よくある質問
Q. 半年の語学留学です。住民票はどうすればよいですか?
A. 1年未満の滞在は国内に住所があるものとして扱われるため、原則として海外転出届は出さず、住民票を残したまま出国します。その間は国民健康保険料と国民年金保険料(学生なら学生納付特例の申請が可能ですが、対象は国内の学校に在学する人です)、翌年度の住民税がかかります。滞在が延びて1年以上になりそうなときは、その時点で市区町村に相談してください。
Q. ワーキングホリデーで1年間オーストラリアに行きます。海外転出届を出すべきですか?
A. 1年以上日本を離れることがあらかじめ分かっている場合は、海外転出届を出すのが原則です。出すと国民健康保険と国民年金の資格がなくなり(日本国籍なら国民年金に任意加入できます)、転出日が1月1日より前ならその年度の住民税もかかりません。一方、日本の所得税の居住者・非居住者は住民票ではなく生活の本拠や職業で判定されるため、1年未満の予定で出国した場合は居住者として扱われ、現地の給与も日本の課税対象になります。
Q. 海外の大学に正規留学中ですが、国民年金の学生納付特例は使えますか?
A. 使えません。学生納付特例の対象校は大学、短期大学、専修学校など国内の学校(一部の海外大学の日本分校を含む)に限られ、日本年金機構のパンフレットも海外の大学等に留学した場合は学生納付特例を利用できないとしています。海外転出届を出して資格を失った人は、日本国籍があれば任意加入(令和8年度の保険料は月額17,920円)するか、加入しないかを選びます。任意加入しない期間は将来の老齢基礎年金額に反映されません。
Q. 海外にいる大学生の子どもを親の扶養控除に入れられますか?
A. 子どもが非居住者でも、12月31日時点で16歳以上30歳未満なら年齢要件を満たし、合計所得金額が58万円以下(令和8年分以後は62万円以下)で生計を一にしていれば控除対象扶養親族になります。ただし年末調整や確定申告で、戸籍の附票の写しとパスポートの写しなどの親族関係書類と、親から子への送金を示す外国送金依頼書の控えや家族カードの利用明細などの送金関係書類が必要です。現金の手渡しでは書類がないため控除を受けられません。30歳以上の留学生は留学ビザ等書類も必要です。
Q. 親の健康保険の扶養に入ったまま留学できますか?
A. できます。被扶養者には令和2年4月から国内居住要件がありますが、外国において留学をする学生は海外特例要件に該当し、査証、学生証、在学証明書、入学証明書などの写しを添えて被扶養者(異動)届を出せば被扶養者のままでいられます。協会けんぽのQ&Aでは留学の期間は問わないとされています。別居の場合は年間収入130万円未満かつ仕送り額より少ないことも必要で、給付型奨学金は収入に含まれる場合があります。留学後に現地で就職したら扶養を外す手続が必要です。
Q. JASSOの給付型奨学金で留学します。日本で税金はかかりますか?奨学金の返還はどうなりますか?
A. 所得税法第9条第1項第15号により、学資に充てるため給付される金品は非課税です(給与など対価の性質を持つものは除きます)。海外留学支援制度(協定派遣)の月額8万円から12万円の奨学金や渡航支援金はこの学資金の性格を持つ給付です。すでに返還中の貸与奨学金は海外在住中も返還が続くため、出国前に国内口座のリレー口座に加入しておき、返還が難しいときは減額返還や返還期限猶予をスカラネット・パーソナルから願い出てください。
出典
本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務の助言ではありません。個別の状況については税理士・税務署・年金事務所・市区町村などに確認してください。